【終活映画】「家族に迷惑をかけたくない」だけでは足りない終活に気が付く『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』

2019年3月11日

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今、終活を考えようとしている方がいて、その考えが「家族に迷惑をかけないように」といったいわゆる終い支度を中心に考えている方がいたら、先ず映画館に出かけてみていただきたい映画です。そして、近親者との死別により悲しみとその痛みから苦しんでいる方にも見ていただきたい、映画が終わった時に心からそう思える映画でした。

失ったその人を自分の中に入れるということ

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本当のことを言うと、このタイトルが嫌で出かけてみる気になかなかならなかった映画でした。

そう言った意味においては、映画のタイトルはワクワク感が必要だと思うのです。なぜにこんなタイトルをつけたのか、映画館で知ったのですが原作コミックのタイトルそのままに、内容は作家の方の体験から事実をもとに作られたという事でした。

確かに私の経験からも、火葬場で収骨のときに小さな遺骨をその場で口にした方がいらしたこともあります。ありえない事ではないのです。

失ったその人を少しでも自分の中に入れることでこの苦しさから救われるのではないか?

そんな風に考えたのかもしれません。

相当に驚いたのを覚えております。

その衝動を気持ちとして理解はしていても。そんな映画タイトルとしてみるのはやはり衝撃的ではありました。

ストーリーの大半は、葬儀式場と火葬場での回想シーンになります。

幼いころからの母親との関係や、母に励まされてきた自分、自分自身がくじけずに生きてこられたその背景にはいつも母親がいたことに、末っ子のサトシは母のがん宣告を受けた時に気が付くのです。

自分ならそんな母親のことを励ますことができるのではないか、病から救うことができるのではないかと。

一生懸命に頑張れと叫び、また祈り、また励ますという日々を過ごして闘病生活の2年間、母親のためにしていたことはすべて自分自身のため、母を失う恐怖と戦っていたかの如く、母が弱るたびにその勢いは増しているようでもありました。

家族を失った悲しみを癒してくれるのもまた、最愛の家族

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圧巻は、母親役の倍賞美津子さんでした。

まあ、若い時のシーン、田んぼのあぜ道を息子の名前を叫びながら走る姿、いきいきとした躍動感があり、昭和の時代に成長期を過ごしていた子供には皆こんなお母さんがいて、励まされたり、叱られたり、褒められたりと、わが身、わが母親を思い出してしまいました。

このお母さんが年齢を経て、病に倒れるまでの枯れてゆくような様子もまた、心に響いてくる。

周囲の俳優さんが圧倒される迫力がありました。

母にすがるばかりで、感謝の言葉や、愛情を伝えることもなく、ただただ大切な人を失う事ばかりで狼狽していたサトシを癒すのもまた、最愛の家族でした。

墓石の下見をした父と長男、そしてサトシでしたが、よく似た父とサトシは悲しむばかりで、人生の再起動とばかりに声をかけてくる長男の誘いに、なかなか乗ることができません。

やがて海辺で、長男もその寂しさや悲しさを口にしながら二人の気持ちを切り替えさせようと海に飛び込みます。

その様子は、次男坊であるサトシを励ましている母親のようでもありました。

そこで父親は号泣します。振り返るとやはりこの人も葬儀や火葬のシーンでは寡黙な姿しかなく、悲しみを内に秘めていたようでした。

涙は心の浄化なのです。流せるときに泣いてしまうのです。

毎日元気にしていることも、終活のひとつ

シーンは変わり、サトシの冷凍精子の存在が明らかになりました。

中学生の頃に大病をした時にいきなり母親に精子を取れと言われたのを思い出します。

重い病で自分には子供ができないと諦めていたサトシでしたが、母はそこまでのことを考え、そのことをサトシの嫁に伝えて逝ったという事でした。

トイレで号泣をするサトシでしたが、その後父親として、生まれてくるであろう子供に向けた手紙を書きます。

その中には、家族が亡くなることの意味、その悲しみを乗り越えての成長と、自らが体験してきたことから学んだものを記してゆきました。

終活とは如何にあるべきかと考えるよりも、精一杯に生きることで子供にどんなものを残せてゆけるのか、これとても大切なことだと気が付きます。

そして死別の痛みからも早く立ち直るためにはその思い出と、遺された者たちの繋がりが大きな力になります。

そんな風に考えて人生の終焉を感じた時に何をすべきかではなく、毎日元気にしていることも、終活のひとつなのだとそんな一面にも気が付くと思います。

今回ご紹介した映画

全国公開中

配給:アスミック・エース

出演:安田顕、松下奈緒、村上淳、石橋蓮司、倍賞美津子

監督・脚本:大森立嗣

原作:宮川サトシ「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」 (新潮社刊)

音楽:大友良英

主題歌:BEGIN「君の歌はワルツ」(テイチクエンタテインメント/インペリアルレコード)

配給:アスミック・エース  製作:「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」製作委員会 助成:文化庁文化芸術振興費補助金

2019年/日本/カラー/ビスタ/5.1ch/108分

公式HP: http://bokuiko-movie.asmik-ace.co.jp/ 

公式Twitter:@bokuiko_movie #ぼくいこ

©宮川サトシ/新潮社 ©2019「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」製作委員会

この記事を書いた人

尾上正幸

(終活映画・ナビゲーター / 自分史活用推進協議会認定自分史アドバイザー / 株式会社東京葬祭取締役部長)

葬儀社に勤務する傍ら、終活ブーム以前よりエンディングノート活用や、後悔をしないための葬儀の知識などの講演を行う。終活の意義を、「自分自身の力になるためのライフデザイン」と再定義し、そのヒントは自分史にありと、終活関連、自分史関連の講演活動を積極的に展開。講演では終活映画・ナビゲーターとして、終活に関連する映画の紹介も必ず行っている。

著書:『実践エンディングノート』(共同通信社 2010年)、『本当に役立つ終活50問50答』(翔泳社 2015)

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