勤行とは?葬儀との関係や宗派による違い

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

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勤行とは、仏教徒として善行に精進することを意味する言葉です。しかし最近では「読経をすること」を指す言葉になりつつあるようです。また、勤行はそれぞれの宗派によって手順や様式に違いがあります。宗派ごとに勤行はどのようなものか?さらに、葬儀の際に聞くことがある「還骨勤行」も併せてご説明します。

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勤行の意味とは?

勤行という言葉をご存知でしょうか。
あまり私たちの身近な生活で耳にすることは少ない単語かもしれません。読み方は「ごんぎょう」で、仏教で用いられる言葉です。「精進すること」という意味で使われます。

数多く存在する宗派の経典に合わせて勤行を行うことで、仏教徒として善い行いをすることが目的です。しかし、現在では主に仏前で読経することを「勤行」と呼んでいることが多いようです。

勤行とは具体的に何をするの?

「勤行」と聞くと、言葉の響きが固いので、何か特別なことのように思いますが、そういうわけではありません。例えばお坊さんが毎日、仏前でお経を読んだりすることや、身近なものだと家庭にある仏壇に毎日手を合わせることも「勤行」です。
また、一周忌などで行う法要も勤行の一つです。
宗派によって多少の違いはあるものの、「仏教徒としての善行」はすべて勤行と呼ばれます。

宗派によって勤行に違いはある?

日本の仏教には多くの宗派が存在します。そのためひとくちに仏教と言っても、葬儀の行い方や仏壇の飾り、経典など宗派の数だけ違いが存在します。
では「勤行」について、各宗派ではどういった点が違うのかを見てみましょう。

天台宗

朝夕2回、懺悔文・般若心経・開経偈などの念仏や経典を使って行う。焼香が必要。

真言宗

懺悔文、般若心経、三帰、などの経典を使って行う。
勤行時には手と口を水でゆすいで清らかにし、左手に念珠を持つ。

浄土宗

朝夕の2回、三宝礼、懺悔偈、十念などの念仏や経を御本尊である阿弥陀如来の前で唱える。

浄土真宗本願寺派

浄土三部経という経典があるが、読経しなくてもよい。しかし焼香をして合掌・礼拝する。できれば毎日するのがよいとされているが、できない場合は合掌・礼拝のみでも可。

真宗大谷派

朝夕2回、正信念仏偈・念仏和讃・回向願似此功徳などを唱える。
朝の勤行時には花瓶の水を変える。

曹洞宗

朝夕の2回行う。勤行の前に仏前で正座し、深呼吸する。三尊礼文・修証義・四弘誓願などを唱える。
勤行をすべて行う時間がない場合は、合掌と礼拝を仏前で行うだけでもよい。

臨済宗

勤行は1日に1度。坐禅和讃・舎利礼文・宗門安心章といった経典や念仏を唱える。

日蓮宗

勧請・妙法蓮華経方便品第二・同如来寿量品第十六・お題目などを唱える。朝の勤行の際は読み間違いをしないように気を配る。焼香および線香の数は1もしくは3本/回。

日蓮正宗

朝夕の2回、法華経の読誦・お題目を御本尊である曼荼羅に向かって唱える。

こうして並べてみると経典はもちろんのこと、作法や勤行の回数などにも違いがあることが分かります。
しかし、ここに書いているのは大まかな念仏や経典の種類・勤行の手順なので、各宗派の正しい勤行手順は直接お寺に問い合わせるなどしてください。
念仏や経典を読み上げる順番や勤行の準備にも細かな作法がある宗派もありますので注意が必要です。

葬儀で耳にする「還骨勤行」とは?

葬儀の際に耳にすることがある「還骨勤行(かんこつごんぎょう)」とはどのような行いのことを指すのでしょうか。
まず、この言葉を二つの単語に分解します。
「勤行」の意味はすでに説明しましたので、「還骨」の部分についてみていきましょう。

「還骨」とは、故人が火葬されて骨の状態に戻ったことを指します。そしてこの遺骨を後飾り祭壇に祀る行為のことを「還骨勤行」と言います。
手順としては、火葬場から戻ってきた遺骨を位牌などと一緒に祭壇に祀り、四十九日の忌明けまで安置しておきます。こうすることで葬儀に参加できなかった方が後で弔問に訪れることができるようにしておくのです。
葬儀が終わった後に精進落としを行うこともあります。

還骨勤行を行う際は、遺骨と一緒に火葬場から帰ってきた人を、残った人たちが塩と水で清めます。
これは「死の穢れ(けがれ)」を持ち込まないようにするという風習にならったものですが、宗派によっては行わないこともあるので事前に確認しておくことをおすすめします。

>>還骨勤行とは

まとめ

このように、宗派によって勤行の内容は違います。きっちり手順通り行うことが推奨されている宗派もあれば、簡易的に済ませてもよいとしている宗派もあります。還骨勤行も同じで、宗派によって決まった手順があります。
このような宗派別の勤行についてなど葬儀について不安な点や疑問がある場合にも、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。

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