葬儀で配られる長寿銭とは?意味と使い方、値段を解説

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

スマホCTA(電話をかける)
記事を先読み
  • 長寿銭とは、故人が長寿を全うした葬儀で、小銭を入れた祝儀袋を配る風習
  • 長寿銭の金額は、1円玉以外の5種類の硬貨から語呂合わせや図柄で選ぶ
  • いただいた長寿銭は、お守りとして大事にしても、買い物に使っても良い

長寿銭とは、群馬・埼玉など北関東の一部や千葉の一部の地域において、故人が長寿であった場合の葬儀で行われている風習です。葬儀の決まりごとや風習は、同じ県でも知らないことがあり、まして初めての経験に戸惑ってしまう方も多いのではないでしょうか。そんな方のために、今回は長寿銭の意味や使い方などについてくわしくご紹介します。

Adsense(SYASOH_PJ-195)

長寿銭とはどんな意味?

長寿銭とは、故人が高齢の場合の葬儀に会葬御礼の礼状などと一緒に、小銭を入れた祝儀袋を配る風習です。

長寿銭には、故人が長寿を全うしたお祝いと故人の長寿にあやかって「長生きができますように」「長寿にご縁がありますように」という願いが込められているそうです。

>>喪主様インタビュー 長寿銭を配ったお葬式の例

長寿銭を配る?配らない?判断の基準は?

「何歳以上まで生きたから長寿銭を配る」というように、年齢など長寿銭を配るか配らないかの判断基準は、特に決まりがあるわけではありません。

地域の風習や「故人は長寿を全うした」「大往生できてよかった」という遺族の方々の想いによって決まります。80歳以上だったり、数え年で米寿の88歳以上だったり、満90歳以上の場合もあるそうです。

遺族の故人への想いを大切にするために、葬儀社から長寿銭を配ることを薦めることはあまりないそうです。

長寿銭の金額

長寿銭にどのぐらいの金額を入れるのか、どんな硬貨を入れるのかについても、特に決まりはありません。地域の風習や遺族の想いによって決められるようです。

1円玉を入れることはないようですが、5円玉・10円玉・50円玉・100円玉・500円玉の5種類の硬貨から、語呂合わせや硬貨に描かれている図柄で選ぶことが多いようです。それぞれの硬貨には、次のような意味があるそうです。

5円玉

長寿にご縁(5円)があるように。

また、「実るほど、頭を垂れる稲穂かな」という言葉があるように、図柄の「稲穂」が故人の謙虚さを表しているという説もあります。

5円玉の穴に、紅白の紐を通す地域もあるそうです。

10円玉

十分に生きました。十分に生きられますように。

図柄の「常盤木(ときわぎ)」は、松や杉のように年中枯れずに緑の葉を絶やさないという、永久の意味を表しています。また、10円玉はさびやすくて汚れやすいですが、磨けばピンクゴールドに光り輝くという、奥に秘めた美しさにあやかっています。

50円玉

長寿に十分な縁がある。五重の縁がある。

図柄の「菊」は、古来より不老不死の霊草とされてきた花で、延命長寿・厄払いなどの意味を持っています。

100円玉

ご縁が100ある。百歳のお祝い。

図柄の「桜」は、日本人に最も愛されている花であり、「私を忘れないで」という花言葉(フランス)もあるそうです。

500円玉

最大の効果(硬貨)がある。

図柄の「橘(たちばな)」は、日本原産の唯一の柑橘種で、古来よりその実はいつまでも香り続けることから、不老不死の力を持っているとされていました。

長寿銭を入れるのし袋

長寿銭を入れるのし袋は、水引と熨斗(のし)が印刷されている簡単な祝儀用のし袋を使用するのが一般的です。長寿は何度あっても縁起がよいことなので、水引は結び切りではなく花結びにします。

表書きは、上部に「長寿銭」と書き、下部に故人の名前と年齢を書きます。年齢に関しては、満年齢または数え年のどちらでも構いません。

長寿銭を配る習わしの有無は地域にもよりますが、習わしのある地域の場合は、葬儀社に依頼すれば会葬礼状とともにのし袋も用意してくれます。自分でできるのであれば用意してもよいでしょう。

長寿銭をもらったら?長寿銭の使い方

では、いただいた長寿銭はどのように使えばよいのでしょうか?

自分自身の長寿や健康のお守りとして大事にお財布や引き出しにしまっておいてもよいですし、祖父母や両親など身近な高齢者の方に「御守り」として渡すのもよいでしょう。また、長寿銭をいただく機会が多い場合は、ある程度貯めて寄付などに充ててもよいでしょう。

もちろん、そのままお財布の中に入れて、買い物に使っても問題はありません。

長寿銭に似ている全国の風習

葬儀の際に、長寿銭に似た風習を行う地域もあります。以下に一例をご紹介します。

茨城県や群馬県の一部の地域

「撒き銭」という風習。出棺の際に、遺族が参列者に向かって、半紙にくるんだ小銭を撒くそうです。中身は、小銭ではなくキャラメルや飴など、100円程度のお菓子の場合もあるそうです。

沖縄

会葬御礼とともに「紅白饅頭」を配る風習があります。

島根や長野、東北の一部の地域

「お赤飯」を出すそうです。

そのほか、「紅白砂糖」など、さまざまな風習がありますが、長寿銭をはじめ、このような風習は年を追うごとに少なくなってきているようです。

長寿銭は地域に根付いた風習のひとつ

北関東の一部や千葉県の一部の地域の葬儀で行われている長寿銭の風習について、くわしくご紹介しました。家族葬など葬儀が簡素化される傾向があるとはいえ、長寿銭のほかにも、地域によって葬儀に関するさまざまな決まりごとや風習が残っています。

葬儀についての疑問や見積りが欲しいという方、どの葬儀社にすればよいのかお悩みの方は、ぜひいい葬儀までお気軽にご相談ください。

葬儀・お葬式を地域から探す