献奏とは?曲の選び方や費用なども紹介

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

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献奏とは、元々神仏に対して音楽を演奏して奉納することを指しますが、亡くなられた方の霊前や墓前で音楽を演奏し冥福を祈ることにも使われる言葉です。古くから洋の東西を問わず、信仰や祈りの場では音楽が多く用いられてきました。参列者が故人への想いをひとつにし、その哀しみを和らげる手助けにもなる献奏を行う際には、どのようなことに留意すればよいのでしょうか。

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献奏のさまざまなかたち

無宗教で行われる「自由葬」では、故人の冥福を祈る時間として、僧侶の読経などの代わりに献奏が行われることがあります。仏教など宗教的な儀礼のもと営まれる葬儀の場合でも、式の中に献奏を含めることは可能です。最近では献奏を含めた葬儀プランを提案されることも増えてきました。

ここで、仏教による告別式に献奏を取り入れた場合の式次第の一例を見てみましょう。

献奏を取り入れた葬儀の式次第の例(仏式)

① 参列者着席、開式の辞

② 僧侶による読経などの宗教的儀礼

③ 献奏

④ 弔電披露

⑤ お別れの儀式(お花入れ)

⑥ 遺族による挨拶・閉式の辞

葬儀プランによっては①④⑤⑥の場面でも、音楽が流されることがあります。

最近は、比較的規模の小さな葬儀でも生演奏による献奏が多く行われるようになってきましたが、故人が愛聴していた曲などを流して献奏とすることもあります。例えば、参列者をお迎えする間のBGMは故人の好きだった曲を流し、献奏の部分では生演奏を行うというプランも考えられるでしょう。

また、希望があれば、遺族や親族など身内が演奏することもあるようです。

その場合はまず斎場が音出し可能か、どのような設備(楽器)がありどれくらいの規模による演奏が可能かなどを、事前に斎場やお寺などとしっかり話し合い、確認をしておくことが欠かせません。

献奏の曲を選ぶ際は著作権に注意

献奏に使われる曲は、故人の好きだった曲をはじめ、遺族にとって故人との思い出がある曲、クラシック音楽などさまざまです。また、その業者(演奏家)の提供できるレパートリーの中から生演奏の曲目を選ぶという場合もあります。歌謡曲やジャズ、ポップスなど楽曲を選択する場合は、著作権の侵害にならないよう注意しましょう。これは生演奏に限らず、CDをかける際でも同じです。

市販されている音源を使用する場合には、JASRAC(日本音楽著作権協会)や著作権者に使用許諾が必要な場合があります。JASRACと包括契約を結んでいるかどうかは葬儀社によって異なりますので、希望する楽曲がある場合は、事前に葬儀社に確認しておきましょう。

楽曲が著作権消滅楽曲(パブリックドメイン曲)であれば、使用手続きは不要です。著作権保護期間を経過したクラシック音楽などは問題ありません。また、昔から歌い継がれてきた伝承音楽や著作者が不明の民謡などや、保護対象になっていない国の楽曲などもパブリックドメイン曲となります。最近では、著作権フリーの楽曲が葬儀のBGM用に販売されているようです。

葬儀の場で奏でられる音楽は?

参考までに、献奏で取り上げられることが多く、葬送の場にふさわしいと思われる曲目には、以下のようなものがあります。

クラシック曲

G線上のアリア(バッハ)

カノン(パッヘルベル)

亡き王女のためのパヴァーヌ(ラヴェル)

別れの曲(ショパン)

ピアノソナタ第2番 変ロ長調 葬送(ショパン)

レクイエム(モーツァルト)

アヴェ・マリア(シューベルト)

ポピュラー・日本の歌など

アメイジング・グレイス

レット・イット・ビー

見上げてごらん夜の星を

ふるさと

川の流れのように

千の風になって

涙そうそう など

献奏にふさわしい楽器とは?

生演奏による献奏が行われる場合には、ピアノ、フルート、ヴァイオリン(弦楽器)など、心安らぐ音色を奏でることに秀でた楽器を用いることが多いようです。また一台で多くのハーモニーを奏で、さまざまな音楽ジャンルに対応することも容易な、電子オルガンやシンセサイザーによる演奏をしている斎場もあります。

とはいえ、絶対にこの楽器でなければいけないという決まりはありません。故人や遺族が望むのであれば、どのような楽器でも献奏に用いることができると言ってよいでしょう。

しかし、葬儀場の立地や環境条件、また宗教上の考え方などによっては、ある程度の制限が求められる場合も考えられます。楽器持ち込みでの献奏や、歌による献奏などを希望する場合は、葬儀社や会場によく確認をしましょう。

たとえ依頼者が楽器や音楽に詳しくなくとも、献奏を請け負うのがプロの業者であれば、必ずその場にふさわしい楽器や演奏曲を用意してくれるはずです。こちらの気持ちやイメージをある程度伝えたら、あとはプロにお任せという依頼の仕方でも問題はないでしょう。

献奏にかかる費用

プロの演奏家による献奏をお願いした場合、費用は演奏形態や演奏時間・曲数などによっても変化しますが、演奏者一人あたり一日20,000円~40,000円というのがひとつの目安となるようです。

演奏家を派遣する業者に直接依頼をすると、この他別途交通費などがかかる場合もありますが、あらかじめ葬儀会社が用意するプランの場合、すべて込みの一律料金が示されることが多いようです。

葬儀社と派遣業者、どちらの方が質と料金において勝っているかというのは、一概には言えません。事前に予算を決めた上でどういった内容にするのかを決めていくとよいでしょう

まずは、葬儀を担当する葬儀社に相談し、その上で他にどのような選択肢があるかを探っていくことが、無用なトラブルを防ぐ上でも大切かと思います。

まとめ

葬儀における献奏の形と考え方、またその際にかかる可能性のある費用や留意点などについて解説いたしました。

大切な方のお見送りの場を参列者の方々の胸により深く印象づける、そんな献奏を取り入れたご葬儀をお考えの方、葬儀についてお困りの事やお悩みの事がありましたら、どんな小さなこと事でも承ります。どうぞお気軽にご相談・お問い合わせください。

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