導師とは?意味や役僧との違い、葬儀で必要な僧侶の人数を解説

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

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  • 導師とは、法要の最高責任者として式を統括し、作法を取り仕切る僧侶
  • 一般的な葬儀では、導師1名と脇導師1名、合計2名の組み合わせが多い
  • 僧侶へのお布施の総額は、事前に菩提寺へ確認しておくのがベター

「導師」とは本来、人びとに説教(仏教の教えを説く)をする立場の人を意味する呼称です。しかし近年では、葬儀や仏事、法会などを主宰し、主だった役割を担う高僧のことを指すようになりました。普段は「和尚様」「ご住職」と呼ばれる僧侶も、特定の行事では「ご導師様」と呼ばれます。導師を務めるのはお寺の住職など、地位の高い役職の僧侶です。

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導師(どうし)とは法要の最高責任者

規模の大きな葬儀や法要では、大勢の僧侶が祭壇の前に整列し、荘厳な雰囲気の中で粛々と儀式が執り行われます。このとき法要の最高責任者として式を統括し、もっとも重要な作法を取り仕切る僧侶を「導師」と呼びます。迷える人びとに仏の教えを説き、正道(しょうどう:人としての正しい道)を教える役割から「引導僧(いんどうそう)」などの別名で呼ばれることもあります。

導師には、いくつかの種類があります。例えば、大勢の僧侶が集まる集会の「法会(ほうえ)」などで率先して読経する高僧は「唱導師(しょうどうし)」と呼ばれます。また、法要全体を統括する僧侶を「大導師(だいどうし)」、部分的に特定の作法を行う僧侶を「時導師(じどうし)」として区別することもあります。

導師と違う?脇導師と役僧(伴僧)の役割

都市部の葬儀では、導師がひとりで法要を執り行う葬儀も増えました。しかし本来の仏教の伝統としては、僧侶がひとりで法要行為をすることはなく、お寺総出で死者を弔うのが一般的です。禅語ではこれを「大衆威神力(だいしゅいじんりき)」と称し、ひとり一人の僧侶がもつ法力を結集し、「縁の力」によって故人の成仏を成し遂げることができるとしています。

今でも地方によっては4人、7人と、大勢の僧侶による法要が営まれることがあります。そのために、他の寺から呼ばれる僧侶のことを「出仕僧侶(しゅっしそうりょ)」といいます。

複数の僧侶が葬儀を執り行う場合は、導師の次に格が高い「脇導師(わきどうし)」や、「役僧(やくそう)」と呼ばれる僧侶が、導師につき従って各々の役割を担います。脇導師は、住職の資格を有する僧侶のみが務められ、法要では導師に準ずる役割を果たします。

役僧は導師の下に就く僧侶で「伴僧(ばんそう)」とも呼ばれます。脇導師と違い、住職以外でも務めることができます。役僧は導師の補佐役として式の準備や案内、木魚や鐃鈸(にょうはち)などの鳴り物を担当しますが、近年の葬儀では省かれることも少なくありません。

なお、役僧には、まだ半人前の僧侶が葬儀の現場を体験することで成長する、ある意味修行の意味もあるようです。故人を盛大に送ると同時に、地域全体でお寺の人材を育てるといった意味合いです。

葬儀には導師以外に何人のお坊さんが必要?

宗派や葬儀社によっても異なりますが、伝統的な葬儀では、少なくとも3人から4人の僧侶による進行が前提です。最近の一般的な葬儀では、導師と脇導師1名という組み合わせが多いようです。導師が菩提寺の住職で、脇導師がその息子の副住職ということもあります。このように人数や作法の内容を簡略化することで僧侶の人数は減らせますが、宗派やお寺によっては最低人数を指定されたり、少人数による法要は略式として扱われたりすることもあります。

導師や役僧にかかる「お布施」の額については、宗派や地域によってさまざまですが、全国平均では、僧侶一人当たりで10万円から30万円が相場といわれています。役僧ごとのお布施額まで決まっているところもあれば、お布施とは別に「お車代」や「寸志」として個別に支払う場合もあります。

僧侶と事前に打ち合わせをしてトラブルを防止

正式な葬儀では、導師をはじめ脇導師や役僧など多くの僧侶が進行に関わります。そこで確認を疎かにすると、行き違いが生まれ「思いがけず多くの僧侶があらわれて、予想以上にお布施がかさんでしまった」ということにもなりかねません。

大切な家族を亡くした遺族は、つつがなく故人を送るため、悲しみに暮れる暇もなく慌ただしい時間を過ごします。葬儀社もサポートはしてくれますが、お布施の金額や僧侶の人数には関与しない業者もあります。そのため、後になって葬儀に関する金銭的なトラブルや不満が出ることもあるようです。

檀家とお寺との縁が希薄な現在では、そもそもの認識にずれが生じている可能性もあります。たとえ先祖代々お付き合いのある菩提寺でも、どの程度の式になるのか、お布施の総額はどの程度になるのか、事前に打ち合わせをして確認しておくことが必要です。その際は、僧侶の人数を指定するのではなく、先にお布施の予算を告げておいて、後はその枠の中でお任せするという方法もあります。

導師のまとめ

昨今では価値観の多様化や時代の変化に伴い、葬儀を簡略化して負担を軽減しようとする流れがある一方、故人の成仏を願って盛大に弔いたいと願う遺族も少なくありません。葬儀を営む場合には、無用な金銭トラブルを回避するためにも、導師をはじめ何人くらいの僧侶が式に参加するのか、事前の打ち合わせを綿密にすることが望まれます。葬儀のご相談やお見積もりの作成など、葬儀に関するお困りごとがありましたら、お気軽にご連絡ください。

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