祭壇の花は持ち帰る?【お葬式あらかると】

いい葬儀【記事監修】
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90年代後半ごろから急速に普及しはじめた生花祭壇。有名人の葬儀シーンを見ても、段々飾りの白木祭壇の出番はめっきり減り、赤やピンク、青、紫など季節の花々で彩られた祭壇が主流になりつつあります。

デザインもウエディング並み、いやキャンバスが大きい分、バリエーションの豊富さはおそらくそれ以上。白木祭壇の形を模したこんもり山型が一昔前のデザインであったとしたら、最近のデザインは空間すべてを祭壇と捉え、山や海、花畑などを彷彿させるものや、躍動感、力強さ、繊細さ、優しさなどを表現するものまで実にさまざま。質感や光をなどをミックスした芸術作品のような祭壇はプロから見てもため息ものです。

私が以前勤めていた葬儀社では、遺族の意向にもよりますが、多くの場合祭壇に飾られた生花を希望する参列者に持ち帰っていただいていました。社名ロゴが入ったセロファンまで準備するなどPRも抜かりなく……。それでもほとんどの方は「○○さんを偲んでリビングに置きますね」とか「お仏壇にお供えさせていただきます。」など、大切に持ち帰っていただいたように記憶します。
ただ、葬儀の花の持ち帰りには否定的な意見もあって、「死者に手向ける花はあの世まで持っていくもの。持ち帰りは×」「葬儀に使われた花は縁起が悪い」という人もいます。

そういえば、「葬儀の花をいただいたけど、やっぱり家に飾ることには抵抗があって思わず花に塩まいちゃった。」と言っていた人がいたのを思い出しました。神道的発想でいけば死はケガレに値しますから、葬儀で使用した花は塩で清めておきたいという気持ち、よくわかります。

一方で、「葬儀の花は持ち帰るのがあたりまえ」という地域もあります。「長寿で亡くなった方の花は、長寿にあずかるという意味で縁起物」「仏様にお供えした花は、仏様の功徳をいただけるという意味がある」と持ち帰りを推奨する意見も少なくありません。「供養のため花を持ち帰りたい」という僧侶もいましたから。

花を流通商品として単純に考えれば、せっかく美しい花を咲かせたのだから、少しでも長い間観賞しておきたいと思うもの。それに一回の葬儀ごとにすべて処分されてしまうのだとしたら、エコの側面から見ても、生産者の心情的にもブーイング。街角で見かける販売価格を参考に試算すると、一束3000円~5000円×配る人数分くらいの価値になる場合もありますから、家計の視点からすると持ち帰る派に一票といったところでしょう。

結論としてはどちらでもOK。ただし持ち帰りを勧められたにもかかわらず、どうしても断りたい場合は「帰る途中にしおれてしまうとかわいそうだから。」など遺族に配慮した言い方を考えておくと良いかもしれませんね。

吉川美津子の”お葬式あらかると”

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