お線香の意味とあげ方、宗派ごとの作法の違い

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

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  • お線香は、飛鳥時代に仏教とともに伝わった香の文化がはじまり
  • お線香のあげ方の作法は、宗派の考え方に沿って定められている
  • お線香のあげ方のポイントは、線香の本数と線香の取り扱い方

線香の作法とは、宗派の考え方に沿って定められている作法の1つで、親族の葬儀などで教えられた方も多いのではないでしょうか。同じ仏教でありながら教えや信仰の対象の違いなどによって生まれた派閥が宗派と呼ばれるようになりました。宗派が違えば葬儀や弔問の際のお経や線香の本数、あげ方などの作法に違いもあります。

そこで今回は、線香のあげ方の違いについてご紹介します。

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お線香をあげる意味

周りの人のやり方にならって線香をあげるのも間違いではありませんが、お線香をあげる行為にも意味があります。故人を偲び慈しむためにも、線香をあげる意味を理解して行うことが大切です。

線香をあげる行為には下記のような意味があると言われています。

仏様へのお供え物(食べ物)

あの世に旅立つまでの期間、亡くなった方は線香の香りだけを食べると言われています。そのため、故人が亡くなってから四十九日間は故人の好きな香り(食べ物)を絶やないようにします。

自身のお清め

俗世で自分自身についた心と体についた汚れをお線香で清めるという意味があります。

仏様との交流

亡くなった故人を偲び、線香をあげるという行為自体に仏様と心を通わせる意味が込められています。

お線香の歴史

古代インドが発祥の線香は、もともと香りを楽しむもので、医療行為に利用されることもあります。

日本の線香は飛鳥時代に仏教とともに伝わった香の文化がはじめとされていて、当初は仏事や神事に利用するものでした。室町時代には公家の贈答品として、江戸時代になると線香が燃え尽きるまでの時間を時計の代わりに利用することもあったそうです。

棒状のものができたのも江戸時代の初期で、現代の線香の原型となっています。

各宗派のお線香のあげ方と作法

ここでは現在の主だった宗派とそれぞれの作法を解説します。

宗派とは?

仏教の宗派とは信仰の対象(本尊、本山)や教え(教義)を同じとする信徒集団を指します。

もともとは1つの宗派だったものが枝分かれした後、独立して1つの宗派となったものや、考え方に多少の差異はあるものの、大まかな方向性が一致することから、1つの宗派として見なされているものなどさまざまです。

1つの宗派の中にいくつもの派閥があり、仏教の宗派の数は、古くは18宗、1940年の宗教団体法以前には13宗56派がありましたが、法の施行後13宗28派に再編されました。公益財団法人全日本仏教会によると、2019年現在59の宗派がこの団体に加盟しています。

伝統があり現代でも有力な13の宗派は以下の通りです。

・奈良仏教系…法相宗、律宗、華厳宗

・密教系…真言宗天台宗

・法華系…日蓮宗

・浄土系…浄土宗、浄土真宗、融通念仏宗、時宗

・禅系…臨済宗曹洞宗、黄檗宗

宗派共通の作法

まず宗派を問わず以下の作法は共通しています。

・僧侶、遺族に一礼

・仏様に一礼

・ろうそくに火をつける(火がついていればそれを使う)

・ろうそくで線香に火をつける(直接線香に火をつけない)

・線香の火を手であおいで消す(人の口は汚れやすいとされているため、口で吹き消すのは厳禁)

・香炉に線香を立てる(本数や寝かせる場合など宗派で異なる)

・合掌

・仏様に一礼

宗派ごとの線香の作法

迷う方が多いのが線香の本数と、線香の取り扱い方ではないでしょうか。

教義の探求や布教に重きを置いているため、葬儀という概念や明文化されたルールがない宗派もあるため、そうした宗派では自分の宗派の線香のあげ方で問題ありません。しかし、できることなら故人の宗派に合わせて線香をあげたいものです。

ここではある程度作法が共通化されている宗派の線香のあげ方をまとめました。ただし、同じ宗派であったとしても地域や僧侶の考え方、親族に古くから伝わる慣習で作法が違うことがあるので、心配であれば故人の親族や葬儀社のスタッフなどに確認しましょう。

真言宗、天台宗

本数:3本

あげ方:線香を折らずに手前に1本、仏様側に2本を、上から見て逆三角形に立てます。

浄土宗

本数:1本から3本

あげ方:1本の場合、香炉の真ん中に折らすに立てるのが一般的ですが、2つに折って寝かせる場合もあります。複数本の場合、折らずに真ん中に寄せて立てます。

浄土真宗

本数:1本

あげ方:真ん中から2つに折って横に寝かせます。

臨済宗、曹洞宗

本数:1本

あげ方:折らずに真ん中に立てます。

日蓮宗

本数:1本または3本

あげ方:3本の場合、線香を折らずに手前に1本、仏様側に2本立てます。葬儀で人が多い場合や菩提寺によっては香炉の真ん中に1本立てることがあります。

また、13宗派には属しませんが、創価学会の場合も線香をあげることはタブーではありません。1本の線香を寝かせて供えます。

お線香の正しいあげ方とマナーを知っておこう

年齢を重ねるにつれて知人や仕事上の付き合いなど人間関係は広がり、葬儀や弔問の機会も増えていきます。慣れない土地での葬儀や、遠方の知人への弔問などマナーに戸惑う場面で今回の記事がお役にたてば幸いです。

その他、葬儀の流れを相談したい、信仰や地域性などを加味した葬儀の簡単な見積りが欲しいといった相談も承っています。お気軽にご相談ください。

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