【終活映画】こころからハッピーになれる映画『ダンスウィズミー』

幼いころのトラウマで「ミュージカルが大嫌い」と言いながら、心の底で音楽を愛していた主人公。音楽を聴くと歌い踊りだしてしまうという催眠術を解くために、フリーターの千絵と二人で催眠術師を追いかける。途中で出会うミュージシャン洋子とのトリオで再び音楽の楽しさに気が付く、ロードムービーです。

ああ、ミュージカル映画ってこういうものだったんだなと、終活世代が懐かしくなるような、舞台劇では味わえないミュージカル映画の要素に溢れていました。

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私の考える「終活映画」とは

さて、今回の終活映画はいつもと少し違う切り口だと感じられると思いますが、私の考える終活映画は二つ、一つはまさに共感できるような人生を考えるテーマの映画に浸って思うこと、考えることができるような映画を楽しむ。そんな鑑賞方法を紹介しています。

もう一の観方は、終活世代だから感じる共感で楽しく元気になれる映画ということになります。もちろん、これも劇場に出かけて大スクリーンの前で感じるからこそ、余計に気持ちを盛り上げてゆくことができます。感じることも大事ですが、感じるための準備もぜひ心がけてください。

主人公の静香は家族もうらやむほどの超一流会社に勤務しながら、何となく自分自身を活かせないような、そんな様子が感じられるシーンから映画は始まります。

歌もダンスも大好きで、しかも上手というそんな子供だった自分でしたが、いつの間にかミュージカルが嫌いになり自分から遠ざけているようでした。そんな彼女の心の中は、実は「歌いたい」「踊りたい」で溢れていたようです。

本当は大好きなのに、自分で制御しているようなこの心の隙間があったからこそ、音楽に反応するミュージカル催眠術にかかってしまうのでした。

やっかいなミュージカル催眠術

ところが、この催眠術がやっかいで、どこであれ音楽が聞こえたとたんに歌い踊りだすというもの。ミュージカルが嫌いという彼女の心のカギを開放するのです。

会社のプレゼンの最中、車から流れるラジオ、レストランでのバンド演奏と歌と踊りに縁のない場所はありません、仕事にも生活にも町のどこにいても音楽が溢れています。

そして歌い踊りだす彼女の想像の中のミュージカルシーンがスクリーンに映し出されます。そこでは周囲の人たちがミュージカル映画のごとく歌い踊る、まさに「ミュージカル」なのですが、さてさて、実際はどうなっているのやら……。音楽が鳴り止んでからの現実に向き合うことになります。

さまざまなトラブルを起こし、その結果お金もすっかり失ってしまったことから旅が始まります。 旅巡業の催眠術師を見つけて催眠から解いてもらおうというのがこの旅の目的でした。

早く催眠術を解いて欲しい静香は、耳をふさぎながらも音に誘われてしまいます。では、そんな彼女が歌や踊りが嫌いになるかと思えば、旅先で彼女を助けるのもやっぱり音楽でした。

終活視点で『ダンスウィズミー』を観ると

さて、終活映画の観方として注目は、まず催眠術師として登場する宝田明さんでしょう。若かりし日の活躍は華々しく、テレビ番組のホストとして活躍したそのころの様子から映画が始まりました。そして現在の衰退があります。

この二つの時代を繋ぐ歌は、1991年にリリースされた山下久美子さんの「Tonight~星の降る夜に」だったりします。テレビ画面から流れるそのころを思い出すように、主人公と歌い踊るシーンのなんとも楽しそうなこと。映画を観た後もしばらくこの曲が余韻となって耳の奥から聞こえてくるようです。

その他、山本リンダさんの「狙いうち」や、 サディスティック・ミカ・バンド の「タイムマシンにおねがい」、 Sugar の「ウェディング・ベル」、キャンディーズさん、井上陽水さんなど、つい最近でもどこかで聞いたような懐メロになりすぎない程度の心地よい音楽が、オリジナル曲の間にちりばめられて、振り返ると自分自身がよい感じの大人時代を楽しんでいたような、そのころの元気さがよみがえる思いすらしてしまいます。

映画の時間経過とともに自分自身が笑顔になってくるのがわかります。ミュージカルといっても実に日本的で、軽妙でハッピーな映画でぜひ自分の中の元気の種を増やしてください。

自分自身を元気にする映画としてご覧いただき、映画鑑賞後にその音楽やシーンを語りながら近くの誰かと共感を作るのも忘れてはいけません。映画と共に終活映画の観方としても、ぜひ活用してください。

今回ご紹介した映画 『ダンスウィズミー』

『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』『ハッピーフライト』の矢口史靖監督最新作は、従来のミュージカル映画に一石を投じる『ダンスウィズミー』。構想16年、「突然歌って踊り出すのおかしくない?」をテーマに、奇想天外で全く新しい笑えるミュージカルを作り出した。妻夫木聡、上野樹里、綾瀬はるか等をスターダムに押し上げてきた矢口監督が、本作で500人のオーディションからヒロイン・静香に選んだのは、今最も輝く若手女優/モデルの三吉彩花。ミュージカル苦手女子・静香の前に現れ物語の“重要なカギ”を握るのは、こズルい調査員の渡辺(ムロツヨシ)、お金とイケメンに弱いフリーターの千絵(やしろ優)、ワケありストリートミュージシャンの洋子(chay)、嘘くさい先輩エリート社員の村上(三浦貴大)、インチキ催眠術師のマーチン上田(宝田明)といったワケありのクセものたち。本格トレーニングを受けたキャストが自ら演じるミュージカルシーンに加え、ジワる笑いの連続でみんなをハッピーにする、予測不能なコメディミュージカルが誕生した!

物語

子供の頃からミュージカルが苦手な静香は、ある日突然、音楽が聞こえるとミュージカルスターのように歌い踊り出すカラダになってしまった!スマホ音や街中に溢れる音楽に反応して所かまわず歌い踊るせいで、彼女の日常はハチャメチャに。調査員の渡辺に依頼し、原因を探すため日本中を奔走するが…。そこには、裏がありそうなクセものたちとの出会いと予測不能の展開が待っていた!果たして静香は無事に元のカラダに戻れるのか!?


公開:8月16日(金)より、 全国公開中
(C)2019「ダンスウィズミー」製作委員会
配給:ワーナー・ブラザース映画
出演:三吉彩花 やしろ優 chay 三浦貴大・ムロツヨシ 宝田明
原作・脚本・監督:矢口史靖(『ウォーターボーイズ』『ハッピーフライト』)
企画・制作プロダクション:アルタミラピクチャーズ

この記事を書いた人

尾上正幸

(終活映画・ナビゲーター / 自分史活用推進協議会認定自分史アドバイザー / 株式会社東京葬祭取締役部長)

葬儀社に勤務する傍ら、終活ブーム以前よりエンディングノート活用や、後悔をしないための葬儀の知識などの講演を行う。終活の意義を、「自分自身の力になるためのライフデザイン」と再定義し、そのヒントは自分史にありと、終活関連、自分史関連の講演活動を積極的に展開。講演では終活映画・ナビゲーターとして、終活に関連する映画の紹介も必ず行っている。

著書:『実践エンディングノート』(共同通信社 2010年)、『本当に役立つ終活50問50答』(翔泳社 2015)

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