ご遺体の空輸について

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

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遺体の空輸とは、遺体を飛行機に乗せ、目的の場所まで運ぶことです。国内での搬送に留まらず、海外から国内へ、また国内から海外への空輸も行われています。

空輸には陸路での搬送と違い、飛行機に乗せるための手続きなどが必要です。ほかにも、必要書類の提出、遺体の防腐・殺菌処理、爆発物の検査などが求められます。また、海外からの空輸では、移動距離の長さ、空港までの搬送、エンバーミング処理などのため、国内で行われる空輸よりも費用が高くなります。

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ご遺体を空輸する

ご遺体を運ぶ手段は、陸路だけではありません。遺族の希望などにより、葬儀を行う場所や埋葬する地域まで、飛行機を使って運ばれることがあります。

空輸が用いられる理由にはいくつかのケースがあります。

まず、陸路を使うと時間がかかりすぎる場合です。海外での死亡が代表的なものになります。また、国内においては、費用をおさえたい場合にも選ばれる方法です。国内であっても長距離を車やフェリーで運ぶと燃料代や高速代、帯同する業者への人件費などがかさみ、飛行機を使った方が安くなることがあるのです。

ご遺体の空輸は、専門業者が保管や空輸に関する手続きなどを代行してくれます。ご遺体の搬送と安置、航空券の予約・空輸の手続き、到着先で待つ葬儀社の手配などを、代わりに行ってくれるのです。

空輸でよく聞くエンバーミングとは?

エンバーミングとは、ご遺体の腐敗をおさえる処置のことです。

血液と入れ替える形で、故人の体に防腐剤を注入します。これにより、腐敗による臭いの発生がおさえられます。しかし、エンバーミングが行われる理由は、これだけではありません。病原菌の殺菌・消毒、ご遺体の修復やお化粧を施すためでもあります。ご遺体に触れる遺族や関係者を感染症から守ったり、事故などで変形したご遺体を生きていたときの姿に戻したりするためでもあります。

>>【エンバーミング】ドライアイス不要。故人がずっと元気な姿でいられる遺体保存の方法 と、その費用

ご遺体を空輸するときの流れ

日本で葬儀を行う場合、ご遺体の空輸には、2つのケースが考えられます。1つ目は日本国内での空輸、2つ目は海外から国内へと運ぶ場合です。

国内で行う空輸の流れ

葬儀社などに、ご遺体の搬送を依頼します。ご遺体の氏名・年齢・身長・体重などを伝えてください。その後、ご遺体を受け取りにきた葬儀社などに、空輸の手続きに必要な死亡診断書(または死体検案書)、死亡届のコピーを提出します。

死亡届は、故人が亡くなった場所・本籍地・故人が住んでいた地域にある役所・役場のいずれかに、死亡を知った日から7日以内に提出します。火葬を行う場合は、死亡届を出してから、火葬許可証を交付してもらう必要があります。

死亡届を出せない地域で葬儀を行う場合は、移送する前に死亡届を出しておきましょう。書類の提出を済ませたら、葬儀社などにご遺体と一緒の便に乗るかどうかを知らせてください。このとき、到着先でご遺体を受け取る葬儀社の選定も行います。

葬儀社などが空輸の手続きを終えたら、搬送料や飛行機代を支払います。エンバーミングと納棺を経て、ご遺体の搬送が行われます。目的の空港に到着した後は、空港で待つ業者が安置場所や葬儀会場などへご遺体を運びます。

>>死亡届の提出方法とタイミング

海外から日本に空輸するときの流れ

移送に必要となる書類を揃えます。故人のパスポート、死亡診断書(事故死や変死などの場合は、死体検案書)、埋葬許可証(現地で火葬した場合は火葬証明書)、遺体証明書、防腐処理証明書(エンバーミングを施した場合)、納棺証明書、非感染症証明書などを用意する必要があります。

書類を揃えたら航空便と葬儀社を手配します。葬儀社へは、故人の名前、故人との続柄、連絡先などを伝えます。葬儀社や領事館の職員の手を借り、ご遺体を空港まで運んでもらい、納棺します。その後検査を受けて、国内へと移送します。国内で行う空輸と同様、葬儀社がご遺体を受け取り、葬儀場や自宅へと搬送します。

ご遺体の空輸にかかる費用

国内の空輸と海外から国内への空輸について、それぞれに必要となる費用をまとめてみました。

国内の空輸

国内でご遺体を空輸すると、およそ15万円から35万円の費用がかかります。

これは、病院や空港までの移動費(高速代を含む)、搬送するまでの安置代、ドライアイス代、シーツ代、納棺料と白布棺代、人件費、空輸代などを含んだ金額です。

もちろん安置する日数が長かったり、病院や空港が遠い場所にあった場合は、その分費用がかさみます。また重量が100kgを超えたり、大型のお棺を使ったときは、数千円から1万円ほどの別料金が必要です。このほか、体をきれいにする・身だしなみを整える湯灌や、化粧を施す・着せ替えを行う納棺代、死亡した事実を確かめてもらう検案代など、基本的な費用のほかにも、費用が必要となるケースもあります。

海外からの空輸

海外からご遺体を空輸する場合、全体で100万から150万円ほどの費用がかかります。このうちおよそ30万円から35万円が、手続き・人件費・寝台車・安置・棺・棺の解体と処分に関する料金です。また、空輸にかかる費用は出国先によって違いますが、およそ20万円から50万円程度の運賃がかかります。このほか、エンバーミングの費用として、さらに20万から30万円ほどが必要となります。

現地の空港へご遺体を移すための搬送料や、燃油サーチャージ代、遺族の渡航費などが発生する場合もあります。

まとめ

ご遺体の空輸を行う際の流れや費用などを紹介しました。海外からの空輸では、亡くなった国・地域によって揃える書類・手続きが異なります。大使館や領事館などから正確な情報を得てください。また遺体の海外搬送などには費用のこともありますが、経験を積んだ葬儀社などに依頼することでより安心感が得られることもあります。

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