神奈川県横浜市にある株式会社セントラルホール横浜葬儀社(代表取締役 尾形慶三)は、2016年1月15日、セントラルホール上大岡駅前式場をリニューアルオープンしました。
「葬儀社にとっては収益の柱ともいえる祭壇を捨てました」というこの式場を早速、見学してきました。
駅から歩いてたったの3分、駅チカホール
セントラルホール上大岡駅前式場は、京急線、横浜市営地下鉄ブルーラインの上大岡駅から歩いて3分ほどのところにあります。上大岡駅までは、品川や新横浜からもそれぞれ約30分程度と、飛行機や新幹線を使って遠方からいらっしゃる弔問客にとっても、アクセスしやすい場所です。
1階に受付と会食ホール、2階は収容人数が50名くらいの式場、3階は家族葬用のリビング、そして4階が安置施設と面会室になっています。
ホール全体が祭壇!?
さてこのホールの特徴は? というと、まず「祭壇がない!」ということです。
「建物そのものを祭壇とする。そういうお葬式をご提案していこうというのが、この式場の特徴です」と言います。
2階のホールも3階のリビングも、写真を飾ったり、位牌を置いたりする壇があるだけ。必要最小限の機能だけ残して後は何もありません。
あとは部屋全体を花でいっぱいにしてもいいし、故人の想い出の品があふれていてもいい。部屋全体、空間全体が故人を偲べる場所、祭壇になるというわけです。
祭壇をなくすことで、これまでの概念にとらわれないお別れを提案できるといいます。
でも、時代は変わっても白木の祭壇など、これまで受け継いできたお葬式の文化はきちんと引き継いでいかなくてはならないと、1階受付のカウンターは白木で作られているのも、このホールのこだわりです。
時間を気にせず心ゆくまできちんとお別れ
こだわりと言えばもう一つ、このホールの各階には時計がありません。
これは、遺族が時間を気にせず、こころゆくまで故人とのお別れをしてほしいという願いがあるそうです。
もちろんホールの外では普通に時間が流れていきますが、それを感じさせないのが“葬儀社の腕の見せどころ”です。
生と死と2つの視点から見た世界観
「なるほど! 時計がないんだ!」と感心していたら、2階のホールの柱にいきなり砂時計がありました……。
そのほかにも、グラスや
船も飾られています。
実はこれ、単なるオブジェではなくて、死生観を表しているのだそうです。
「部屋の奥、遺影写真の方から見ると、グラスと船が見えます。これはお亡くなりになった故人様の側から見た世界です。お別れをして出棺する際に、まず杯を捧げる。そんな意味でグラスが飾られています。そして旅立ちの船が待っている。
横浜は港の町ですから、出港という意味もあって船を飾っています。
一方、反対側には砂時計があります。これは今、生きている人の立場を表しています。
“限られた人生を大切にします”という意味があります」
ちなみに、砂時計の台は「仏様をお載せする台座を使用しています」とのこと。細かいところにもこだわりがあります。
極楽鳥が水先案内
さらに、華やかな花が6本、飾られています。
「これはストレリチアという花で、別名、極楽鳥花とも言われています。
極楽鳥というのは天国に向かう鳥で木には止まらないそうです。
六本あるのは仏教の言葉に六道というのがありますが、先を鳥が飛んで道案内をしてくれているので、故人様は迷わずに自分の思う道を進んでくださいという思いが込められています」
3階は快適リビング
3階はまた、2階とはまた違う雰囲気。
小さな式場がありますが、その奥に和室があったり、お風呂があったり、寝室があったり。
こちらは家族葬用の空間です。
やはり家族葬と一般のお葬式とでは違いがあります。
参列していただく人数を限定する中で、「一番納得のいくお別れをしていただきたい」と考えたら、こういう空間になったのだそうです。
(写真・文・構成 小林憲行)