お香典は相続税の対象になる?香典をめぐるトラブル

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

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香典とは、お葬式の際に参列者が霊前に供える金品を指します。一般的には「御霊前」と書かれた香典袋が用いられます。ときには大きな金額にもなる香典ですが、税金の支払いなどはどのように取り扱われるのでしょうか?ここでは香典が相続なのか贈与なのか、また受け取るのは喪主なのかといった疑問や、香典に関連するトラブルについてお答えします。

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香典は相続財産にならない

基本的に、香典は喪主が受け取ります。参列者から供えられた香典は葬儀費用の一部となることが多く、喪主への贈与とみなされるのです。

喪主への贈与となるため、香典は相続財産にはあたりません。相続税に関する規定において、香典やご祝儀といったお金は基本的に非課税と定められているのです。そのため、香典には相続税がかからず、贈与税も発生しません。また、非課税所得の扱いとなるため、確定申告の際に申告する必要もないのです。

なお、喪主とは葬儀において主催者となる人を指し、一般的には故人の配偶者が務めます。配偶者が務められない場合には、血縁関係の深さに応じて決められます。ただ、喪主は必ずしも故人の親族がなるわけではありません。配偶者や血縁者がいないケースだと友人や知人、介護施設の代表がなることもあります。また、喪主が複数になることも少なくありません。

香典が高額の場合、贈与税が課税されることも

香典には相続税も贈与税も課されないのが原則ですが、例外もあります。

例えば、香典の総額が社会通念上極めて高額だったケースです。つまり、香典だからといって絶対に課税対象とならないわけではなく、相続税法により、一定金額を超えた場合には贈与税の課税対象になると定められているのです。

社葬の香典には要注意

一般家庭における葬儀では、香典の額がそこまで大きくなることは考えにくいでしょう。しかし、社葬になると話は違ってきます。社葬の場合、故人の親族や友人知人はもちろん、職場の上司や部下、同僚、取引先の担当者など、仕事で関わってきたさまざまな人が参列します。参列者の数が一般の葬儀に比べてはるかに多くなるため、香典の総額も高くなりがちなのです。

社葬でも香典は故人の遺族に渡されるケースが大半のため、金額次第では課税対象となる場合があります。なお、法人が喪主となり、香典も会社がそのまま受け取った場合は、相続税や贈与税ではなく法人税が発生します。

弔慰金も課税対象になる場合がある

お葬式に関連するお金の中で、香典と同じような種類のものとして、弔慰金も挙げられます。 弔慰金というのは、多くの会社で福利厚生の一環として設けられている制度で、社員に不幸があったときに支給されます。

亡くなった方への功労や、遺族に対するお見舞いの意味で送られる弔慰金ですが、こちらも相続財産にはなりません。そのため、基本的に相続税の課税対象となる心配はいりません。

ただし、受け取った金額が高額だった場合には注意を要します。なぜなら「みなし相続財産」とされ、課税対象になるおそれがあるからです。みなし相続財産とは、亡くなった方の財産そのものではないものの、その方の死亡によって相続人のものとなった財産をいいます。

主に死亡保険金や死亡退職金などを指し、場合によっては弔慰金も含まれます。具体的には、業務上死亡したとき、弔慰金が死去した当時の給料の3年分にあたる金額を超えると、みなし相続財産として扱われます。他方、業務上の死亡以外のケースでは、亡くなった当時の給料額の半年分を超えると、みなし相続財産とされます。

遺族間での香典のトラブルに注意

葬儀に関して相続人同士がトラブルになることは少なくありません。特に、香典はお金が関わるためトラブルの種になりやすいのです。

香典は葬儀費用の一部に充てるのが一般的ですが、余剰分を喪主とその他の相続人で分けることもあります。このとき、 葬儀を直接的に取り仕切った喪主の割合が多くなることが一般的です。しかし、それゆえにほかの相続人が不満を抱き、トラブルになることは少なくありません。

具体的には、「( 余剰分の)金額が少なすぎる」「香典返しが高い」「着服しているのでは?」といった疑いをかけられることが考えられます。トラブルを回避するには、できるだけ細かい記録をつけておくといいでしょう。誰からどれくらいいただいたか、香典返しにいくら使ったかなどを記録しておけば、こうしたトラブルも回避しやすくなります。

まとめ

香典は喪主が受け取るもので、相続財産にもなりません。ただ、香典があまりにも高額となった場合、贈与税の課税対象となることもあるため注意が必要です。また、相続人同士での香典にかかわるトラブルにも気をつけましょう。

監修:税理士法人ブライト相続 代表社員税理士 竹下祐史



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