婚姻中は家族であった夫も、離婚すると他人同士の関係に戻ります。そんな元夫が亡くなったという知らせを受けた時、葬儀に参列するべきか迷う方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、元夫と血のつながりがある子どもを、一緒に参列させた方がいいのかも迷うところですよね。さまざまな心情が交錯する場面ですが、どのような対応を取るのが良いのか考えてみましょう。
元旦那の葬儀に行くべき場合
離婚した夫の葬儀に行くべきかそうでないかは、離婚の理由や離婚後の関係によるところが大きくなります。まず、行くべきと考える場合についてご説明します。
元夫の親族などから葬儀に招かれた場合は、できるだけ参列した方が良いでしょう。招かれたというのは、最後にお別れして欲しい・来ても構わないという気持ちの表れです。
もし気持ちが落ち着いていて、恨みや憎しみなど負の感情もなければ、人生の一部を共に過ごした相手を思い出し、葬儀に出向いた上で冥福を祈ってもいいのではないでしょうか。
ただ、もし離婚して間もなく気持ちが落ち着かない、または体調が優れないなどの理由があれば、断っても問題ないでしょう。
また、ご本人同士に離婚の意思はなくとも、義父・義母など家族関係のトラブルでやむなく離婚の道を選んだご夫婦もいらっしゃるでしょう。その場合は、葬儀・告別式に参列し最後のお別れをすることで、心の区切りがつくかもしれません。通夜は葬儀に比べて遺族との会話が多くなるため、気持ちの負担が増えることも考えられます。
元旦那の葬儀に行くべきでない場合
まだ離婚が成立しておらず離婚調停中である場合は、葬儀に行くよりも前に担当弁護士などに伝えた方が賢明です。たとえ雑談程度であったとしても、葬儀の場で話した内容がその後の調停に影響する可能性も捨てきれません。
また、元夫または自身が再婚している場合も、葬儀に参列することを今の家族が良く思わない可能性があります。円満離婚をしていて、現在の家族とも交流がある場合は別ですが、どちらかが再婚していれば葬儀には参列しないという選択もあります。場合によっては、現在の家族から相続権の話を持ちかけられる可能性もあります。
元配偶者には相続権はありませんが、子どもには相続権があるため、葬儀の場で収まる話ではありません。この場合は、日を改めて子どもの相続の話をする機会を作るようにしましょう。
離婚した理由が、暴力を受けていた・日常的に虐待されていたなどの場合も、葬儀に行くべきでないと考えられます。葬儀に参列することで、当時の辛い思い出が蘇ってしまうのであれば、行く必要は全くないのです。参列しなくとも、誰かに責められることは考えにくいでしょう。
離婚したことで、赤の他人に戻ったと吹っ切れているならば、その時点で葬儀に参列する理由はなくなります。無理に参列する必要はありません。
離婚した元旦那の子どもを葬儀に連れて行くべきか
夫婦は、離婚すると赤の他人に戻りますが、元夫が子どもにとって親である事実は変わりません。
成人している子どもならば、すべて本人の意思や行動に任せましょう。
未成年の子どもが自分の意思を伝えられる年齢に達していて、参列したいと言う場合は、親の判断によります。しかし、これまで葬儀に参列したことがない子どもの場合は、葬儀会場に同行してあげた方が、子どもも安心して故人の冥福を祈ることができるでしょう。中高生くらいになれば、子どものみで参列できるかもしれません。
なお、子どもが参列する場合も、香典の氏名は親権を持っている人物の氏名を書くのが一般的のようです。香典の相場は、親権者が一緒に参列する時と同様です。
反対に、子どもが元夫に対して良い心情を抱いていない場合や、まだ乳幼児であれば、無理に連れて行かなくとも問題ありません。子どもを無理やり葬儀に参列させることで、子どもが傷ついてしまわないよう注意してください。
離婚した夫の葬儀に参列するかは落ち着いて考えて
離婚した夫の葬儀への参列について、行くべき場合・行くべきでない場合双方の視点についてご紹介しました。時には親族から葬儀費用の相談をされるというケースもあるようですが、喪主、施主でない場合、葬儀費用を負担する必要はありません。子どもがいる場合は相続に関する問題もあるため、より複雑になる場合も。最終的に参列を判断するのは、元配偶者ご本人ですが、一旦は相続と供養は切り離して、落ち着いて考えてみるのもひとつの方法です。