蝶になって会いに来てくれたママへ

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今は亡き母へ

ママ、そちらの生活はどうですか?

ママが旅立ってから、いくつもの季節が流れ、いつのまにかママと一緒に過ごした年月よりも別れた月日のほうが長くなり、気づけばママの年齢を越してしまいました。思えば病気が分ってから半年、あっという間でした。

日に日に弱る身体に残された時間を察したかのように「あなたの花嫁姿が見たかった。」「孫の世話をしたかった。」「パパのことよろしくね。」などなど、まるで遺言のように私に話していましたね。

あれは意識が無くなる一週間ほど前だったでしょうか?

眠っていたと思ったらふと目を覚まし、ベッドの横で本を読んでいた私に「いつかあなたが結婚して、子供を産んでお墓にみんなでお参りに来てくれたら蝶になって会いに行くね。ちゃんとママだとわかってよ。きっと幸せになれるよ。いつまでも見守っているから前を向いてがんばって生きていきなさい。」

私はいつものように「なに馬鹿なこと言ってるの。縁起でもない。孫の面倒はちゃんと見てもらうから早く治して。」

決して実現しない未来を想像して答えましたが、あの時のママの寂しそうな顔は今も頭から離れません。それから、沢山の悲しみや辛さを乗り越えて、ママの予言通り素敵な人に出会い、そして可愛い子供に恵まれました。

命日にはもちろん、ママの誕生日には赤ちゃんを抱いてお墓参りへ行くのは家族の恒例行事になりました。子供が一歳を過ぎたママの誕生日に、あの日の約束を実現してくれましたね。

良く晴れた暖かい日でした。ヨチヨチ歩く子供の手をひきながら、ママの眠るお墓に向かって墓地内を歩いていました。気づいたら、ひらひらと子供の頭の周りを飛びながらついてくる一匹の蝶がいました。お墓に着いて掃除をしていると、子供が嬉しそうに蝶を見ながら「バーバ。」「一しゃい(一歳)」と声をかけている姿に驚きました。子供の頭の上を舞っていた蝶は、お参りをするときには目の間をクルクル回り子供が「バーバ、バイバイ」と言うとひらりと墓石の裏の方へ飛んでいき、どこかへ行ってしまいました。

この日の光景を見て、忘れていたあの時の約束を思いだしたのです。

「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」より

「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」は、父母、祖父母、先生、友人、近所の人など。“あの人”とかつて一緒にいた時に言えなかったこと、想い出や、“あの人”が亡くなった後に伝えたくなったこと、感謝の気持ちなどを綴ったお手紙です。

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