自然葬とは?種類や費用、メリット・デメリットを解説

小林憲行【記事監修】
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記事を先読み
  • 自然葬とは、遺骨を山や海、空などの自然に還す埋葬方法
  • 樹木葬や海洋葬(海洋散骨)、空中葬などが代表的な種類
  • お墓が不要で、管理や金銭的な負担を減らせるのがメリット

現代の日本では、遺骨を骨壷に入れて、お墓や納骨堂に納めるのが一般的。ですが最近は、遺骨を山や海、空などの自然に還す「自然葬」が増えています。自然葬の種類は、樹木葬や海洋葬(海洋散骨)、宇宙葬などさまざま。

この記事では、自然葬が増えている背景や自然葬の種類、メリット・デメリットなどを解説します。

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自然葬とは?なぜ注目されているの?

自然葬とは、遺骨をお墓に納めるのではなく、山や海、空などの自然に還す埋葬方法。「遺骨を自然に還すことで、自然と一体化できる」という考えに基づいています。また、砕いて粉末状にした遺骨を散布したり、樹木を墓標にしたりするため、墓石をもたないのが特徴です。

日本では、お墓に納骨するのが主流でしたが、近年自然葬の注目度が高まっています。その理由は、核家族化や少子高齢化の影響で、お墓の継承や維持、管理が難しい方が増えているから。さらに、お墓の購入資金がなかったり、自然回帰を願う人が増えていたりするのも要因です。

実際に、お墓の消費者全国実態調査(2022年/いいお墓調べ)では、お墓の主流が一般墓より樹木葬にシフトしており、自然葬のニーズが増加していることがわかります。

自然葬は法律に違反しない?

遺骨を自然に還す自然葬は、基本的に法律に違反していません

ただし自然葬は、墓地として認められた土地でしか行えないので注意してください。自治体によっては散骨を禁止する条例を定めているため、事前に確認しておきましょう。

自然葬をするタイミングはいつ?

自然葬を行うタイミングは、お墓の納骨と同じく、四十九日の法要に合わせるのが目安

ですが実際は、法要会場と自然葬の場所が離れていたり、分骨したりするケースもあるため、厳密に考える必要はありません。遺族にとって、ふさわしいタイミングに行うことをおすすめします。

自然葬のメリット・デメリットとは?

樹木葬とは

自然葬のメリット

  • お墓の維持・管理が不要
  • 墓石を購入するより安価
  • 宗教・宗派を問わない
  • 故人の意志を尊重できる
  • 自然環境に優しい

墓石をもたない自然葬では、お墓の維持・管理が不要になるため、継承者の負担を大きく減らせます。また、墓石の平均購入価格は158.7万円(お墓の消費者全国実態調査・2022年/いいお墓調べ)。高額な墓石を購入する必要がないぶん、費用をおさえられるのもメリットです。

さらに自然葬は、宗教・宗派を問わないので「死後は海や山に還りたい」という故人の意志を反映できます。お墓の造成による自然破壊も防げて、環境に優しいのも魅力のひとつです。

自然葬のデメリット

  • 従来の供養ができない
  • 遺骨が残らない

自然葬は墓石がないため、従来のようにお墓に参ったり手を合わせたりできません。また、遺骨をすべて自然葬してしまうと、基本的に回収は不可能です。

家族や親族のなかには、「一般的な供養をしたい」「遺骨をそばに置いておきたい」と考える方がいるかもしれません。あとからトラブルに発展する危険性があるため、自然葬を選択する前に、きちんと話し合っておくのが大切。遺骨を分骨して、お墓や手元供養と併用することも視野に入れて、全員が納得できる形を目指すのがよいでしょう。

自然葬の種類

  • 樹木葬
  • 海洋葬・海洋散骨
  • 空中葬
  • バルーン葬
  • 宇宙葬

樹木葬

自然葬でもっとも代表的な種類は樹木葬です。

樹木葬は、墓石の代わりに樹木を墓標とする埋葬方法。お墓の管理に力を入れている霊園が多く、遺族が掃除をしたり、花を供えたりしなくても状態を維持できるというメリットがあります。また利用する霊園によりますが、新たにお墓を購入するより、金銭的な負担が少ないです。

注意すべきは、墓地として認可された土地にしか埋葬できないこと。許可のない野山に遺骨を埋めたり、散骨したりするのは違法なので注意してください。

樹木葬は、「里山型樹木葬」「公園型樹木葬」「庭園型樹木葬」と、大きく3つの種類にわかれます。大きな樹木の周囲に複数の遺骨を埋葬する、遺骨(墓所)ごとに植樹をする、特定のエリアを植物で飾って樹木葬とするなど、形式はさまざま。遺骨を土に埋葬するのではなく、カロートと呼ばれる収骨スペースに納骨するケースもあります。

海洋葬・海洋散骨

海洋葬・海洋散骨

海洋葬(海洋散骨)とは、遺骨を海に散布する埋葬方法。「海=生命の起源」のイメージがあり、大いなる母の元に還るという考えから海洋散骨は人気です。海を行く船上で、お別れ会やセレモニーを行えるのも人気を集めている理由のひとつでしょう。

また遺骨をすべて海に還せば、散骨後にお墓の維持・管理が発生しません。ただ海洋散骨では、分骨して一部は海に撒き、一部はお墓に納骨するケースが多いようです。

海洋散骨できるエリアは、条例によって定められているので注意が必要。海水浴場や漁船の多い場所は避け、周辺の状況を考慮して散骨エリアを選ぶ必要があります。節度をもった散骨が行われるよう、海洋散骨を扱う団体がガイドラインを設けているので、確認しておきましょう。

海洋葬(海洋散骨)は、墓標がないため、墓参りが難しいと感じるかもしれません。海に散骨すると、散骨地点を記した証明書を発行してもらえますが、散骨した場所に行くために船代には船代が必要です。散骨会社によっては、お参りのためのクルーズを行っているところもあります。

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空中葬

空中葬とは、空中に散骨する方法。環境への配慮から、ヘリコプターやセスナ機を使って海上まで移動し、散骨するのが一般的です。

空中葬は、「大空を自由に舞いたい」「遠くまで行きたい」「高い所からみんなを見守りたい」などといった故人の遺志を叶えられます。遺族にとっても滅多にできない体験となるでしょう。

バルーン葬

バルーン葬とは、風船に遺灰の一部を入れ、空に飛ばす散骨方法。空中葬と同じく、空中から散骨します。バルーン葬で使われる風船は、直径2メートルほど。上空に飛ばされた風船は、やがて気圧の関係で破裂するため、そこで散灰される仕組みです。

バルーン葬は、風船が破裂する高度が高いので環境に配慮する必要がありません。また乗り物が不要なので、多くの遺族で散骨を見送れます。ただし、風船の性能的にすべての遺灰を空に上げられないので、バルーン葬ができるのは一部の遺骨だけです。

宇宙葬

宇宙葬

宇宙葬は、その名のとおり、宇宙に遺灰を撒く散骨方法。カプセルに入れた遺灰を、ロケットで打ち上げます。宇宙葬には、宇宙空間を半永久的に漂う、再び地球に戻ってくるなど、複数のバリエーションがあるのが特徴です。

たとえば、再び地球にもどってくる宇宙葬では、遺骨を納めたカプセルをロケットで周回軌道に乗せます。その後カプセルは、時間とともに高度が下がり、最終的に大気圏に突入して燃え尽きます。このとき、カプセルに入った遺灰も燃えるため、文字通り自然に還るといえるのです。

ただし宇宙葬は、ロケットの発射に失敗が伴う、打ち上げ機会が少ない、予定された日時に変更が生じやすい、などのデメリットがあるので、把握しておきましょう。

自然葬の費用・値段はいくら?

自然葬の種類平均費用
樹木葬10万円~200万円
海洋葬(海洋散骨)5万円~40万円

ここでは、代表的な自然葬である樹木葬と海洋葬(海洋散骨)の平均費用について解説します。

樹木葬の平均費用は、10万円〜200万円

1つの遺骨に対して1本の樹木を植える「個別埋葬タイプ」は、20〜200万円と、樹木葬のなかでもっとも費用が高いです。1本の樹木の周囲に複数の遺骨を埋葬する「合祀タイプ」は価格が安く、個別スペースありだと10〜60万円、個別スペースなしだと10〜20万円で埋葬できます。

また海洋葬(海洋散骨)の平均費用は、5万円〜10万円です。

海洋葬は、クルーザーを貸し切って散骨すると20〜30万円、複数のご家族と合同で行うと10〜20万円ほど。スタッフに遺骨を預けて散骨してもらうなら、5〜10万円まで価格をおさえられます。

自然葬にかかる費用は、種類や形式によって大きく違うため、事前の確認は必須です。

自然葬の流れ

  1. 自然葬の種類・形式を決める
  2. 自然葬を依頼する業者を選ぶ
  3. 葬儀・火葬を行う
  4. 遺骨を粉骨する
  5. 自然葬を行う

自然葬を行うときは、まず種類と形式を決めることからはじめます。故人の遺志を尊重するのはもちろん、家族や親族と必ず話し合って、全員が納得いく方法を選びましょう。

自然葬の種類・形式が決まったら、専門業者に依頼します。自然葬や海洋散骨、空中葬など、それぞれに対応する業者があるので探してみてください。自然葬にまつわる疑問や不安があれば必ず確認し、信頼できる専門業者に依頼するのが重要です。

業者と契約をしたら、お葬式と火葬を行います。樹木葬や海洋散骨をするなら「埋葬許可証」、分骨をするなら「分骨証明書」が必要になるため、火葬場で忘れず受け取りましょう。

火葬したお骨を受け取ったら、基本的に粉骨します。とくに散骨を選んだ場合は、遺骨を2mm以下のパウダー状にする必要があるため、散骨は必須です。自然葬とあわせて粉骨を行ってくれる会社もあるので、確認してみてください。その後、業者の案内に従って、樹木葬や散骨を行います。

自然葬をするなら専門家のアドバイスを参考に

樹木葬や海洋散骨、バルーン葬、宇宙葬など、故人の遺志を叶えながら遺族の負担を減らせる自然葬は、今後ますます人気が高まっていくことが予想されます。

ですが自然葬を実際に行うときは、メリット・デメリットを理解して、周囲としっかり話し合うことが重要。自然葬はお墓参りが難しくなったり、環境への配慮が必要だったりするため、専門家のアドバイスを参考にするのがおすすめです。

いい葬儀の姉妹サイト「いいお墓」では、樹木葬について詳しくご説明しています。海洋散骨墓じまいの専門サービスもご案内できますので、ぜひ一度ご相談ください。

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