【弔慰金とは】相続税の非課税枠はどのくらい?香典・死亡退職金との違い

小林憲行【記事監修】
小林憲行

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弔慰金とは、企業や国などが業務や災害、戦争などで死亡した方の遺族に対して贈られる金銭のことで、法律や規約によって定められています。弔慰金は葬儀以外のタイミングで贈られるため、触れる機会が少なく、弔慰金という制度をご存知ない方もいるかもしれません。そこで、この記事では弔慰金の意義や香典・死亡退職金との違い、弔意金の注意点などについてご紹介します。

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弔慰金の意義とは?

故人を弔い、遺族を慰めることを目的として贈られる金銭を弔慰金と呼びます。一般的に公的機関や法人が贈るもので、個人が贈るケースはほとんどありません。

弔慰金には、従業員や社員が亡くなった際に企業から贈られる弔慰金や、戦没者の遺族に国から払われる特別弔慰金などがあります。例えば、企業活動による公害で死亡した方に対して、原因となった企業から弔慰金が贈られるケースもあります。他にも2018年9月に発生した北海道地震で犠牲となった方々に対して、国が弔慰金の給付を発表しました。

このように弔慰金の形はさまざまですが、共通していることは公的機関や法人が、故人の弔いと遺族の慰めを目的として贈っているということです。

弔慰金を贈るタイミングとマナー

弔慰金は一般的に葬儀の当日ではなく、後日ご遺族が落ち着いた頃合いを見計らって贈ります。

例えば、従業員の家族に不幸があった場合は、忌引き明けに出勤した際に会社で渡す。従業員が亡くなった場合は、後日自宅を訪問し、遺族に直接渡すという具合です。弔慰金は白い封筒に入れ、表に「弔慰金」と記載します。

弔慰金と香典・死亡退職金の違いは?

葬儀や不幸があった遺族や故人に備えられるお金には弔慰金以外に香典・死亡退職金があります。これらは「贈る目的」と「非課税限度額」に違いがあります。ここではそれぞれの目的と税金に関する取り扱いを解説します。

香典

香典は、線香や花輪の代わりに葬儀で故人の御霊前に供える金品のことです。訃報を受けた後、通夜や葬式、告別式に持参します。しかし、香典を受け取るのは喪主なので、常識の範囲内であれば相続税や贈与税はかかりません。

死亡退職金

死亡退職金制度を設けている会社から、故人の働きをねぎらい、遺族の生活を支えるために支給されるものです。故人が死亡したことによって発生し、なおかつ遺族が受け取るため、死亡退職金は「故人のみなし財産」として扱われます。そのため、被相続人が死亡した時点から3年以内に支給が決まった死亡退職金が、相続税の課税対象になると定められています。

3年を超えて贈られた死亡退職金は、受け取った遺族の一時所得として取り扱われるので相続税ではなく所得税の課税対象となります。

死亡退職金の非課税枠は法定相続人1人当たり500万円と定められています。

弔慰金

弔慰金は故人の弔いとご遺族の慰めを目的とした金銭です。会社の福利厚生費として扱われるため、一定額以内であれば相続税はかかりません。一方で弔癒金の限度額(非課税枠)は国税局によって以下のように定められています。

故人が業務上で死亡した場合

⇒ 故人の死亡当時の給与の3年分に相当する額。

故人が業務以外で死亡した場合

⇒ 故人の死亡当時の給与の半年分に相当する額。

相続税の課税対象となる金額の計算方法

弔慰金と死亡退職金が贈られた場合は、相続税の計算に注意が必要です。弔慰金と死亡退職金は非課税枠の計算方法が違うので、別々に計算します。もし、これらを一緒にして処理してしまうと、弔慰金がすべて死亡退職金として算入されてしまい、相続する金額が減ってしまう危険性があります。

そこで、ここでは弔慰金と死亡退職金が贈られた場合の相続税の計算方法について解説します。

死亡当時の賞与を除いた給与が月50万円の被相続人が、1人で出かけた際に死亡した場合を考えてみましょう。この被相続人には妻と子ども1人がいて、弔慰金400万円と死亡退職金1,500万円が贈られたとします。

このように弔慰金と死亡退職金が贈られた場合は、最初に弔慰金の課税対象額を算出します。そして、超過した金額を死亡退職金に算入します。

業務対象外なので、非課税枠は普通給与の半年分の300万円です。非課税枠を超過した弔慰金は贈られた弔慰金から弔慰金の非課税枠を差し引いた100万円です。

死亡退職金の非課税枠は1人当たり500万円ですので、被相続人2人で1,000万円です。贈られた死亡退職金と弔慰金の超過分を加えたものから非課税枠を引いて、相続税の課税対象額を算出します。今回のケースでは600万円と計算できます。

もし、最初から弔慰金を死亡退職金に算入してしまうと、非課税限度額が1,000万なので相続税の課税対象額が900万円になってしまいます。今回の場合では300万円が余分に課税対象になってしまうのです。また、非課税枠は相続する本人にのみ適用されるので、相続拒否した人が退職金を受け取った場合は非課税枠が適用されないので注意が必要です。

複数の相続人で退職金を受け取った場合は、非課税枠以内であれば相続税は発生しません。非課税枠を超える金額が贈られた場合は、各相続人が受け取った金額に応じて非課税枠を配り分けます。

まとめ

今回は会社で誰かが亡くなった際に贈られる弔慰金について解説しました。弔慰金は個人で贈る機会は少ないかもしれませんが、受け取る場合は税金の計算方法を間違えないように注意してください。相続税の金額が変わってくる可能性があります。

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