検死とは、死体を検分することです。検死という言葉はよく刑事ドラマなどで登場しますが、家族が亡くなってしまった場合、検死が必要なのかどうか、どのように対応してよいのかわからない方も多いと思います。
今回は「検死はどのような場合に行われるのか」「自宅で家族が亡くなったときはどのように対応するのか」など、検死について詳しくご紹介します。
目次
検死とは?検視・検案・解剖の違い
検死は、法律用語ではなく、検視と検案、解剖の3つを包括した言葉です。同じ読み方で漢字も似ているので、検視と同じ意味合いで使われることが多いです。
検視
「検視」は、遺体や周囲の状況を調べて、犯罪の疑いがあるか判断する刑事手続で、本来、検察官が行うとされています。警察官による代行も認められていて、検視官が行います。検視官は、刑事経験を10年以上または殺人事件の捜査を4年以上経験し、警察大学校で法医学を修了している警視・警部が任官します。実際には、検視が必要なすべての遺体に対応するのは難しいので、一般の警察官が代わりに行うことが多いです。
検案
「検案」は、監察医、法医学者などの医師が、遺体の外表面を検査し、病気の既往歴や死亡時の状況などから、死因や死亡時刻を医学的に判定します。
解剖
「解剖」は、死因や犯罪性を検視・検案では判定できないときに行います。司法解剖と行政解剖、新法解剖の3種類があります。司法解剖は裁判所の許可、行政解剖は遺族の承諾が必要です。新法解剖は、警察署長や海上保安部長などの判断により、遺族の承諾を得られなくても行えます。
検死が必要になるケース
検死(検死・検案・解剖)は、次のような場合に行います。
・病死・自然死(老衰)であっても、病院以外での死亡や主治医(かかりつけ医)がいないときまたは連絡が取れないとき
・病死・自然死であるのか判断が難しい場合
・指定感染症や中毒で死亡
・自殺
・交通事故や溺死などの事故で死亡
・地震や水害などの災害で死亡
・殺人や過失致死などの犯罪、または犯罪が疑われる場合
同じ病死でも、死亡場所が病院なのか病院以外なのか、主治医がいるのか、いないのかによって異なります。病院内での死亡でも、病院の医師が死因に不審な点があると判断したときは、警察に届出をして、検視・検案をします。
家族が自宅で亡くなったときの対応
もし、家族が病院ではなく、自宅で死亡したときはどのように対応するべきなのでしょうか。主治医がいる場合といない場合では、その対応は異なります。
主治医がいる場合
まず、病院に連絡します。診察後24時間以内に、持病が原因で死亡したときは、改めて診察を受けなくても、死亡診断書の交付を受けられます。
診察後24時間経過していたら、主治医の診察を受けて、持病に関連していると判断されたときは、死亡診断書の交付を受けられます。しかし、持病との関連性が認められないときは、医師が警察に届出をし、検視・検案をします。
主治医がいない、または連絡が取れない場合
主治医がいない、または連絡が取れないときは、検視が必要なので、まず、警察に連絡します。遺体はそのままの状態にしておき、暑い夏でも、遺体をドライアイスや氷などで冷やすことは避けましょう。
検視は拒否できるのか
警察は、連絡や届出があったときは、令状や家族の承諾がなくても、住居等に立ち入ることが可能です。どんな場合でも、検視は拒否できず、事情聴取を受けなければなりません。気が動転してしまい、冷静さを失っている場合もあるかと思いますが、死亡時の状況や病気の既往歴などについて、できるだけ正確に伝えましょう。
一般的に、警察署に遺体を安置して、検視官による検視と監察医などによる検案があります。死因に不審な点がなく、犯罪の疑いがないと判断されたら、死体検案書の交付を受けられます。しかし、犯罪の疑いがあると判断されたら、行政解剖または司法解剖をします。
検視・検案・解剖にかかる費用は誰が負担する?
遺体を自宅から検死場所へ移送する費用や終了後に自宅や葬儀会場へ移送する費用、死体検案書の交付費用などの費用が発生します。
東京都23区では、これらの費用を自治体が負担するので無料ですが、全額または一部が遺族の負担になる自治体もあります。検死が行われたときは、どのくらいの費用を支払わなければならないのか、警察に問い合わせてみてください。
万が一、解剖になったときは、解剖費用が発生します。行政解剖は、自治体によって負担額が異なりますが、司法解剖は全額を国が負担します。
遺体の引取りと葬儀社への依頼
死亡検案書の交付を受けられれば、遺体の引取りと葬儀の準備に取り掛かります。
警察からの連絡を受けてから、慌てて葬儀社に依頼すると、相場より高額な費用を請求されたり、思い通りの葬儀を執り行えないこともあります。犯罪の疑いがなければ、即日か翌日までには終了するので、早めに葬儀社を決めておくとよいでしょう。
検死は状況によって実施の有無が変わる
今回は検死についてご紹介しました。検死は、状況によって実施の有無が異なります。ただでさえ家族が亡くなって動揺しているときに、検死や検案が必要であると言われると、不安な気持ちになります。万が一のときのために、今回の記事を参考にして、冷静に対応していただければと思います。遺体の引取りや葬儀の内容など相談したい方は、ぜひ、お気軽にご連絡ください。