通夜、葬儀での名刺の渡し方。「弔」を書く位置、代理で参列する際のマナーも

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

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葬儀に参列したとき、会社の取引先や関係者と顔を合わせる機会は少なくありません。ビジネスシーンにおいては挨拶として名刺交換をすることが一般的ですが、葬儀の場ではどうなのでしょうか。ここでは、葬儀における名刺の渡し方やマナーなどについてご紹介します。知らずにマナー違反とならないよう、基本的な点をしっかりと理解しておきましょう。

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葬儀での名刺を渡しても良い?

職場の取引先の葬儀などに参列したとき、仕事の関係者と遭遇することは珍しくありません。ビジネスの場であれば挨拶をして名刺交換、という流れになることが多いのですが、葬儀の席ではマナー違反となるため注意が必要です。葬儀はあくまでも亡くなった方の冥福をお祈りする場です。故人や遺族をそっちのけで参列者同士で名刺交換し合っているというのは、あまりお葬式にふさわしい光景ではありません。基本的に葬儀の場における名刺の交換は控えた方が良いでしょう。

もちろん、お通夜に参加したときも、名刺交換をするのはマナーに反する行為となります。通夜も葬儀も、故人を偲んで行われるものだからです。またその席において、ビジネスの話や打ち合わせなどをするのもマナー違反です。そのような話は後日とし、通夜や葬儀の席では軽い挨拶程度にしておいたほうが無難でしょう。

ただし、取引先など職場の関係者に関係する葬儀に参列する場合は、遺族に対して自身の身分を明かす必要があるため、受付で名刺を渡します。

仕事関係の葬儀に参列する際の名刺の渡し方

個人として葬儀に参列する場合

自身の名刺の右上に「弔」と記載して受付で渡します。これは、葬儀に参列した人が誰なのかを主催者が把握するための印です。弔の文字を記載するときは、黒のボールペンなどを使います。色付きペンやシャープペンシル、鉛筆などはやめておきましょう。

「弔」の字は前もって名刺へ書いておきますが、忘れたときには名刺の左下を少し折った状態で渡しましょう。小さく三角形が下にできるように折ります。これで、「弔」の文字を記入したのと同じ意味を持ちます。「弔」の文字も折り目もないと、主催者が身分を把握できず、香典返しなどの対応が大変になってしまうこともあるため、どちらかの方法を選ぶと親切です。

なお、名刺の色については特にルールはありません。新しく作る必要もないので、普段から使用しているものを渡しましょう。

会社の代理として葬儀に参列する場合

会社の代表者が葬儀に参列できないとき、その代わりとして参列することもあります。このときは、自身の名刺とともに代表者や上司の名刺も持参しなくてはなりません。代表者や上司の名刺の右上には「弔」の文字を記入します。

受付で渡すのは代表者と代理人の名刺の2枚です。代理人の名刺には、右上に「代」の文字を記入しましょう。これによって、代理人が代わりに足を運んだという証明になります。受付では「〇〇の代理で参りました。」などと、口頭でも本人の代理で参列した旨を伝えるとよいでしょう。

芳名帳への記帳も忘れない

芳名帳への記帳も行います。喪主または施主からの香典返し、御礼状の送付などに必要となるため、きちんと記帳しましょう。

まずは自分の勤めている会社名と住所を記入し、自身の名前を書きます。代理の場合、本来参列するはずだった人の名前を記入した上で「代」や「代理」と書いてから、自身の名前を記入します。

住所は基本的に会社の本社、または軸となる営業所や事業所などの住所を記入します。原則として個人の住所を記入するわけではありませんが、記入した住所へ香典返しやお礼状が届くことになるため、場合によっては個人の住所を記入することもあります。会社で受け取るのなら会社の住所を、代表者が受け取るのなら代表者の住所を書きます。

香典と名刺のマナー

取引関係の葬儀でも基本的に香典は持っていきます。
名刺は香典袋に入れず、香典と一緒に受付で渡します。名刺盆という名刺用の小さなお盆が用意されていることが多いため、受付係から見やすい向きにして置きましょう。名刺盆がない場合は香典に添えて受付係に渡します。

また、香典の表書きは、故人の宗派によって変わります。例えば仏教なら「御香典」、神道なら「御玉串料」、キリスト教なら「献花料」というように、一般的な香典のマナーに従います。宗旨が分からないの場合は「御霊前」で問題ありません。

名前は代表者の氏名を書きます。その上に役職も記入し、右には社名を記載します。代理人として参列する場合では、名前の下に「代」と記入してください。

なお、香典に包む金額は故人との関係性によっても変わってきます。また、職場で香典の額などが決められている場合は会社のルールに則って用意します。

まとめ

葬儀にしても通夜にしても、会場で故人や遺族をそっちのけで、参列者同士、名刺交換をするのはマナー違反となるので注意が必要です。自身の身分を明かすために受付で名刺を渡すときにも、普段とはやや異なる作法があります。

ただし、社葬やお別れ会など、式そのものが故人とのお別れというよりも、ビジネス的な目的が強い場合もあります。例えば主催者側の営業担当者などが接客係として挨拶に回ったり、また参列者同士を引き合わせたりという場合は、かたくなに名刺交換を拒否するのではなく、その場の雰囲気に合わせることも大切です。

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