はじめてのお葬式ガイド
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終活や、参列のマナー、もしもの時におさえておきたいお葬式の知識など、はじめての方にもやさしく解説します。

【終活映画】ロシアの片田舎で繰り広げられる終活コメディー『私のちいさなお葬式』

私のちいさなお葬式

人生ドラマや家族の悩みは全部、人それぞれなのだということを「私のちいさなお葬式」で、改めて実感するのです。想像ではなく自分のお葬式を実行してしまおうと考えた女性の話、ある意味極限的終活映画とでも言いましょうか?笑い話のようでもあり、どこか自分の近くでも起こりそうな話でもあります。

自分のお葬式の準備を完璧に準備しようとするとこうなる?

自分の葬儀の段取りをすること、日本では終活のひとつとして自分らしいお葬式を考え学ぶと言ったことをされる人も増えてまいりましたが、主人公は「もっと具体的に思い描いた葬儀を形にしましょう、自分自身が生きているうちに」と考えたようです。そうなると棺も必要だ、そのためには死亡届も必要だし、さらにそのためには死亡確認書も必要だと73歳の老女、エレーナが奔走するのです。

そんな思いになるものなのだろうか?そんな風に不思議な気持ちにさせてくれた映画。そしてそのエレーナの心を読み解くのがこの映画の楽しみ方であり、行動の原点はどこにあって、ドラマはどのように進んでゆくのかというのがこの映画の見どころだと思います。

私のちいさなお葬式

『私のちいさなお葬式』の物語

事の始まりは医師による告知でした。

元教師のエレーナは町のあちこちで活躍する昔の教え子たちに囲まれて暮らしています。隣人は、思想も言葉遣いもエレーナとは正反対でしたが、むしろ元気でいられるためとしてたくさん話をするためには十分な友達でした。そんな毎日はエレーナにとって、決して寂しいという暮らしではなかったのですが、自分自身の病を知ることにより彼女の終活、お葬式の準備が始まるのです。

しかも、「この先どう生きて、どう終えようか?」ではなく、「どうやって葬儀を執り行うのか?」。さらにその手間はすべて自分のこととして終えておくことが大事だと、唯一の家族である息子のオレクに迷惑がかからないようにと奔走します。

私のちいさなお葬式

お葬式までは準備したけれど……

日本でも「終活」という言葉が発祥した当初は、「終活」を「終い支度」と捉えていた時期があり、家族に負担をかけない賢い葬儀とか、財産の円満な相続といった具合に持ちうるものの整理について力点が置かれた終活が多かったようです。実はこの辺がどうにも、終活を続けてゆくエネルギーにはなりにくいのです。

しかし、エレーナの場合は違いました。本当に自分らしい葬儀の形を作ることにこだわり、間違いなく息子のオレクに迷惑をかけないようにということを第一にして、その中でも特に通夜の振る舞いや棺の選択、自らの死化粧についてもこだわるのです。考えられる問題の全てを、その時までに自分で決めて逝こうとしたことです。

このようにあらゆる万全を期して、さて逝こうかという時に大きな誤算に気が付きます。

自分自身の逝き方、その方法までは具体的に考えられていなかったのです。自らの命を絶つという勇気(?)までには至らなかったのが、面白おかしく、またほほえましくもあります。

私のちいさなお葬式

誰かと話ができることの大切さ

深夜に至り自らはどうにもならないその思いを隣人に伝えてのドタバタは、この映画を楽しむうえで重要なシーンとなります。誰かと話ができることの大切さです。その上で思いのほか互いを信頼し合っていたことを知ります。隣人からのメールで息子もまた母親が考えていたことを知り駆けつけるところで、息子としての関わりを犠牲にして仕事に勤しむ今の自分があるのだと悟るのですね。

エレーナの原動力のもうひとつに、「オレクは仕事で忙しくしている」という言葉があります。実を言うとこの言葉がさまざまな言い訳に通用する万能キーワードでありながら、最も相手を傷つけている言葉なのかもしれないと、ふと頭をよぎりました。

母親の愚行の原点が自分への愛情と知った時に、オレクの中にも少し変化が生じたようです。

私のちいさなお葬式

故郷を離れる若者たちと故郷に残る親たち

くるくると目まぐるしく変わるエレーナの表情、教師という存在に対する村の人々の敬意などを感じ、ドラマの舞台となる田舎風景がとてもマッチしてきます。そんな村では当たり前のように若者は仕事を求めて都会へと移り住みます。オレクも例外ではなく、家を出て、5年も帰って来ません。それでもエレーナは自分の息子の活躍を心から嬉しく感じているのです。そうと分かっていながら、ほんの少しだけ今の人生の中でオレクとのかかわり方の変化を求めたのかもしれません。

エレーナに共感したり驚いたり、ロシアの映画でありながら、日本の葬送文化や現代に応じた暮らしの変化など、私たちが頷きながら楽しむことができる映画でもありました。幾度となく流れるBGM『恋のバカンス』が懐かしくもあり、この映画を淋しいものにしないという効果もあったかもしれません。

私のちいさなお葬式

今回ご紹介した映画『私のちいさなお葬式』について

監督:ウラジーミル・コット

脚本:ドミトリー・ランチヒン

出演:マリーナ・ネヨーロワ、アリーサ・フレインドリフ、エヴゲーニー・ミローノフ、ナタリヤ・スルコワ、セルゲイ・プスケパリス

公開:2019年12月6日(金)より、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開

2017年/ロシア/ロシア語/アメリカンビスタ/カラー/5・1ch/100分/原題:Карп отмороженный/日本語字幕:堀上香/ロシア語監修:梶山祐治/後援:ロシア文化フェスティバル組織委員会、在日ロシア連邦大使館、ロシア連邦文化協力庁、ロ日協会、ロシアン・アーツ、日本・ロシア協会/配給・宣伝:エスパース・サロウ

公式HP:osoushiki.espace-sarou.com

(C)OOO≪KinoKlaster≫,2017r.

この記事を書いた人

尾上正幸

(終活映画・ナビゲーター / 自分史活用推進協議会認定自分史アドバイザー / 株式会社東京葬祭取締役部長)

葬儀社に勤務する傍ら、終活ブーム以前よりエンディングノート活用や、後悔をしないための葬儀の知識などの講演を行う。終活の意義を、「自分自身の力になるためのライフデザイン」と再定義し、そのヒントは自分史にありと、終活関連、自分史関連の講演活動を積極的に展開。講演では終活映画・ナビゲーターとして、終活に関連する映画の紹介も必ず行っている。

著書:『実践エンディングノート』(共同通信社 2010年)、『本当に役立つ終活50問50答』(翔泳社 2015)

私のちいさなお葬式
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