四十年の思い出ありがとう

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今は亡き夫へ

今年の春は、貴方が植えた庭の椿、今までで一番、花付きがよかった。これからも年毎に、多くなる事でしょう。

庭に立ってると、不意につつじの木のあたりから、貴方が曲がりかけた腰を伸ばしながら立ち上がり、取った草を両手で持ち、私を見つけると、笑いながら歩いて来る気がする。

花木が好きで特に椿は大好き。二人で熊本まで肥後椿を買いに二、三回行ったっけ。

その時買った「朱月」「桜狩」「じゅ楽」等、この春も美しい花を咲かせてくれました。

私の命もあと何年かわかりませんが、あの世で貴方に再び会った時、良い報告が出来るよう今年の夏も水やりをがんばります。

貴方は多趣味で魚釣りもそのひとつ。貴方の釣りに同行するうち、私も釣りの魅力にひかれ、釣りに行くのが楽しみでした。

鶴見で釣り上げた八百グラムの水イカ。強力な引きは今思い出しても、胸の高鳴りを覚えます。

ぐいぐい引っ張られ、竿を持って行かれぬよう、必死でふんばったものです。

最後は貴方に釣り上げてもらいました。

釣り上げた時のイカはピンクがかったうす紫のような透明感のある色で、とても美しかった。

あの日の事は忘れられない。

貴方を思い出す時、頭に浮かぶのは、ギターを弾く貴方の姿。猫背になりながら、よくギターを弾いてました。本を広げ歌謡曲から童謡まで。

たまにギターに合わせて歌ってる貴方の口からは、何と調子っぱずれの歌が……。

ギターはちゃんと合っているのになぜ?

貴方が歌う度、私は何度腹をかかえて笑った事か……。

貴方は正真正銘の「音痴」でした。

今振り返ってみると、貴方との四十年、二人よくけんかもしたよね。ささいな事でまるで子供のけんかのように。考えてみると、やっぱり私が悪かった。可愛くなかった。あやまる事が出来なかった。ごめんなさいね、貴方。

生きている時には言えなかったけど、私は貴方に出会えて本当によかった。

思い出すのは楽しかった事ばかり。

今、天国の貴方に言いたい事。

それは、ドラマのタイトルじゃありませんが、「まだ、貴方に恋してる今もなお深く」。

来世があるのなら、また貴方と暮らしたい。貴方ありがとう。

「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」より

「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」は、父母、祖父母、先生、友人、近所の人など。“あの人”とかつて一緒にいた時に言えなかったこと、想い出や、“あの人”が亡くなった後に伝えたくなったこと、感謝の気持ちなどを綴ったお手紙です。

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