はじめてのお葬式ガイド
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「はじめてのお葬式ガイド」では、終活や、参列のマナー、もしもの時におさえておきたいお葬式の知識など、はじめての方にもやさしく解説します。

【終活映画】『ぼけますから、よろしくお願いいたします。』を観て、「ぼける」を考えた

人生100年時代とも言われる超高齢化社会において、人生の終焉で想定をしなくてはならないのは、もはや死ばかりではなくなってきました。自分の力ではどうにもならないことのひとつに「認知症」という病と誰もが向き合う覚悟が必要なのも事実です。

映画のタイトルでは、「ぼけ」という言葉で表現されています。

私が子どもだったころのことを振り返ると、「ぼけ」という言葉はそう悪い言葉ではなかったように記憶をしています。むしろ、うんと長生きをするということは、そういうものなんだと感じていました。

そのころ、90歳を超えて100歳に迫ろうという曽祖母を見る子どものころの私は、仙人でも見るような眼でいたようです。

 

「ぼけますから」あらすじ(ネタバレはしません!)

ぼけますから、よろしくお願いいたします。思い出の写真映画監督である娘が両親を追いかけてきた映像記録ドキュメンタリーですが、その母が少しぼけてきたのかな?というところからドラマは始まります。歩いているシーンなどは当初は画像も少々ぶれた感じで、もともと映画になる予定ではなかった家族の記録のようなものだったのかと想像することができます。

 

主人公である母は、よくできた妻であり母親でもあった。彼女を中心にしてできた家族の深い愛情にあふれている映画です。監督である娘ががんを患った時も、母のもちまえのユーモアと、愛情の豊かさで支えられた様子が、映画の中でとてもよく表現されています。そんなひとこまからも、この家族にとって、母の存在の大きさがわかります。

 

さらに、時々映画の中で聞こえる監督自身の言葉。その声とともにとてもやさしく、なんだかとても心地よい感覚になったのも間違いありません。老夫婦の食事風景には、「幸せ」という言葉がいくつも出てくるのです。

 

徐々に認知が進んでゆく妻の様子を、なんともおおらかに受け止める95歳の夫とその娘。それまでに育んだ家族の愛情が前提にあるからこその風景なのだとわかります。

「人は、誰かに支えられてその人格を作る」

その言葉のままに、母のやさしさがそのまま、家族のやさしさになっているようでもありました。

 

「迷惑をかけたくない」終活の黄金ワードが生まれる背景にあるもの

2年ほど前、私のセミナーに訪れてくださった70代の男性から、「男は単身赴任をしておくべきだ」という教えともとれるメッセージをいただいたことがあります。

昔の男は台所仕事なんてしない。それでも突然独りになってしまうことや、突然誰かのために台所に立たなければならないこともあり得る。そんな時に困らないためにも、料理ぐらいは心しておくべきだという言葉を思い出しました。

同時にこの時代の人、独特のプライドを感じました。

「元気なうちは自分たちで」と、娘に洗濯物をさわらせない母。家に介護士を招き入れることにも抵抗がある両親。

 

「迷惑をかけたくない」

終活の黄金ワードが生まれる背景を感じるのです。

 

映画の中の夫もまさにそんな時代に生きた男らしく、りんごの皮をむいただけでも娘に称賛されるのも、さもありなん95歳。

認知症の症状からか、妻が時折手に負えなくなっても、突然ごろりと横になってしまったりしても、そこはその大きな懐で受け止めてしまう夫がいるのです。

 

「ぼける」ということを自分なりに考えた

ぼけますから、よろしくお願いいたします。

新年を迎えたシーンで、カメラを抱えた娘から、「あけましておめでとう」と言われた母のその時の言葉がこの映画のタイトルになっています。

「あけましておめでとう、ぼけますからよろしくおねがいします」

 

ぼけるというのはどんなことなのかと改めて考えてみました。

要するに自分のことばかりを考えるようになるようです。

周囲とのバランスや約束事ではなくて、自分ルールです。

「会いたい」「会いたくない」「食べたい」「食べたかな?」「楽しかった」……。

というように、若かりし日のキャリアウーマンだった様子や、夫のこと、娘のことなど、人生のほとんどを社交的にすごし、相手のことをたくさん考えてきた主人公である母の様子を見ていると、「ああ、人生は相殺なんだな」と。

「今から我がまましますからよろしく」。そんな風にも考えられそうな気持になりました。

 

「長生きしたね」そんな言葉を交わす2人の心の中はどんなことを考えているのでしょう?

少なくともこの映画には悲壮感もなく、ひたすら愛情深く見ることができ、また人生で大切なことのひとつにユーモアがあるんだということを感じるでしょう。

同時に、自分自身もまた傍にいる人にやさしくなれそうな、そんな気持ちになれる映画です。

 

ラジオ番組で聞いた監督のメッセージに、「介護はがんばらない」という言葉がありました。

家族だからと言ってがんばりすぎない。

そこにはきちんと割り切れるプロの手助けを入れて、家族の愛情がへこたれないような工夫も大切なんだということ。

 

映画を観た後にじわじわと、それぞれに考えるテーマが浮かびそうです。

全国各地で順次公開されるようです。ぜひご覧いただきたい人生を考えるための終活映画です。

今回ご紹介した映画『ぼけますから、よろしくお願いいたします。』

公開:2018年11月3日

ひとり娘/監督・撮影・語り:信友直子

画像提供:「ぼけますから、よろしくお願いいたします。」制作・配給委員会


尾上正幸

(終活映画・ナビゲーター / 自分史活用推進協議会認定自分史アドバイザー / 株式会社東京葬祭取締役部長)

 

葬儀社に勤務する傍ら、終活ブーム以前よりエンディングノート活用や、後悔をしないための葬儀の知識などの講演を行う。終活の意義を、「自分自身の力になるためのライフデザイン」と再定義し、そのヒントは自分史にありと、終活関連、自分史関連の講演活動を積極的に展開。講演では終活映画・ナビゲーターとして、終活に関連する映画の紹介も必ず行っている。

著書:『実践エンディングノート』(共同通信社 2010年)、『本当に役立つ終活50問50答』(翔泳社 2015)

 

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