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【終活映画】自らの終焉を意識した終活の総仕上げ『母との約束、250通の手紙』

母との約束、250通の手紙

「生きてゆけ」と、ひたすらなメッセージが聞こえてくる母親の声、終活メッセージの力を感じられる映画『母との約束、250通の手紙』を見てきました。

差別や貧しさに負けない力強い男に育てる。そのためなら今ある貧しさから何としてでも抜け出そう、そこに未来を与えようという母の力強さを感じ、息子に生き方を与えることが最大の愛し方なのだと、母の強い信念を感じる映画でした。

物語

物語は実在のフランス人作家ロマン・ガリ(1914年~1980年)の自伝的小説を原作にしています。彼の母親に対する思いが強く感じられるもので、この物語に引き込まれまさに圧倒されてしまいました。

子供のころから母親一人に育てられている彼は、母親から常に自分の将来像を聞かされて育ちます。それは母の希望というよりも、その先を予見したかの如くしっかりとしたレールが見えるかのようでもあり、周囲の人にも常に息子の将来の話をするのです。

「この子は大使になる、英雄になる」

そんな二人の生活を支えるための母の仕事も山あり谷あり。半ば詐欺のようにして始めた仕立て屋も客に見透かされ、経営がうまくゆかなくなります。やがては破たんをして、二人は逃げるようにしてニースに移り住みます。

そんな母親でしたが、彼女のまた違った人生を創造してしまうほどに、常にチャンスがあり、また商才が付いて回ります。

ニースでの母はホテルを経営するまでに至るのですが、ちょうどこの頃にロマンは青年期を迎えました。母親はけしてロマンと女性とのかかわりを嫌うわけでもないのですが、相手を選ぶということにはこだわったようでした。そんな少年期から青年期の中で、ロマンの「書く」才能は開花してゆきます。大学生の頃に投稿した短編小説が新聞に掲載されると、母親の期待は一気に深まってゆくのです。

母との約束、250通の手紙

母の言葉の存在感

後にロマンは出兵するのですが、驚いたことに幼いころに母が言っていた通りの成功を収めてゆくのです。兵士では英雄として功績を成し、小説家として成功し、大使として活躍をするという母の願いもそのままに、彼の人生の記録を見ると小説家、映画監督、外交官と記されていました。

出兵後幾度か母の元に帰るロマンでしたが、母の病を知り、医者に強く迫るのです。

「自分の母親だと思って敬え、懸命に治療しろ」と、物語の初めから母親に対する愛情を強く語られているのですが、はっきりと彼の母に対する思いが込められた、迫力のシーンです。

後にアメリカにわたりフランス自由軍に参加してからは、それまでのように簡単に里帰りをすることもできず、アフリカで生死をさまようこともありながら、彼の胸の中にはいつも母の存在と言葉があるのです。

「英雄になれ、書き続けろ」と何度も何度もその言葉を思い出し、繰り返してはわが身を奮い立たせます。

母との約束、250通の手紙

自らの終焉を感じた時に取り組んだ、終活の総仕上げ

この映画の鑑賞後に気が付くのです。母の言葉はまさに「生きろ」というメッセージの置き換えだったのではないでしょうか、生きろと言う言葉の代わりに明確な目標を示して、自分がいないところでも一人っ子のユダヤ人の息子に、生きる力を与え続けたのかもしれません。英雄になれ、名を成せ、小説を書いて発表しろと、その成功の先には多くの人の称賛を想像していたのでしょう。密やかに生きるのではなく、胸を張って生きろと。

戦時下で書き続けた彼の小説は、書籍になりいよいよ作家として評価を得て、さらには戦闘機乗りとしても大きな功績を残し、名実ともに母の求めた男になって帰った時には、母はすでにこの世にはいませんでした。母の存在を確かめようと迫った医師に言われた言葉に衝撃を受けます。

母は亡くなる前に250通の手紙を書き、知人にその送達を託したというのです。自分亡きあとでもいつまでも息子の応援をしていたいという願いでしょうか。母からの手紙によるメッセージの力はとても大きく、戦地での彼の活躍を導いたと言えるでしょう。まさに自らの終焉を感じた時に取り組んだ終活の総仕上げと言えるのではないでしょうか。

母との約束、250通の手紙

子が母を想う何倍もの愛を、 母は子に先渡ししている

さて、この映画を観ながら、私は何度も身近の友人を思い出していました。

すでに故人となった友人の母親がこの映画の中にいるような錯覚すらするほどに、息子を愛している方でした。目に見えない時には心配でいらいらしながら携帯電話をかけてきます。傍らで見ていると、息子にとってはなんとも煩わしいほどの愛でしたが、その母親のことを息子である彼が嫌うことは一度もなかったと思います。今彼には母に代わる愛情豊かな家族がいらっしゃいますが、時々そんな母のことを嬉しそうに語る時があります。記憶に残る母親に、彼は何時でも応援されているようでもあります。

この世の息子はみな母を愛する。それは、母がその何倍もの愛を息子に先渡しをするからに違いありません。

さて、映画の最後にロマンの人生が語られました。母親が願った通りの人生をつかんだロマンでしたが、60歳で自死という最期を選びます。なぜに?とも思うのですが、おそらくは成し遂げた人生ながら、そこから先に母がいないこと、そしてそこから先の夢や目標までは胸の中に残っていなかったのかもしれません。

今回ご紹介した映画『母との約束、250通の手紙』

1月31日(金)新宿ピカデリーほか全国公開

監督・脚本:エリック・バルビエ

出演:シャルロット・ゲンズブール、ピエール・ニネ

フランス=ベルギー/フランス語、ポーランド語、スペイン語、英語/131分

配給:松竹

(c) 2017 – JERICO-PATHE PRODUCTION – TF1 FILMS PRODUCTION – NEXUS FACTORY – UMEDIA

この記事を書いた人

尾上正幸

(終活映画・ナビゲーター / 自分史活用推進協議会認定自分史アドバイザー / 株式会社東京葬祭取締役部長)

葬儀社に勤務する傍ら、終活ブーム以前よりエンディングノート活用や、後悔をしないための葬儀の知識などの講演を行う。終活の意義を、「自分自身の力になるためのライフデザイン」と再定義し、そのヒントは自分史にありと、終活関連、自分史関連の講演活動を積極的に展開。講演では終活映画・ナビゲーターとして、終活に関連する映画の紹介も必ず行っている。

著書:『実践エンディングノート』(共同通信社 2010年)、『本当に役立つ終活50問50答』(翔泳社 2015)

母との約束、250通の手紙
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