骨葬とは?特徴や流れなどについて解説

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

スマホCTA(電話をかける)

骨葬とは、お通夜の前後にあらかじめ火葬を済ませ、遺体ではなく遺骨を対象に供養を行う葬儀の形です。東北や九州など一部地域で行われることが多い葬儀ですが、遺体の状況や葬儀の準備といった事情によっても選択されることがあります。

以下では、骨葬について詳しく解説するとともに、どのような場合に骨葬が選択されるのか、骨葬を行う際のメリット・デメリットについてご紹介します。

Adsense(SYASOH_PJ-195)

「骨葬」とはどのようなものか

亡くなった人を弔う場合に通常はお通夜、葬儀・告別式、火葬という流れで葬儀を行います。

ただし、地方の風習をはじめ葬儀・告別式の日程といった事情に伴い、先に火葬してから葬儀・告別式をすることもあります。このような形式の葬儀を「骨葬」または、「前火葬」と呼びます。

この場合、葬儀・告別式では遺体ではなく遺骨が祭壇に置かれて弔辞やご焼香などを行う、ある意味、遺骨が供養の対象となった葬儀となります。この他の儀式の流れは火葬の前に行う葬儀と変わりません。

骨葬が行われる理由

骨葬が行われる理由についてはさまざまな事情が考えられます。

地域の慣習によって骨葬が行われる場合

あらかじめ火葬する地域は全国にありますが、特に東北地方や北海道、九州の一部で盛んに行われています。これらの地域では、この葬儀に骨葬という呼び名はありません。反対に、葬儀・告別式を火葬の前に行う葬儀のことを生葬と呼んで区別することはあります。

骨葬の由来は、その地域で多数を占める宗教で推奨されていることや、例えば主要な産業である農業の田植えや漁業の繁忙期を避けて余裕がある時に葬儀を行ったことなど、歴史的な事情が関係しているとされています。

密葬を済ませてから本葬の準備をする場合

故人が政治家や芸能人などの有名人、また企業の経営者であれば、先に親族だけで密葬を済ませることが多く、その後火葬し、改めて本葬を行う段取りをします。この場合の利点は、亡くなったことが公になることで、マスコミや弔問や問い合わせやお悔やみの連絡などが殺到してしまい、遺族がその対応に追われてしまうのを避けられることです。世間に訃報を公開する前に親族が秘めやかに密葬を行うことで、故人と落ち着いてお別れする時間を持てます。

また、先にお骨の状態にすることで、遺体がないため参列者が故人に直接会ってお別れをすることはかないませんが、時間が経って遺体の損傷が進むことを心配する必要がなくなります。打ち合わせや広告などの準備に大きく時間を取れるので、大規模に本葬を行うことも可能になるでしょう。

本葬のバリエーションも、一般の斎場だけでなく、遺体を持ち込むことができないホテルなどでの「お別れ会」を選ぶことができるなど、選択肢が広がります。

また、密葬と本葬の2回分の費用がかかってしまうため、場合によっては一般的な葬儀よりも負担が大きくなります。

ご遺体が良い状態ではない場合

交通事故などが死因であった時や、または長きにわたる闘病生活の末に亡くなった場合、そして孤独死などで亡くなった後、時間が経過している場合などには、先に火葬してからの葬儀が選択されることが多々あります。遺体の損傷が激しかったり腐敗が進行したりしているなど、遺体の状態が良好とはいえないためです。

このような時は参列者が遺体に直接お別れをするのは難しく、匂いや衛生面でも問題があるため、骨葬が選ばれます。

故人が生前生活していた場所と葬儀を行う場所が遠く離れている場合

もともと地方出身であった人が進学や就職などで都市部や他県で生活されていた場合や、海外で生活していた人の場合も、骨葬となりがちです。その理由は、第一に経済的な負担の問題があります。

長距離の搬送の場合は陸路で15万から30万ほど、海外からの搬送の場合は地域によっては100万を超えるなど、遺体をそのまま運ぶためには大きな費用がかかります。そのため、生前の居住地で火葬を行ってから遺骨だけを持ち帰り、葬儀・告別式を行う方が費用をおさえられるのです。

また、遠方から搬送することで遺体が損傷することを防ぐ目的もあります。

先に火葬することのメリット・デメリット

先に書いたように、葬儀に先駆けて火葬を行うことで次のようなメリットがあります。

1つは、遺体の損傷が進むことを気にしなくて済むために、葬儀・告別式を行う時期やその規模やホテルなどの会場の選択肢が増え、親族側にとっても参列者にとっても融通をきかせて納得のいく葬儀・告別式を行える点です。

また、搬送費用をおさえることができるなど経済面のメリットもあります。

こうしたメリットがある一方で、デメリットも存在します。

デメリットの1つは、参列者が故人の顔を見て最後のお別れをすることができないため、骨葬の形式の葬儀・告別式に親しみがない地域であれば特に、そのやり方を選んだ理由などデリケートなことを質問されてしまう懸念がある点です。

骨葬に親しみのない地域で骨葬を行う場合は、葬儀の場で気持ちの負担となるやりとりを避けるため、火葬することにした事前の説明などを済ませておく方が望ましいでしょう。

まとめ

この記事では、東北など一部地域の風習として行われ、それ以外の地域でも特定の理由がある場合に選ばれることのある、骨葬についてご紹介しました。故人が亡くなった場所が遠い場合や有名人である場合、そして遺体の損傷が激しい場合などに選択されることが多い骨葬ですが、メリットもデメリットもあるので、記事を参考にご検討ください。

その他、葬儀などについてご心配事やご相談がある方は、いつでも気軽にお問い合わせください。

葬儀・お葬式を地域から探す