はじめてのお葬式ガイド
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終活や、参列のマナー、もしもの時におさえておきたいお葬式の知識など、はじめての方にもやさしく解説します。

【終活映画】家族に言えない秘密はありますか?『今さら言えない小さな秘密』

まるで絵本から抜け出したような映像シーンが満載のフランス映画『今さら言えない小さな秘密』が、頭のどこかに残って、鑑賞から2週間ほどたっても私をワクワクさせています。

プロバンスの村の風景が映え、とてもきれいな映画でした。それはまるで絵本やフォトブックを開いているようでもあり、気持ちをリセットするために出かける映画としてもお勧めです。

この映画は劇場の予告編で見みつけた時に感じた「観たいな」という思いと共に、タイトルからしても人生の中のほんの少しの躓きと葛藤が見えてきそうだと、楽しみに出かけてきた映画です。

小さな秘密を抱えた自転車修理工ラウルの人生

主人公のラウルは自転車が好きで町一番の自転車修理工です。

そんな彼の子供の頃からの誰にも言えない悩みは自転車に乗れないという事でした。彼の子供の頃からのそんな葛藤と成長記録をラウル自身のナレーションで進む映画です。

時折、不思議な映像があります。修理した自転車の納品などの時にラウルの後を無人の自転車が付いて動きます。ありえない映像なのですがこの辺からもラウルが自転車を愛し、自転車からも選ばれた人なのだという事の表現なのでしょう。そこまでの関係でありながら自転車に乗れないという秘密が彼の人生を面白おかしくしてゆきます。

二十歳の頃、すでに自転車修理工となった彼は恋をし始めます。そのラウルの一番の悩みは、この人ははたして、自分と生涯を共にする人だろうかということでした。何しろ妻となる女性にはその秘密を打ち明けなければならないという、彼にしては壮大なテーマがあります。

その後ラウルは、幼馴染と恋をして結婚をするのですが当時妻の両親が自転車事故で亡くなるというアクシデントにより、妻を安心させるために「一生自転車に乗らない」ことを約束してめでたく結婚をいたします。それは同時に真実を告白する機会を逃すことになるのでした。「自転車に乗れない」という秘密は「乗れないのではなく、乗らない」という嘘にすり替わってゆきます。

エンディングノートに秘密を書いても良い?

さて、日本では数年前に週刊誌の企画で「裏エンディングノート」というものが話題になりました。「妻には絶対言えないこと」を書くためのエンディングノートです。

へそくりや浮気の告白など、生前には到底、面と向かって言えないような懺悔のようなものを書くのです。そしてわが身が逝った後で残された妻に見ていただこうという趣旨だったようです。

まあ、週刊誌のとじ込み付録として、冗談のような企画だったと覚えておりますが、目の前にその人がいなくなってから知って、妻はどう思うのでしょうか、その怒りも悔しさもぶつける相手もなく、言い訳のひとつすらしてもらえないことは、とてもつらく悲しいことかもしれません。

当時私は、セミナーなどでも「言えないことは書かないのがエンディングノートのルール」としていました。「言ったことを書く、書いたことを伝えるのが正しい使い方で、お互いのコミュニケーションツールとして活用されるのがエンディングノートの最も好ましい使い方なのです」と、そのように伝えていたのです。

つまり、夫婦間に波風を立てないためには、言えないような嘘をついたら墓場まで持っていく覚悟をしなくてはいけないし、そもそもばれるような嘘や秘密は持たないことです。

一緒に悩んでくれる人はいますか?

さて、物語は愉快に流れてゆきます。

一人の写真家の登場で平穏な日常が少々ざわつき始めたのです。妙に気の合うこの写真家とラウルは旧知の友のように親しくなり、やがてはラウルの働く姿を撮影もしたいという事になります。彼の得意なのは静止画、妻は二人を見ながら躍動感のある 疾走写真をとリクエストします。むしろ妻は、自転車を最も愛してその修理工を一生の仕事として決めた夫にも拘らず。自分との約束で追い込んでいるのではないだろうかと考えだすのです。

主人公のラウルはというと、とうとうこの本当のことを言えずにいくつもの機会を逃してしまいます。秘密は嘘になり、嘘の為に嘘をぬりかさねていき、苦悩するラウルは告白をすると妻に嫌われるのではないかと心配をし始め、ついには妻の浮気まで妄想することになります。

自転車に乗れないことを言えないままに、ラウルは写真家のリクエストに応えるように、撮影を受け入れます。

いざ写真撮影の段となり、ラウルは意を決し自転車で下り坂を疾走します。しかし、転倒して大けがを負ってしまうのです。その病床で生涯ついてきたその嘘について深く後悔します。

やがてはその傷も癒えた頃に、ラウルは妻と写真家に真実を伝えます。自転車はラウルにとって弱みを告白する勇気をくれ、家族への愛情や友との絆をさらに強いものにしてくれる存在だったのでしょう。

何かをするときには、変えられること変えられないことがあるものです。そんな時は、周囲の出来事やほんの少しの変化を利用してみてはいかがでしょうか?それを、言い訳として使ってもいいのです。

今、言うのか?はたまた一生、いやいやその後まで秘密にするのか?と考えれば、人は一緒に考えて悩んでくれる人がいたほうが生きやすいに決まっています。そしてその方が楽しくまた生きられるというものです。

この映画を見てから2週間ほど経った今も、彼の乗っていた自転車が頭から離れません。エンジンなどを利用しないで自分の足でこぎ、風を感じて走ること。しばらくはこの思いが続きそうです。美しく、素敵な映画でした。

今回ご紹介した映画『今さら言えない小さな秘密』

監督・脚色:ピエール・ゴドー 

原作・脚色協力:ジャン=ジャック・サンペ
『今さら言えない小さな秘密』(荻野アンナ訳/ファベル 刊 発売予定)

脚本:ギヨーム・ローラン『アメリ』

出演:ブノワ・ポールヴールド『神様メール』、スザンヌ・クレマン『Mommy /マミー』、

エドゥアール・ベール『モリエール 恋こそ喜劇』

フランス/2018年/90分/フランス語/日本語字幕:古田由紀子 

配給:セテラ・インターナショナル

© Pan-Européenne – Photo : Kris Dewitte

この記事を書いた人

尾上正幸

(終活映画・ナビゲーター / 自分史活用推進協議会認定自分史アドバイザー / 株式会社東京葬祭取締役部長)

葬儀社に勤務する傍ら、終活ブーム以前よりエンディングノート活用や、後悔をしないための葬儀の知識などの講演を行う。終活の意義を、「自分自身の力になるためのライフデザイン」と再定義し、そのヒントは自分史にありと、終活関連、自分史関連の講演活動を積極的に展開。講演では終活映画・ナビゲーターとして、終活に関連する映画の紹介も必ず行っている。

著書:『実践エンディングノート』(共同通信社 2010年)、『本当に役立つ終活50問50答』(翔泳社 2015)

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