今は亡き母へ
お母さんへ
お母さんがそちらにいってしまってから六年が経ちました。
時がたつのは本当に早いですね。六年前は一歳だったあなたの孫の里緒は、もう小学校二年生です。近所のお友達二人と毎日元気に通学しています。
でも、楽しそうにみえても色々あるようです。女の子同士のいざこざとか聞いていると、母である私のほうが辛くなります。こんな頼りないことじゃいけないですね。お母さんが生きてたらこんな私に何て言うかな?しっかりしなさい、って言った後、大丈夫、大丈夫って言ってくれたような気がします。
ダンナさんも毎日元気にお仕事をがんばっています。そして相変わらず私にも、里緒にも優しいままです。感謝しています。
私は、今は心身ともに元気です。けれどお母さん、天国から見ていたと思うけど、四年前に乳ガンになった時はどうなることかと思いました。
最初は精神的にまいってしまい、その後は治療で体がまいってしまいました。そして、その後また精神的にまいってしまいました。
お母さんが生きててくれたらとか、いや、生きてたらお母さんにどんなに心配をかけたことだろうとか、お母さんのことをたくさん考えました。なんで、私ばっかりがこんな目にあうんだろう、といじけた気分にもなりました。しかし、良いお医者さんに巡りあえたこと、そして何より家族の支えで少しずつ、少しずつ前向きな気持ちになってきました。以前に比べると、最近は落ち着いた日々を過ごしています。
小さい時、お父さんが死んでから、お母さんはいっぱい苦労しましたね。もっと長生きしてほしかったけれど、私と兄の結婚も見届けて安心の旅立ちだったのでしょうか。心配性のお母さんのことだから、そちらに行っても私のこと見てハラハラしてるんじゃないですか?
これからも心配かけるかもしれないけれど、前を向いて歩いていきます。生きている時は照れくさくてなかなか言えなかったけど、いつもありがとう。本当にありがとう。これからも見守っててください。
「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」より
「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」は、父母、祖父母、先生、友人、近所の人など。“あの人”とかつて一緒にいた時に言えなかったこと、想い出や、“あの人”が亡くなった後に伝えたくなったこと、感謝の気持ちなどを綴ったお手紙です。