時宗の葬儀の特徴-流れ・マナー

2018年11月3日

時宗とは、鎌倉時代に興った浄土宗の一派で、開祖は一遍上人です。阿弥陀仏を御本尊とし、盆踊りの起源ともいわれる念仏踊りで知られています。仏教式の葬儀は、教義によって意味や式の進行、作法など、さまざまな違いがあります。時宗にはどのような特徴があるのでしょうか。今回は、時宗の葬儀の意味や特徴、葬儀の流れ、参列のマナーなどについて詳しくご紹介します。

時宗の総本山は神奈川県藤沢市にある清浄光寺(しょうじょうこうじ)で、通称の遊行寺(ゆぎょうじ)の名で親しまれています。現在、時宗の寺院は全国に約400ヵ寺あり、信者数は約5万9,000人(宗教年鑑 平成28年版より)です。江戸時代より前は「時衆(じしゅ)」、江戸時代以降は「時宗」と呼ばれるようになりました。

時宗では、阿弥陀仏への信仰の有無を問わず念仏「南無阿弥陀仏」を唱えれば、誰でも極楽浄土に旅立てるという教えを大切にしています。開祖・一遍上人は、鉢を打ち鳴らしながら「南無阿弥陀仏」と唱える「踊り念仏」を行いながら、全国を遊行(僧が諸国を巡り歩くこと)しました。この「踊り念仏」が盂蘭盆会の行事と結びついて、現在の盆踊りとして受け継がれているといわれています。

浄土三部経である「無量寿経(むりょうじゅきょう)」と「観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)」、「阿弥陀経(あみだきょう)」を拠り所にし、読経では「六時礼讃(ろくじらいさん)」なども読みます。

時宗の葬儀の特徴

時宗は、浄土宗から派生した宗派ですので、葬儀は浄土宗の葬儀の形式や作法に倣って行われます。「下炬引導(あこいんどう)」と「念仏一会(ねんぶついちえ)」というふたつの特徴的な儀式があります。

「下炬引導」は故人が仏門に入り、極楽浄土へと旅立つための「引導」を渡す儀式です。僧侶が線香または紙などの松明を模した法具を取り上げ、1本を捨てて、残った方で円を描いて「下炬の偈」を読んで残った1本も捨てます。最初に捨てる1本をこの世を離れることを意味する「厭離穢土(えんりえど)」に見立て、最後に捨てる1本を、浄土を求めることを意味する「欣求浄土(ごんぐじょうど)」に見立てて、故人の往生を祈るのです。

「念仏一会」は、僧侶と参列者全員で「南無阿弥陀仏」の念仏を10回以上唱えます。故人が仏の助けを得る手助けをすることと参列者と阿弥陀仏との縁を結ぶという意味があります。

時宗の葬儀の流れ

葬儀は、概ね次のような流れで執り行われます。

 

①入堂:導師や式衆の方々が入場します。

②香偈(こうげ):お香を焚きます。

③三宝礼(さんぽうらい):仏・法・僧の三宝に帰依することを宣言する経を読み上げます。

④奉請(ぶじょう):諸仏の入場をお願いします。

⑤懺悔偈(ざんげげ):諸仏に対して生前の罪を懺悔します。

⑥作梵(さぼん):梵語の「四智讃(しちさん)」を唱えます。

⑦下炬引導:下炬引導文を述べた後、念仏を10回唱えます。

⑧弔辞

⑨開経偈(かいきょうげ):読経に際して教えの真義を会得することを願います。

⑩読経:「四誓偈(しせいげ)」または「仏心観文」を読経します。このタイミングで焼香をします。

⑪念仏一会(転座):諸仏に感謝し、多くの念仏を唱えます。この間に柩から本尊に向き直します。

⑫総回向(えこう):阿弥陀仏の功徳により往生を願います。

⑬総願偈(そうがんげ):仏道修行の四願を誓い、仏道を成し遂げることを誓います。

⑭三身礼(さんじんらい):阿弥陀仏への帰依を表します。

⑮送仏偈(そうぶつげ):諸仏を浄土へお送りします。

⑯退堂:導師と式衆が退場します。

時宗の葬儀の作法

時宗の寺院の数は少なく、純粋な時宗形式で葬儀が行われることは非常に珍しいことです。ほとんどの場合、浄土宗の様式に倣って執り行われますが、合掌の仕方など時宗独自の作法がありますので、参列する際は気をつけましょう。

数珠

ふたつの輪が交差する二連の形の数珠が、時宗の正式な数珠です。時宗と浄土宗のみの珍しい形の数珠です。時宗の信者は、数珠と呼ばずに一般的に「念珠」と呼びます。男性用は「三万浄土」、女性用は「六万浄土」と呼びます。時宗を信仰していない方が葬儀に参列する際には、ご自分の宗派の数珠や略式の片手数珠で参列しても差し支えありません。

合掌

時宗では、独特の合掌の仕方をします。未敷蓮華合掌(みぶれんがっしょう)と呼ばれ、両手を蓮の蕾のように合わせ、中央を少し膨らませて空間を作るようにします。

焼香

時宗では、焼香の際には左手に念珠をかけて、お香をつまんだ手を額に押しいただきます。お香をくべる回数は決まっておらず、1~3回です。

線香

時宗では、線香は1本だけ手向けます。火を消す際は、左手で仰ぎます。

香典の表書き

時宗では、通夜・葬儀など四十九日までは「御霊前」と書き、四十九日以降は「御仏前」と書きます。

まとめ

時宗の葬儀の流れや作法についてご紹介しました。喪主として葬儀を執り行う予定の方やご自分の葬儀を事前に検討したい方も多いと思います。しかし、時宗は基本的に葬儀が行われないため、「葬儀費用はどのくらいかかるのか?」「どの葬儀社に頼めばよいのか?」など、さまざまな悩みや疑問点が浮かぶかもしれません。「葬儀の費用や内容について知りたい」「葬儀の見積りを出してほしい」など、葬儀に関することでしたら、何でもお気軽にご相談ください。

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