東京・江東区にあるBLUE OCEAN CAFE(ブルーオーシャンカフェ)。
一見、普通におしゃれなカフェですが、実は終活について、何でも聞けちゃうカフェです。
いつ行っても終活の専門家がいるので、お葬式のことでも、お墓のことでも、相続のことでも介護のことでも、なんでも気軽に相談にのってくれます。
ちなみに、散骨のことは得意中の得意。なぜなら、カフェを運営しているブルーオーシャンセレモニー(株式会社ハウスボートクラブ)は、海洋散骨のトップランナーだからです。
目次
さりげなくエンディングノートが並んでるカフェ
BLUE OCEAN CAFEは、地下鉄の住吉駅を出てすぐのところ、住吉銀座商店街にあります。新大橋通りから商店街に入って、左側3軒目(くらい)。
錨のマークと、“水色”が目印です。
お店に入るとあったかい感じ。
海辺の町のカフェというイメージです(ハワイに行ったことがない私が想像するハワイも、こんな感じです)。
やっぱり水色のカウンターも、こぢんまりとかわいらしいです。
でも、よく見ると、手元供養品(大切な人の遺骨をちょっと入れて、身近な所に置いたり、アクセサリーみたいに身に着けたりする供養の品です)やエンディングノートが並んでいます。
これでも少なくした方で、1年前のオープン当初は壁一面に、供養グッズが並んでいたそうです。
店長の村田ますみさん曰く、スタッフに「並べすぎでお客さん、引いちゃいますよ」と言われて、泣く泣く展示する数を減らしたとか。
でもその分、エンディングノートなど、世の中に出回っている数あるエンディングノートの中でも「これは使いやすい!」というものを選りすぐった、精鋭たちが並んでいます。
どうして終活カフェ?
BLUE OCEAN CAFEについて、村田さんは「海への散骨を体験した方が、気軽に立ち寄って故人を偲べるところ」と言います。
海洋散骨のトップランナー、ブルーオーシャンセレモニーでは、これまでたくさんの方の散骨をお手伝いしてきました。
ただ海に遺灰を撒くのではなく、きちんと供養もする。
そのため、船上でのセレモニーを用意したり、その後も散骨を行った海域のポイントに向かって故人を偲ぶ、メモリアルクルーズなども大切にしてきました。
でも、みんながみんな、クルーズに参加できるわけではありません。
そこで、もっと気軽に、わざわざ海に出なくても大切な人を想える。そんな空間を創りたかったそうです。
ただ、構想を練る中、ちょっと周りを見れば、相続や高齢者住宅などいろいろな悩みを持っている人もたくさんいることがわかります。
こうして、“訪れる人が誰でも輝ける”カフェができました。
いつでも終活の専門家がいるので、コーヒーを飲みながら、いろんな相談ができます。
また、カフェをオープンしてみると、近くの子育てママたちも、子どもと一緒に立ち寄ってくれるようになりました。
オープンから1年経った今では、いろんな世代の人が想い想いに訪れる、地域のコミュニティカフェになっています。
いつでもイベント盛りだくさん
BLUE OCEAN CAFEの特徴ともいえるのが、イベントとセミナーです。
終活にこだわることなく地域の人がいろいろ楽しめる、そんな催しです。
その種類もたくさんあって、エンディングノートの書き方講座から、妊婦さん、プレパパさん向けの講座、ガラス工芸の教室、スマホの使い方講座など。
生活の中で「ちょっと不安」なことや、「ちょっと聞きたい」ことを、プロの先生たちが教えてくれます。
また、認知症の方やその家族、介護者で集う認知症カフェ“ラウレア”も、毎月1回、開催しています。
11時から夕方の5時まで、好きな時間に訪れて、医療や介護の専門家に気軽に相談できます。
このほか地元の人やモノが集まるマルシェ、“すみよしマルシェ”も定期開催してます。
ちなみに、今度のゴールデンウィークには、子どもの日に合わせて特別イベント ★すみよしこどもマルシェ★ を開催。キッズを対象にしたお店がたくさん出店します。
おすすめメニューはこれ!
村田さんのおすすめメニューはタコライスです。
記者が個人的に好きなのは、アサイーベリースムージーです。
ちょっと甘くて酸っぱくて、すっきりと美味しいし、なんだか体に良さそうです。
このほど登場した新メニュー、アラニフレンチトーストもお勧めです。
アラニというのはハワイの言葉でオレンジを意味するそうです。
ところで、海洋散骨ってどうなの?
カフェのお話はたくさん聞きましたが、それだけでは終わらないのが「いい葬儀マガジン」です。
海への散骨についてもしっかり聞きました。
まず、「散骨を希望するのはどんな場合?」という質問です。
故人が海が大好きだったとか、自然に還りたいといった希望があったというケースが多いようです。
遺された家族で、故人の夢を叶えてあげたいと散骨をします。
また、墓じまいと一緒に、ご先祖の遺骨を散骨したいという依頼もあるそうです。
ちなみに、散骨希望者の数は「ブルーオーシャンセレモニーだけで、年間にだいたい200件ほど」だそうです。
ただし、村田さんの想う散骨は大切な「葬送」であり、「供養」です。
「遺骨を処分したい」といった散骨には反対しています。
ちょっとまじめな、散骨の注意点
現在、ある意味“ブーム”ともいえるくらい、いろんな会社や人が散骨サービスを始めています。
ところが、中には残念ながら、「大丈夫かな?」という人もいるようです。海に出るということは、一歩間違うと大きな事故につながる可能性もあります。船を操るということだけでも、熟練した技術が必要です。
また、もしも「片手間で散骨をはじめてみたけれど、あまり儲からないからやめちゃおう」なんて会社にうっかり依頼してしまったら、何年か経って「散骨場所にお参りしたい」と思っても、記録が消えてしまっていて、散骨した想い出の場所に二度と行けなくなってしまうかもしれません。
さらに、注意しなくてはいけないのが、散骨は「故人と遺族の想いだけではできない」ということ。
海に散骨をするならその海の近くで生活する人のことも考えて、節度を持ってのぞむ必要があります。
散骨を規制する法律は今のところありませんが、だからと言って何でもアリということをやってしまうと、いろんな人に迷惑がかかってしまいます。そこで、「ルールがないなら自分たちできちんとルールを作って、守っていこう」と、村田さんをはじめ、海洋散骨を行っている人たちが集まって立ち上げたのが、一般社団法人 海洋散骨協会です。
いろいろな経験に基づいてルールブックを作成したり、海洋散骨について正しい情報発信をしたり、そんな活動もしています。
いかがでしたか?
せっかく、大切な人の希望を叶えたいと思っても、ただやみくもに散骨するのは考えモノ。
信頼できるパートナーを探す必要があります。
もしも、「そんな会社どうやって探すかわからない……」という場合には、BLUE OCEAN CAFEに遊びに行ってみては?
きっと、楽しい出会いが待っていますよ。
(文・構成 小林憲行)