はじめてのお葬式ガイド
葬儀のことなら「いい葬儀」

終活や、参列のマナー、もしもの時におさえておきたいお葬式の知識など、はじめての方にもやさしく解説します。

空き家問題対策にも!親子で終活。専門家に聞いた実家の上手な片づけ方

世界一の高齢社会を迎える日本。終活という言葉も広く浸透する一方で、まだ自分のこととしてとらえるには抵抗があるという方も多いようです。親と一緒に終活に取り組みたいのに、なかなか言い出せなかったり。意識はしつつも実行に移しづらい、そんなデリケートな問題を解決する方法として「実家の片づけ」が注目されています。親の暮らす実家を片づけて、危険の少ない、暮らしやすい環境を整えることで、将来の負担も軽減するという取り組みです。さらに、今、社会問題にもなっている「空き家」対策にもつながります。

今回、実家片づけ整理協会代表理事、渡部亜矢さんに「実家の片づけ」についてお話を伺いました。

仕分けだけでもしておけば、親が万一の時に悩まず整理できる

どうして「実家の片づけ」をはじめたのですか?

もともと、片づけって意識したことがなかったんです。誰も教えてくれることでもありませんでしたし。ところが子どもが生まれた時に、物が増えて家の中がぐしゃぐしゃになってしまって。

当時は出版社に勤めていたこともあって、本で学ぼうと思い立ちました。ところが、いくら片づけの本を読んでもダメ。片づけの本がますます散らかってしまうような状況でした。これはいけないと、片づけについて真剣に考え始めたのがきっかけです。

その後、高齢の母が独りで暮らしている実家を片づけているうちに、そちらのノウハウが取り上げられるようになりました。同じ悩みを持っている方が多かったようですね。今は亡くなった祖父母や、おじさんおばさんなど、親だけでなく、親せきの家を片づけている若い人も結構いますから。

どうして高齢の親の暮らす「実家」には物があふれやすいのでしょう?

実際にいろいろなご自宅に伺ってみると、本当に、いろんな家があります。

高齢の方にとって、「片づける」「捨てる」という思考はあまりありません。物を見たら「とっておく」とか、「しまう」ということを考えるからです。これは、物のない時代を生きてきた世代であるということもあるでしょう。もったいないという思いもあります。

そもそも日本人は感覚的に、いろいろなところに神様がいると感じている人が多いようです。だから、捨てるということもしないのかもしれません。年末の大掃除も物を捨てるのではなく、すす払いの儀式から始まったとの説もあります。

物を捨てるのは悪いことだと考えている人たちに、「使える物だけ残しましょう」と言っても、伝わりません。この世代の方々にとっては、全部使える物、全部大事な物だからです。「子どもが使うかも」「孫が使うかも」、まだ生まれていないけれど「いつか曾孫が使うかも」というように、捨てない理由を探しているんです。

親にとって20年30年前は「最近」のことです。例えば私の母に「これは使ってるの?」と聞いても「最近使った」と答えます。では「いつ使ったの?」と聞くと、「誰々の結婚式」。「それって、もう15年も前の話じゃない!?」という具合です。そういう親たちに育てられ躾られてきたので、子世代の多くの人は基本的に捨てるということに、罪悪感を持っています。

物のなかった厳しい時代に生まれて、これまで何十年もの間そのような考え方で生きてきたわけですから、今すぐその考え方を変えて捨てた方が良いと言っても、それは無理です。

そもそも物を捨てる、捨てないは本人の意思なので、周りがとやかく言うことではないかもしれません。でも、例えばつまずいてまでとっておく必要はあるでしょうか?家の中で、ただ転んだだけなら問題はなかったのに、床にあった物にぶつかってけがをしてしまうとか。

将来家を売るにしても、施設に入るにしても、介護を受けるにしても、片づけておいた方が良いです。仕分けさえしておけば、親に万が一のことがあった時に、悩むことなく整理することができます。

片づけが大変なのは、「本当は必要ない物」のことをずっと考えてしまうから

でも、どうやって「実家の片づけ」をはじめればいいのか?大変そうな気もします。

親に片づけをしてもらうには、「捨てる」と言うと喧嘩になります。「捨てる」というよりは、「散らかっている物を、置いておいても安全な場所に移動する」と言う方が良いでしょう。

提案の仕方も、間違っても「足腰が弱っていて、つまずきやすいから」などと言ってはいけません。なぜなら多くの高齢者は、「自分は若い」と思っているから。ここは相手を立てた方がスムーズに進みます。こんな時、「防災のため」というアプローチの方法があります。例えば台風などで停電になってもつまずかないように、寝室からトイレまで「廊下の物を片づけよう」とか。

どうしても片づけが提案しづらかったら、実家に帰って子どものころに使っていた自分の部屋を片づけて見せるというのもおすすめです。使えなくなった家電とか、結構出てくるものです。そういう子どもの物を捨てる時に、「ついでに」親の許可をもらってくのもひとつの方法です。

片づけ方にコツはありますか?

実家を片づける時は、まず外回りとか、玄関とか、廊下とか、誰が見てもきれいにしておいた方がいい場所があります。その次に寝室とかリビングとか。そして最後に趣味のものを片づけます。いきなり趣味のものを片づけようとしても、絶対に片づきません。捨てられませんから。

片づけ方としては、私は「3の法則」と言っていますが、「いる」「いらない」、そして「一時保管」の3つに分類することです。「いる」「いらない」で分ける時、「いる物」は皆さん迷いません。スマホとかメガネとか迷わないですよね?土地の権利書も捨てませんよね。本当に必要な物は迷わないんです。反対に例えば傷んでしまった食材とか、「いらない物」も迷わない。

つまり片づけが大変なのは、「本当は必要ない物」のことをずっと考えてしまうから。だから疲れてしまうのです。そこで、「3秒以上迷ったら一時保管にしてしまう」ということをおすすめしています。

例えば昔買ったブランド物を捨てられないという人もいらっしゃるかもしれません。そんな時は捨てられない物を、一旦ゴミ袋の中に入れて保管してみてください。気持ちが離れるというか、だんだんゴミに見えてきます。愛着であったり、執着であったり。それ自体は悪いことではないのでしょうが、保有効果といって、長く持っていると価値があるように感じてしまうものなのです。

実家の片づけをはじめる時期はいつがいいとかありますか?

なるべく早いうち、親が元気な間に片づけられる物は片づけておいた方が、絶対に良いです。

粗大ごみはお金がかかるとか、面倒くさいといった理由で片づけをしないという方もいるかもしれません。確かに現在、多くの自治体で粗大ごみを捨てるのにはお金がかかります。しかし、消費税や人件費の値上がり、処分場の建て替えなどで、ゴミの処分費は今後もっと上がることが予想できます。今のうちに捨てられるものは捨てておかないと、いずれ片づけにもっと費用がかかるようになるでしょう。

喧嘩をしてまで片付けるのは面倒なので、「親が亡くなってから遺品整理屋さんに頼めば良いでしょ?」という方もいらっしゃるでしょう。でも、遺品整理で親の物を捨てると、親族間でもめごとにつながることもあります。その点、生前整理で「親の意思」で片付けるのであれば、問題はあまり起こりません。

また、遺品整理でまとめて片づけようとすると、本当に高額になる場合もあります。この時、誰がそのお金を払うのか?という問題もあります。生前整理であれば、片づけにかかる費用も、親のお金でできることも多い。何よりお葬式が終わったばかりで、遺品整理業者を探すのって大変じゃないですか?いろいろなことがスムーズなんです。
多少もめても、少しずつでも良いので、実家の片づけは早めにしておいた方が良いです。

さらに、親にはなかなか言いにくいことですが、認知症になってから家具の配置を変えると、自分の家であることを認識できなくなることがあるといわれています。また、今は入院期間もどんどん短くなっていますが、退院して自宅にベッドを置く場所がないということもあります。もちろん、「介護になったら困るから」と言ってはいけません。提案する時には「広い部屋で孫が遊べるように」といった言い方が良いでしょう。実際に介護が始まると、ケアマネさんとか、家に出入りする方も増えますから。きれいにしておいた方が良いです。

親が亡くなると実家の物は、必要ない物もすべて大切な思い出に変化してしまう

また施設に入るとしたら、六畳一間くらいのスペースで暮らす人も多くいらっしゃいます。つまり、身の回りの物も、六畳一間に収まるくらいの分しか置けないということです。自分で管理できればいいのですが、「自分で管理しましょう」というと、際限なく物は増えていきますから。

私は「両手の法則」と言っていますが、人は、普段の生活では自分の手の届く範囲の物しか使っていません。せいぜい直径1メートルと少し。物をそのくらいに収まるようにする。そうすれば、手の届かないところにあるものは「あれは置きっぱなしだから、必要ない」と決断できます。

今話題になっている空き家問題も、空き家のままにしておく理由の中に、実家に残った物の中に何か大事なものが入っているかもしれないとか、お金にならなくても何か思い出になるものがあるかもしれないとか、そういった不安があるのではないでしょうか?

親が亡くなるとそれらの物は、必要ない物も含めて、子どもにとってすべて大切な思い出に変化してしまうのです。結果、固定資産税が払えるのであれば、遠くで暮らしながらしばらく実家をそのまま残してしまう。いつか帰ろうと思いながらも、忙しくて帰れず、そのまま放置してしまうという人もいます。でも、放置しておくと家は傷みます。不動産屋さんの話では、一周忌過ぎてから家を売るとなると、家が傷んで価値は相当下がることが多いそうです。

親の終活も、「実家の片づけ」を手伝いながら進めるとスムーズに進みそうですね。

実家を片づけて物をどかしていくと、床がへこんでいる箇所があったりもします。また、古い家だと、タコ足配線になっていることも多いです。そういうのを修理するといくらかかるのか?という話から、少しずつ終活の話につなげることができますね。

片づけながら、必要なことをエンディングノートにまとめていけば良いですね。

エンディングノートが登場したてのころ、私も母親にあげたことがあります。ところが、母に「これ、年寄りが書くものじゃない?」と言われ、「あっ」と気が付きました。母は自分ではまだ若いと思っていたのですね。こんな時も、例えば「私も貴重品リストを作ったから」と子どもの方からはじめてみせたり。エンディングノートに抵抗があるなら、ノートでも手帳でもいいと思います。

使わない口座の解約も、ご本人が元気なうちにすれば簡単に済むことが、亡くなった後や、認知症になってからでは手続きは大変になります。やはり、早めに対処しておいた方が絶対に良いでしょう。

男親と女親では、実家の片づけのアプローチの方法が変わる

親が元気なうちに実家を片づけておいた方が、将来のトラブルが回避できるわけですね。

『カツオが磯野家を片づける日~後悔しない「親の家」片づけ入門~』 (SB新書)という実家の片づけ方の本なども書いているのですが、戻ってくる読書アンケートをみると、8割くらいが男性です。男性の方も片づけに悩んでいるのかもしれません。

男性は、おそらく平均寿命が女性に比べて短いせいだと思うのですが、自分が先に亡くなると考えている方も多く、「物を残しておいても、奥さんか子どもか、誰かがやってくれるだろう」とどこかで思っているのかもしれません。でも、奥さんが先立つ場合もあります。そんな方とお話していると、「家事は妻に任せっぱなしだったので、ごみの出し方も知らない」という方もいらっしゃいました。お母さんが亡くなった後、お父さんが独りで暮らす実家を久しぶりに訪ねたら、コンビニ弁当のゴミが山積みになっていたなんてことも。お父さんはコンビニでお弁当を買うことはできても、捨て方がわからなかったのです。

実家の片づけも、男親と女親ではアプローチの方法が異なります。

お母さんだったら「同年代の芸能人や、近所の誰それさんも片づけている」というように共感できる身近な人の話をすると興味を持ってもらいやすいです。お父さんの場合、「市役所のパンフレットに書いてあった」とか、「NHKの番組でやっていた」とか、家族や子どもの意見というよりも、ほかの権威者の意見としていうと聞いてもらいやすい。

さらに男性には指示を細かくした方が良いようです。

女性の場合、「片づけて」と言えば、玄関から廊下、そしてリビングと自分で片づけてくれますが、男性の場合、家事の経験が少ないので、「まずは玄関」と片づける場所を決めてあげる必要があります。「男性の靴は大きく場所を取ります。だからはかなくなった靴を捨てれば、そのスペースに防災グッズを置くこともできますよ」と、やることを明確に伝え、しかもその理由付けもする。すると、きちんと片づけてくれる人もいるので、あきらめずに家族は伝えていくといいでしょう。

父親と母親ではアプローチの仕方も違うのですね。終活の前か、同時進行で実家の片づけをすると、いろいろなことがスムーズに解決しそうです。早速、今年のお盆休み実家に帰って、試してみたいと思います。ありがとうございました。

【今回インタビューした人】

渡部亜矢

渡部亜矢 一般社団法人 実家片づけ整理協会 代表理事

一般社団法人 実家片づけ整理協会 代表理事
1965年生まれ。実家片づけアドバイザー育成講座、人生100年時代の親子で取り組む生前整理、空き家問題、遺品整理、物とお金の整理術、オンラインサロン「自宅と実家の片づけサロン」などを開講。出張片づけサービスを展開。『カツオが磯野家を片づける日~後悔しない「親の家」片づけ入門~』 SBクリエイティブ、『プロが教える実家の片づけ』ダイヤモンド社ほか、著書多数。

これからの人生を前向きに過ごすために 終活は早い時期から時期から進めましょう! いい葬儀会員なら入会費・年会費無料 葬儀社よりオリジナル特典+Amazonギフト券最大30,000円分 今すぐ0円で会員登録

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう。

5/5 (2)

よく利用される地域の葬儀場・斎場・火葬場

葬儀・お葬式を地域から探す