互助会とは、冠婚葬祭にかかる費用の一部を毎月積み立てる制度で、利用時は会員価格でサービスを受けられます。費用を抑えて葬儀をしたり、提携施設の割引を受けられたりと、互助会には多くのメリットがあります。
一方で、最近は冠婚葬祭の傾向が変わり、互助会を解約する方が増えているようです。高い解約手数料や煩雑な手続きが原因で、トラブルに発展することもあるので注意しましょう。
この記事では、互助会の仕組みや月々の費用、メリット・デメリット、解約方法などを紹介します。
目次
互助会とは?冠婚葬祭費の一部を積み立てる制度
互助会とは、1948年に日本で誕生した「冠婚葬祭互助会」の略称。冠婚葬祭費用の一部を毎月積み立てることで、会員価格でサービスを受けられる制度です。日本が貧しかった戦後に、冠婚葬祭資金を出し合って共同利用し始めたのをきっかけに設立されました。
互助会は経済産業省に許可された事業
互助会の運営には、経済産業大臣の許可が必要です。加入者から掛け金(前受金)を預かるため、割賦販売法に基づいて、経済産業省が課す審査基準を満たさなくてはなりません。互助会の業界団体である一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会には、全国の互助会約80%が加盟しています。
2024年3月末日現在で、互助会の加入者は全体で約2,100万件、加入者から預かる前受金は約2兆4,000億円です。
出典:データで知る互助会
互助会の仕組みと費用

互助会は経済産業省と加入者だけでなく、さまざまな会社や団体と連携しています。ですが、「経済産業省」の許可指導を受けた「冠婚葬祭互助会」に「加入者」が申し込み、冠婚葬祭の施行を受けるのが基本的な仕組みです。
互助会会員から集めたお金は前受金と呼ばれ、前受金で冠婚葬祭に必要な設備・備品を揃えることで、安価なサービスを実現しています。互助会の会員は一斉に冠婚葬祭をするのではなく、毎年一定の割合でサービスを利用していきます。互助会は、会員が出し合ったお金を必要になった人から順番に利用していく、合理的な仕組みです。
毎月1,000円〜5,000円を定額で積み立て
互助会の加入者は、毎月1,000円〜5,000円を定額で積み立てます。積立金の半分は国の制度によって保障されるため、互助会が倒産したら積み立てた金額の半分は加入者に返金されます。
積立金を冠婚葬祭サービスとして受け取る
保険料としてお金を受け取る「葬儀保険」と異なり、互助会では積立金をサービスという形で受け取ります。
葬儀の互助会のメリット

- 安価な費用で急な葬儀に備えられる
- 元気なうちから葬儀の準備ができる
- 物価変動や景気の影響を受けない
- 加入者の家族も葬儀サービスを受けられる
- 積み立て中も葬儀費用として利用できる
- 冠婚葬祭に関するサービスを受けられる
葬儀準備として互助会を利用するメリットを6つ紹介します。
安価な費用で急な葬儀に備えられる
葬儀に備えて互助会へ加入すると、突然の葬儀で生じた経済的負担を軽減できます。互助会を利用することで、葬儀費用が通常より30%〜50%ほど抑えられたご家庭もあるようです。
また互助会が提携する会館や葬儀場は、設備が充実していることが多く、葬儀の質にこだわりたい方にも適しています。
元気なうちから葬儀の準備ができる
互助会に加入することで、元気なうちに葬儀費用やお葬式の準備を進められます。葬儀について考える時間を作れますし、不明点を担当者に相談できるから安心。葬儀社や葬儀プランまで決めておけば、残された家族の負担を大幅に軽減できます。
また、互助会は終活の準備にも役立ちます。
- 身辺整理
- 葬儀の準備
- 保険の確認・見直し
- 不動産などの相続や売却
残りの人生をより充実させ、家族の負担を軽くするためにも、元気で判断力がある間に葬儀について準備しておきましょう。
物価変動や景気の影響を受けない
互助会は「前払式特定取引業」という法律に則っているため、物価変動の影響を受けません。掛け金完納後からサービス利用までに、物価上昇によって葬儀費用が高騰しても、契約時のサービス内容を利用できます。
加入者の家族も葬儀サービスを受けられる
加入者がいれば、同居している他の家族もサービスを利用できる互助会がほとんど。親族間利用申請を通じて、同居していない家族でもサービスを利用できる互助会もあるため、確認してみましょう。
ただし、サービス利用は1契約につき1回なので、利用するタイミングは慎重に見極めてください。また、故人の互助会加入を家族が知らないと、別の葬儀会社に依頼したりトラブルに発展したりするかもしれません。互助会に加入したときは家族に報告しておくのが大切です。
積み立て中も葬儀費用として利用できる
掛け金の積み立て中に葬儀をしなければならない場合、積み立てた費用の差額を支払うことでサービスを利用できます。互助会は掛け捨てではないため、積立金が無駄になりません。
冠婚葬祭に関するサービスを受けられる
互助会に加入すると、葬儀以外に冠婚葬祭の幅広いサービスを割引価格で受けられます。結婚式や法要の会場利用をはじめ、料理の手配や七五三の貸衣装なども加入者特典として用意している互助会もあります。
葬儀の互助会のデメリット

- 選べる葬儀社やプランが限定される
- 積立金はサービスでしか還元されない
- 互助会解約時に解約手数料がかかる
- 互助会の運営元が倒産する可能性がある
- 積立金だけでは葬儀費用を賄えないことが多い
互助会のデメリットを5つ紹介します。メリットとデメリットの両方を把握した上で、互助会に加入するかどうか検討しましょう。
選べる葬儀社やプランが限定される
互助会によって、利用可能な葬儀社やプランは限られます。なお、加入後の引越しや運営元の経営状況によっては、提携する葬儀会社の数が減る可能性もあるので注意が必要です。
積立金はサービスでしか還元されない
互助会で積み立てたお金は、冠婚葬祭サービスのみに利用が限定されます。預貯金のように現金として引き出したり、積み立てたお金を他の目的で使用したりすることはできません。
互助会解約時に解約手数料がかかる
互助会の解約時には、積立金から解約手数料などが差し引かれるため、積立金は全額返還されません。多くの場合、解約手数料は積立金の15%〜20%と高く設定されているので、加入時に必ず解約手数料を確認してください。
互助会の運営元が倒産する可能性がある
互助会は民間企業が運営しているため、倒産するリスクがあります。政府の保証機構によって保全されているのは積立金の50%なので、倒産時の返金は積立金の半分に留まります。倒産時の乗り換えや積立金の返金といった救済策はあるものの、加入時はリスクを考慮して信頼できる運営元を選びましょう。
積立金だけでは葬儀費用を賄えないことが多い
互助会で毎月積み立てているのは、あくまで冠婚葬祭費用の一部。互助会の積立金だけで、冠婚葬祭サービスにかかる費用すべてを賄うのは難しいでしょう。
積立金のみで行う葬儀だと、規模の小さい葬儀やグレードの低い葬儀に限られます。希望の葬儀を行うためには、追加費用が発生する可能性が高いです。
葬儀の互助会を選ぶポイント
- 経営基盤の安定性
- 葬儀プランの内容
- 互助会事務所の所在地
- 互助会事務所のスタッフの対応
葬儀の互助会を選ぶときは、こちらの4つのポイントをチェックしましょう。複数の互助会を比較しながら、加入する互助会を選択してください。
経営基盤の安定性
互助会が倒産するリスクを避けるためには、経営基盤が安定した運営元を選ぶのが重要です。互助会が公開する運営情報はもちろん、ネットの口コミ情報もチェックして、安心してお金を預けられる互助会か判断しましょう。
葬儀プランの内容
喪主の負担を増やさないよう、互助会の葬儀プランで利用可能なサービスを確認しておいてください。一番安い葬儀プランだと最低限のサービスしかなく、オプションを追加して結局高額になるかもしれません。一般的な葬儀費用を確認した上で、適切な葬儀プランを選ぶのが大切です。
互助会事務所の所在地
入会手続きや葬儀の打ち合わせなど、対面でやり取りする場合は、互助会事務所の所在地も重要です。引っ越しの可能性があるなら、加入予定の互助会が全国各地で利用可能か、あわせて確認しておきましょう。
互助会事務所のスタッフの対応
大切なお金を数年単位で預けるため、互助会の対応が丁寧で信頼できるかどうかも大切です。格安葬儀や会員数をアピールされたり、強引な勧誘があったりしたなら、その場で判断せず、一度家族と話し合って決めてください。
互助会の解約方法
互助会で積み立てた結婚式・葬儀費用は掛け捨てではないので、解約時は手数料を差し引いた金額が返金されます。ここでは、互助会の解約に必要な書類や手順について解説します。
互助会の解約に必要な書類
- 印鑑
- 加入者証
- 銀行口座が分かるもの
- 本人確認書類(運転免許やマイナンバーカード、健康保健証など)
互助会の解約における主な必要書類はこちら。必要書類は互助会によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
互助会の解約手順
- 加入者本人が互助会に解約希望を連絡
- 互助会から郵送された解約書類を作成して、申請
- 解約手続き後に口座へ払戻金が振り込まれる
一般的には上記の流れで解約手続きを進めます。書類と同様、解約手続きも互助会によって違うため、事前に確認しましょう。
加入者以外の手続き:加入者本人の委任状を提出
互助会の解約手続きは加入者本人以外も対応できます。解約手順は本人の場合と同じですが、加入者本人の委任状提出が求められます。
加入者本人が逝去した後、遺族が互助会への加入に気づいた場合や、加入者自身が手続き不可能な場合は、以下の書類提出が必要となることがあります。
- 代理人の戸籍謄本
- 加入者本人の除籍謄本
互助会解約の注意点
互助会を解約する際に、注意すべき3つのポイントを解説します。
解約手数料の目安は完納金額の最大2割程度
互助会によっては、最大で完納金額の20%ほどの解約手数料を加入者に課しています。手数料は加入時の契約に基づいて計算されますが、加入・解約時期によって異なります。解約時に高額な費用がかからないように、加入時に解約条件も調べておきましょう。
返金期間は解約受理日からおよそ45日以内
法律上、解約受理日から45日以内の返金が互助会には義務付けられていますが、返金まで1ヶ月以上かかる可能性があります。互助会によって返金完了までの期間は差があるので、事前に確認しておくと安心です。
互助会の運営元が解約を拒む可能性もある
互助会は、毎月加入者が積み立てる掛け金に支えられているため、スムーズに解約を受け付けてもらえない場合があります。高い解約金を要求されたり解約を拒まれたり、トラブルが生じた場合は周囲に助けを求めてください。国民生活センターや経済産業省の窓口などへの相談や互助会解約の代行サービスも検討すると良いでしょう。
将来の葬儀に備えて互助会の加入を検討しよう
互助会で生前から葬儀費用を積み立てておけば、残された家族への負担を減らせます。互助会へ加入するときは、遺族が混乱しないよう事前に伝えておきましょう。また互助会に加入する前に、ご自身の希望する葬儀の形式や葬儀社、斎場などについて考えておくのが大切です。
「いい葬儀」では、エリアや条件にあわせて全国各地の斎場・葬儀社を検索できます。葬儀費用の一括見積もりも無料で受け付けていますので、ぜひお気軽にご利用ください。