満中陰志とは?お返しの時期と金額、のし・挨拶状の書き方

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

香典を郵送するマナーと注意点【手紙に書ける短い例文あり】
スマホCTA(電話をかける)
記事を先読み
  • 満中陰志とは、忌明けの報告と香典へのお礼を兼ねて贈る品物
  • 満中陰志は、四十九日法要の終了後から1か月以内に贈るのがマナー
  • 満中陰志の金額相場は、いただいた香典の半分(半返し)から3分の1

満中陰志(まんちゅういんし)とは、四十九日法要を終えたあと、忌明けの報告と香典へのお礼を兼ねてご弔慰をいただいた方へ贈る品物のこと。一般的な「香典返し」と同じ意味です。

ただ「満中陰志」を使う時期やのし、水引は、地域やタイミングによって変わります。また贈ってはいけない品物があったり、渡し方が決まっていたりするので注意が必要。

この記事では、満中陰志の意味や相場金額、お返しのマナーをまとめて解説します。

Adsense(SYASOH_PJ-195)

満中陰志(まんちゅういんし)の意味とは?中陰志とは何?

満中陰志=香典返し 中陰=四十九日 満中陰=四十九日明け(忌明け) 満中陰法要=四十九日法要

中陰は四十九日、満中陰は忌明けと同じ意味

満中陰志の「中陰」とは、仏教用語で「人が亡くなったあとの49日間」を意味する言葉。また、”中陰が満ちる”と書く「満中陰」は、「49日の期間を無事に終えた」ことを表します。

つまり、中陰は四十九日、満中陰は四十九日明け(忌明け)と同じ意味だと考えて問題ありません。

満中陰志は香典返しと同じ意味

中陰の間、故人の魂は7日ごとに審判を受け、49日目に生まれ変わる世界が決まるとされています。そのため仏式では、命日から49日目に四十九日法要(満中陰法要)」を行い、極楽浄土へ旅立つ故人を盛大に供養するのがしきたりです。

「満中陰志」は、中陰(四十九日)を無事に終えられた感謝と、満中陰(忌明け)の報告を兼ねて贈る品物のこと。四十九日法要を済ませたあとに贈るのが一般的で、別名「香典返し」と呼ばれています。満中陰志と香典返しはほぼ同じ意味ですが、「満中陰志」を使うのは主に関西。関東やそのほかの地域では「香典返し」と呼ばれます。

また前述した通り、中陰は仏教用語。神道やキリスト教など、他の宗教で「満中陰志」は使いません。

満中陰志と粗供養(そくよう)の違い

意味渡すタイミング同じ意味の言葉
満中陰志忌明けの報告と香典へのお礼を兼ねて贈る品物四十九日法要のあと香典返し
粗供養葬儀・法要の参列に対するお礼として渡す品物葬儀・法要の当日会葬御礼品

西日本地域では、満中陰志のほかに「粗供養(そくよう)」という言葉を用います。

粗供養とは、葬儀・法要に参列して、供養してくださった方へ贈るささやかな品物のこと。葬儀・法要の当日に、喪主が参列者へお礼として渡す返礼品を意味しています。

対する満中陰志は、忌明けの報告と香典へのお礼を兼ねて、四十九日法要のあと贈る品物。粗供養はいわゆる会葬御礼品、満中陰志は香典返しにあたり、意味が異なるため注意が必要です。

満中陰志と粗供養、両方用意する場合は?

満中陰志と粗供養は別物なので、両方該当する方には、それぞれ品物を用意しなければなりません

たとえば四十九日法要の参列者には、参列のお礼として当日に粗供養を、香典のお礼として法要終了後に満中陰志をお渡しするのが一般的。法要の当日に香典返しを渡すのなら、粗供養と満中陰志、2つの品物をお渡しします。

また粗供養に挨拶状は不要ですが、満中陰志には挨拶状を添えるのが通例。文中には、葬儀に参列していただいたお礼と、無事に四十九日を終えられたことへの感謝の言葉をしたためます。品物を直接お渡しできない場合は、郵送でお贈りする旨も記入すると失礼がなく、より丁寧な対応です。

満中陰志の時期とは?お返しはいつまで?

満中陰志は、四十九日法要の終了後、1か月以内を目安にお返しするのがマナーです。

そもそも満中陰志とは、香典返しと同じく、四十九日法要を終えた報告と感謝を込めて贈る品物。四十九日が明ける前に送れないのはもちろん、一周忌や三周忌など、ほかの法要の香典返しと重なってはいけません。

四十九日法要の準備と並行して満中陰志を手配しておけば、最適なタイミングで届けられます。

満中陰志の金額相場

満中陰志の金額相場:いただいた香典の半分(半返し) 満中陰志を即日返しで渡す場合:2,000円~5,000円がおすすめ 即日返し+高額な香典をいただいた場合:半返しの金額ー即日返しの金額

満中陰志でお返しする品物の金額相場は、いただいた香典の半分(半返し)が基本。

たとえば、2万円の香典をいただいた方には、1万円の品物を贈るのが一般的です。ただ香典が高額なら、3分の1の金額でも問題ないとされています。

また最近は、通夜・葬儀の当日に香典返しを渡す「即日返し(即返し・当日返し)」を行う地域が増えています。即日返しをする場合は、いただく香典の金額に関係なく、一律の品物をお返しするのが通例。即日返しでは、2,000円〜5,000円を目安に品物を用意しましょう。半返しをふまえると、いただいた香典が5,000円〜1万円以下であれば、後日追加で満中陰志を送る必要がありません。

高額な香典をいただいた方には、即日返しにくわえて、忌明け後に満中陰志も贈ります。即日返しと満中陰志を両方渡す相手には、即日返しの金額を差し引いた品物を選ぶこと。たとえば、いただいた香典が2万円で、2,000円の即日返しを渡しているとします。この場合、満中陰志の金額1万円から、即日返し分の2,000円を差し引き、8,000円の品物を贈りましょう。

満中陰志のお返しにおすすめの品物

満中陰志におすすめの品物 不祝儀をあとに残さないように消えものが定番 食品:日本酒・海苔・お米・調味料 消耗品:石鹸・洗剤 日用品:タオル・シーツ その他:カタログギフト

満中陰志には、食用品や日用品など、形の残らない「消えもの」を選ぶのが定番。消えものを選ぶのは、不祝儀(凶事や不吉な出来事)をあとに残さないようにという意味が込められているからです。

満中陰志でよく選ばれているのは、食品なら日本茶や海苔、お米、調味料。消耗品なら、石鹸や洗剤です。満中陰志は、長期間保存できて、いくつあっても困らない品物を贈ると喜ばれます。

消え物ではありませんが、タオルやシーツのような日用品も好まれている様子。また近年では、受け取った側が品物を選べるカタログギフトを選ぶ方が増えています。香典返しではタブーとされる肉やお酒も、カタログギフトで本人が選んだなら問題ありません。贈る側は負担が減り、贈られる側は都合に合わせて好きなものを選べると人気です。

満中陰志のお返しにふさわしくない品物

満中陰志でNGな品物 四つ足生臭もの:生肉・生魚 縁起物:お酒・昆布・鰹節 その他:商品券

満中陰志では、タブーとされている品物があるため注意が必要。

まず「四つ足生臭もの」と呼ばれる生肉と生魚は、仏教で禁じられている殺生を連想するためNGです。またお酒や昆布、鰹節など、お祝い事や神事で使われる「縁起物」も避けられています。ただ缶詰や瓶詰などに加工されていたり、食品の一部に使われていたりする程度であれば問題ありません。

また商品券は、満中陰志を贈る相手によっては失礼にあたる可能性があります。

商品券は現金と同じように使えるため「現金を突き返された」と感じたり、お返しの金額がわかって不愉快だと思ったりする方がいるかもしれません。自分より立場が上の方や、慣習を重んじる年配の方に商品券を贈るのは、避けた方が無難です。

満中陰志ののしの書き方

満中陰志ののしの書き方 表書き:満中陰志 署名:喪主の名前 水引:黒白または黄白の結び切り

本来のし紙は、結婚式や出産など、お祝い事の贈り物にかけるもの。満中陰志をはじめとするお悔やみ事では、のし紙ではなく掛け紙を使うのが正解です。

満中陰志につける掛け紙には、表書きとして「満中陰志」と記載します。ただ即日返しの場合は、四十九日が終わってない段階でお返しするため、「志」を使うようにしてください。また表書きの下には、喪主のフルネームを記載します。

満中陰志の水引は、黄白または黒白の結び切り。一度結んだらほどけない結び切りには「不幸を繰り返さないように」という思いが込められています。水引の色は関西が黄白、それ以外は黒白が一般的ですが、わからない場合は葬儀社に相談しましょう。

そのほか、包装紙の内側にのしをかける「内のし(内掛け)」か、外側にかける「外のし(外掛け)」かで悩む方がいるかもしれません。満中陰志を表書きにする関西地方では、掛け紙を巻いてから包装紙で包む「内のし」が一般的。内のしは、掛け紙が破れたり汚れたりするのを防げるため、満中陰志を郵送するときにも適しています。

満中陰志の挨拶状の書き方

満中陰志の挨拶状の書き方 ①頭語 ②ご弔慰に対するお礼 ③満中陰法要を無事終えた報告 ④(ある場合は)戒名 ⑤書面で挨拶をすることへのお詫び ⑥追伸:満中陰志の品物を贈った旨 ⑦結語 ⑧日付 ⑨署名 満中陰志の挨拶状のルール 句読点を使用しない 季節の挨拶を入れない

①頭語

②ご弔慰に対するお礼

③満中陰法要を無事終えた報告

④(ある場合は)戒名

⑤書面で挨拶をすることへのお詫び

⑥満中陰志の品物を贈った旨

⑦結語

⑧日付

⑨署名

満中陰志は、香典や弔電、供花など、ご弔意をいただいた方に贈るお礼の品物。品物には挨拶状を添えてお返しするのがマナーです。挨拶状は、最高級の公用紙として使われる奉書紙に、薄墨の毛筆で書くのが一般的。奉書紙や薄墨の筆ペンは、文具店やデパートなどで購入できるので確認してみましょう。

満中陰志に添える挨拶状では、まずご弔慰に対するお礼を述べます。続いて、満中陰法要を滞りなく終えた報告を行い、故人の戒名がある場合は戒名もお伝えしてください。そして、本来であれば直接喪主が伺うべきところを書面で済ませる非礼を詫びて一度文章を締め、「満中陰志の品物を受け取ってほしい」という文章を追伸で記載します。

また満中陰の挨拶状には「頭語と結語を入れる」「句読点を使用しない」「季節の挨拶を入れない」といったマナーがありますので、遵守した文章を作成するようにしましょう。

満中陰志の渡し方とマナー

忌明けの挨拶を兼ねている満中陰志は、本来相手の自宅へ伺い、直接手渡すのがマナーです。ただ最近は、時代の変化に伴って、郵送で満中陰志を届けるご遺族も増えています。

手渡しと郵送、両方の満中陰志の渡し方とマナーを確認しておきましょう。

満中陰志を手渡しする

満中陰志を手渡しするときは、まず訪問する日時を相手と相談します。自宅へ伺うわけですから、相手の都合を最優先に考えて、必ず約束を取り付けてから訪問してください。

自宅を訪問したら、ご弔慰への感謝と忌明けを迎えた報告を簡潔に伝え、満中陰志を渡します。口頭で直接お礼を伝えるので、満中陰志を手渡しするなら挨拶状は不要です。

満中陰志を郵送する

満中陰志を郵送するときは、必ず挨拶状を添えてください。また相手側にお祝い事の予定があるなら、到着日時が重ならないように調整します。

送り状の品物欄には「お茶」「お菓子」「海苔」など、具体的な内容品を記載すること。前述しましたが、送り状を懸け紙に貼るのは破れたり汚れたりしやすいので、必ず内のしを選びましょう。

満中陰志が届いたら?お礼の言葉は返さない

満中陰志を受け取ったら、お礼の品や言葉を返さないよう注意してください。

そもそも満中陰志は、弔慰をいただいた方へ喪主・遺族が贈るお礼の品。お礼に対してお礼を返すのは、「礼に礼を重ねる=不幸を重ねる」という意味になるため、避けるべきとされています。「お気遣い恐縮です」「お心遣い痛み入ります」などといった言葉を選ぶとよいでしょう。

また郵送で満中陰志を受け取った場合、手元に届いたことを贈り主に報告してあげた方が親切です。手紙やはがきだと丁寧ですが、親しい間柄であれば、電話やメールでもかまいません。

どの連絡方法を選ぶにせよ、遺族への配慮を忘れず、手短に用件を伝えるようにしてください。

満中陰志に関するよくある質問

満中陰志とは何?四十九日との違いは?

満中陰志(まんちゅういんし)とは、中陰を無事に終えられた感謝と満中陰の報告を兼ねて、弔慰をいただいた方へ四十九日法要のあとに贈る品物のこと。

満中陰志の「中陰」は四十九日、「満中陰」は四十九日明け(忌明け)を意味していて、満中陰志は香典返しの別名でもあります。「満中陰志」を使うのは主に関西で、関東やそのほかの地域では「香典返し」と呼ばれています。

満中陰志のお返しはいつまで?

満中陰志は、四十九日法要のあとから1か月以内にお返しするのがマナーです。四十九日法要の準備と並行して満中陰志を手配しておけば、最適なタイミングで届けられます。

葬儀・お葬式を地域から探す