枕団子・枕飯とは?意味や作り方、飾る期間などのマナー

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

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  • 枕団子と枕飯とは、遺体を棺に納めるまでの間、故人の枕元に供える枕飾り
  • 枕飯は、1合のご飯を茶碗によそい、箸を垂直に挿して供える
  • 枕団子は、うるち米の米粉で作った団子を、高く積み上げて供える

仏教では亡くなられた方を偲んで、さまざまな式典や仏具で冥福を祈ります。見たことや聞いたことはあっても、実際には意味や由来を知らないという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、亡くなられた方に供える枕飯や枕団子について詳しく紹介しています。同じ仏教でも地域や宗派によって慣習が異なるので、それぞれに見合った供え方をしましょう。

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枕団子・枕飯に代表される枕飾りとは【宗教別】

枕飾りとは、亡くなられた方の遺体を安置する際、故人を棺に納めるまでの間、遺体の枕元に用意する飾りつけです。仏具と共に供物などをお供えします。

仏式の枕飾り

仏式では、白い布をかけた小さな机、または白木の台を用意し、その上に花立、香炉、燭台の三具足を飾ります。いつ弔問客が訪れても、お焼香や礼拝ができるというのがポイントです。自宅で安置する場合、これらの仏具は日常、自宅の仏壇で使用するものでもよいといわれていますが、最近では、葬祭ホールなどの安置施設に安置するケースも多く、枕飾り一式を葬儀社が用意してくれるのが一般的です。

また、例えば浄土真宗では枕飾りは質素にし、代わりに本尊を安置するなど、宗派や地域の習わし、それぞれのお寺の考え方によっても違いがあります。

キリスト教、神道での枕飾り

枕飾りは仏教に限らず、神道やキリスト教などでも多く見られるしきたりです。それぞれの宗教で飾るものや飾り方が変わります。

例えば、キリスト教では遺体の顔を白布で覆い、枕元に十字架とろうそくを置きます。

一方、神道では、故人の枕元に小机を置き、洗ったお米と塩、水、そして故人の好きだった食べ物などを素焼きの皿に入れて、三宝に入れてお供えします。古くは遺体を安置した部屋にしめ縄を張るといった習わしもありました。

宗旨・宗派の違いだけでなく、地域性や宗教者の考え方などもありますので、詳しくは葬儀社や宗教者に確認するとよいでしょう。

枕飾りの意味と役割

枕飾りには、亡くなられた方の魂に迷わず成仏をしてもらうための「道しるべ」としての役割もあります。亡くなってから間もない方の魂は、人としての欲を捨てきれず、この世ヘの未練が残っていると言われます。そこで枕飾りを供えてこの世への執着心を浄化させて、成仏をしてもらうのです。

枕飯とは?由来と用意の仕方

枕飯とは枕飾りの中に含まれる、亡くなられた方に供えるご飯のことです。もともとは故人の霊がご飯に宿り、復活することを願う呪術的な意味合いがあったといわれています。地域によってさまざまなバリエーションがあるものの、日本全国に見られる風習です。

一般的には、故人が生前に愛用していた茶碗を使い、ご飯を高く盛り付けます。そして、そこに生前に使われていた箸か割りばしを垂直に挿します。

枕飯の由来とは?

もともとは、一膳飯と言われ、嫁入りや引っ越しなど、旅立ってもうここには戻らないという場面で出されていました。そこから転じて、いつしか亡くなった方がこの世で最後にとる食事として、葬式での作法になったのです。そして枕飾りとしても供えることから、枕飯という言葉になりました。今では縁起の悪いものとされ、日常生活でご飯にお箸を垂直に立てて刺すのは行儀の悪いこととされています。

枕飯の炊き方

昔は、亡くなった方のために臨時のかまどを設け、そこで1合を炊いて枕飯にしていました。これは炊いたご飯をすべて供えることで、不幸を取りこぼさないようにという意味からです。現在では普通に炊いたご飯から取り分けていることが多くなりましたが、その際は最初によそうのがポイントです。

枕飯のご飯の盛り方

ご飯の盛り方は、亡くなられた方がこの世に未練を残さないよう、高ければ高いほどよいとされます。ご飯の真ん中に箸を立てるのも、ご飯が盛られている高さをより高く見せるという効果があるのです。

また、1合分のご飯を茶碗にきれいに盛り付けるにはポイントがあります。2つの茶碗にご飯をよそい、それらを合わせて片方の茶碗を取り除くと、半球状にきれいに盛り付けられます。

枕飯の箸の立て方

箸の立て方は、地域や宗派によって違いがあります。対の一膳を一本に見えるように立てる方法や、一本のみを立てる方法、一本を垂直に立て一本を横に挿し十字にする方法などです。十字にするのは、垂直の箸を「火」に、横の箸を「水」に見立て、「火」と「水」でお清めをするという意味があります。

枕団子とは?由来と作り方

枕団子は亡くなられた方へ供えるお団子で、うるち米の米粉でつくります。枕飾りとしてお供えされ、枕飯と同じく高く積みあげるのもポイントです。

枕団子には、冥途への旅の途中でお腹が空いたらいつでも食べられるように、あるいは旅の途中で空腹に苦しむ人々に会ったら団子を分けることで功徳を積めるように、という思いが込められています。また、枕団子を見て食べたいと思って蘇って欲しい、という願いもあったようです。

枕団子の由来とは?

枕飾りにお団子を供える由来は、お釈迦さまが悟りの世界へ旅立ったときの出来事が基になったという説があります。

弟子である菩薩が香飯(清浄なご飯)を渡そうとしましたが、お釈迦さまは食べず、そのまま旅立たれました。そこでお釈迦さまが亡くなられた後に、お団子をお供えしたとされるのです。

枕団子の数にも意味があります。一般的には、地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天井の六道に合わせて、6個を使いますが、地域によっては13個、49個などもあります。

枕飯・枕団子はいつまで飾る?

枕飯は、故人が亡くなられた日からお葬式まで、毎日炊き立てのご飯に変えることが多いようです。前日までの枕飯は、半紙などにくるんで棺へ納めます。

枕団子も、乾いたり形が崩れ出したら、新しい枕団子と交換します。それまで供えていた枕団子は、枕飯と同様、半紙にくるんで棺に納めます。

お葬式の当日に供えてた枕飯や枕団子も、最終的にはすべて棺へと納めます。

枕団子・枕飯は故人の冥福を祈って用意するもの

枕飯や枕団子について紹介しました。葬儀に関連する習わしは宗旨や宗派、地域性による違いも多々ありますが、いずれも亡くなられた方への敬意を示し、ご冥福を祈るために用意されるものです。葬儀に関することでお悩みの方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。

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