パパへ

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今は亡き父へ

パパ、元気ですか? 去年パパの三十三回忌無事終わったね。あの日は台風が来ちゃったから、母さん連れて行けなくてごめんね。一番会いたかったでしょう。

私もパパの年齢越えちゃった。

私ね、パパとした最後の約束ずっと守ってきたよ、母さんを守るって事。家を継いで、お婿さんとって母さんの側にずっと居るよ。知ってるよね。空からずっと見てるもんね。

だからパパに、ありがとうとごめんなさい言わなきゃ。

パパのお墓参りの後、母さんと二人で死のうとした事あったでしょ。

生活の全てが全介助だった母さんが認知症になって、罵声を浴びせられ、介護拒否されて、夜も寝かせて貰えなくて。何よりずっと一緒に居た私を忘れていく母さんに私は優しく出来なくなっちゃったんだ。そんな自分も嫌いになってもう限界だったの。逃げたかった。この高台から飛んだら、どんなに楽になるだろうと思って、母さんに「一緒に死のうか」って言ったら、母さんさ、「いいよ」って笑ったの。私ね、その時、涙がボロボロ出てきたの。

そしたらね、車イスに乗っていて私が見えない筈の母さんが「お前を泣かす奴は誰なの? お母さんがやっつけてやる!」って大声で言ったんだ。

あれはパパでしょ? あの時、母さんを正気に戻してくれたの。

だってあの言葉は、私が小さい時、顔中にソバカスがあって、いじめられて泣きながら帰って来た時、母さんが私に言ってくれた言葉だもん。それを知ってるのパパだけだもん。

その後、母さんが「早く帰ろう」って。私、「うん、うん」しか言えなかった。

パパは見ててくれたんだよね。母さんと私の事。それで止めてくれたんだよね。姿・形が無くても、ずっと側にいてくれてたんだよね。ありがとう、パパ。ごめんなさい、パパ。

私はもう大丈夫だから。あれからもう一人で、頑張らない事にしたよ。家族の力や福祉の力借りて、母さんと私が幸せに生きていける方法を考えるようにしたよ。

母さんも今年八十歳になるよ。孫も二十一歳と十八歳、二人とも、パパの写真見て「じいじに会いたかった」って言ってるよ。

パパ、これからもずっと見守っててね。また苦しくなったりしたら助けてね。それから、まだ先の話だけど、私がパパの所に行ったら、抱きしめて、頭なでてね。ちゃんと約束守るから。

「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」より

「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」は、父母、祖父母、先生、友人、近所の人など。“あの人”とかつて一緒にいた時に言えなかったこと、想い出や、“あの人”が亡くなった後に伝えたくなったこと、感謝の気持ちなどを綴ったお手紙です。

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