袱紗(ふくさ)とは?慶弔別の種類や使い方、香典の入れ方を解説

小林憲行【記事監修】
小林憲行

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  • 袱紗(ふくさ)とは、冠婚葬祭の場で金封を包む布のこと
  • 袱紗の種類は一般的な包むタイプと簡易的な挟むタイプの2つ
  • 紳士服店や仏具店をはじめ、100円均一やネットでも購入可能

結婚式のご祝儀袋や葬儀の香典袋は、袱紗(ふくさ)に包んで持参するのがマナー。慶弔両方で使われる袱紗ですが、正しい使い方やマナーを意外と知らない方が多いんです。

この記事では、袱紗の種類や使い方、入れ方などのマナーをまとめて解説します。

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袱紗(ふくさ)とは

袱紗(ふくさ)とは、結婚式のご祝儀袋やお葬式の香典袋など、冠婚葬祭の場で金封を包む布のこと。

袱紗は、金封を汚したり、袋にシワや折り目がついたりするのを防ぐために使われます。また渡す相手に礼儀を尽くしたり、喜びや悲しみを共有したりするのも目的。相手に敬意を表すために、昔から受け継がれてきた風習です。

現代では、ご祝儀袋や不祝儀袋をむきだしで持ち歩く方もいますが、本来は袱紗に包んで持参するのがマナー。袱紗は慶事でも弔事でも使うため、大人のたしなみとして用意しておくと安心でしょう。

袱紗の種類

袱紗の種類
袱紗の種類
包むタイプ風呂敷袱紗(手袱紗)
爪付き袱紗
台付き袱紗
挟むタイプ金封袱紗

袱紗は、包むタイプと挟むタイプ、大きく2つの種類(形)にわけられます。

包むタイプは、一般的な風呂敷袱紗と留め具がついた爪付き袱紗、台座のついた台付き袱紗の3つ。挟むタイプは、二つ折りで袋をはさめる金封袱紗です。

種類別に袱紗の特徴をご紹介します。

包むタイプ

包むタイプの袱紗は、基本的に正方形の一枚布でできています。もともと袱紗は、金品にほこりや汚れがつかないようにかけていた布が由来。そのため、正式な袱紗は、一枚布で金封を包むタイプだと考えられています。

また包むタイプの袱紗は、ご祝儀や香典を渡したあと、小さく折りたためるのがメリット。大ぶりのバッグを持ち歩くのが難しい冠婚葬祭の場では、収納しやすいのも魅力です。

風呂敷袱紗(手袱紗)

風呂敷袱紗(手袱紗)は、何もついていない正方形の一枚布。風呂敷より一回り小さなサイズで、裏地のある袱紗が多いです。

風呂敷袱紗(手袱紗)は、包むタイプのなかでも正式な袱紗とされているため、年配の方が多く出席する場で使うと好印象かもしれません。

爪付き袱紗

爪付き袱紗は、正方形の布に留め具用の爪がついている袱紗。布の角に爪が、外側に留め糸があり、金封を包んだあと包みが開かないように固定できます。

バッグの中で袱紗が崩れたり、金封がはだけたりする心配がなく、安心して持ち運べます。

台付き袱紗

袱紗の内側に、ご祝儀袋や香典袋を載せるための台座がついている台付き袱紗。台座の部分には、金封を固定するためのゴムや紐がついている袱紗が多いです。また台座は、弔事と慶事どちらでも使えるよう、表と裏で色が塗りわけられています。

台座があるため型崩れしにくいのはもちろん、袱紗を使い慣れていない方にとっては、祝儀袋や香典袋を置く位置がわかるので便利です。

ちなみに台付き袱紗の台座は、「金封を置いたお盆の上に袱紗をかける」という正式な作法を簡略化したもの。台座に載せてそのまま渡しても、マナー違反になりません。

挟むタイプ

金封袱紗

金封袱紗は、金封をポケットに差し込んで使用する二つ折りの袱紗です。祝儀袋や香典袋を挟んで閉じるだけなので、開け閉めや出し入れが簡単。小さめのハンドバッグや胸ポケットに入れても崩れにくく、扱いやすいため、最近は老若男女問わず人気です。

ただ、一枚布の包むタイプと比べると簡易的な袱紗とされています。出席者や場面によってはよい印象をもたれないかもしれないため、注意してください。

番外編:掛け袱紗

掛け袱紗は、結納品やお布施を渡すときに使用する袱紗で、お盆の上にかけて使います。角に房が付いているのが特徴です。掛け袱紗は、特別な場合を除いて滅多に使用しませんが、知識として覚えておきましょう。

【慶弔別】袱紗の色

慶事・弔辞別の袱紗の色
行事袱紗の色
慶事用(結婚式)赤色、朱色、オレンジ色、えんじ色、桃色、黄色、ベージュ、金色、藤色、紫色
弔事用(葬式)紺色、深緑色、うぐいす色、灰緑色、灰青色、グレー、紫色
慶弔両用紫色

袱紗には、結婚式をはじめとする慶事用と、通夜や葬儀で使う弔事用があります。慶事では明るい暖色系、弔事では落ち着いた寒色系の袱紗を選ぶのが一般的です。

慶弔両方で使えるのは、古くからもっとも高貴な色とされている紫色。藤色や薄紫色は暖色に分類され、お祝い事のイメージが強いため、なるべく濃い紫色の袱紗を選んでください。慶弔で併用できる紫色の袱紗は、もっていると重宝するため、最初の一枚にオススメです。

また、男性は紺色、女性はえんじ色も慶弔両方で使える袱紗とされています。

【慶弔別】袱紗の柄・模様

行事袱紗の柄・模様
慶事用(結婚式)鶴、亀、亀甲、梅、竹、松、鳳凰、扇、おしどり
弔事用(葬式)蓮、菊、蘭
慶弔両用無地

袱紗は、柄や模様、刺しゅうの入っていない無地を選ぶのが基本。シーンを選ばず使えるため、もっておいて損はありません。

柄や刺しゅうが入っている場合は、慶弔で使う場面が決まっているので注意が必要。結婚式をはじめとするお祝い事では、鶴亀や松竹梅、鳳凰など縁起のよい柄の袱紗を選びましょう。また葬儀や通夜などのお悔やみ事では、蓮、菊、蘭などの刺しゅうが適しています。

袱紗の材質

袱紗の素材は、正絹(シルク)が一般的。ただポリエステルやレーヨンなどの科学素材で作られた袱紗もあります。

正絹(シルク)

正絹(シルク)で作られている袱紗は、高級感のある光沢や手触りが特徴で、どんな場面でも使えます。またちりめんや西陣織など、織り方が工夫されている袱紗もあり、美しい柄を楽しめるでしょう。

ちなみに、正絹の袱紗は2,000円台から販売されていて、一度購入すれば長く使えます。化学素材の袱紗より値段は上がりますが、ぜひ購入を検討してみてください。

化学素材(ポリエステルやレーヨン)

ポリエステルやレーヨンなど、化学素材で作られた袱紗は、価格が安くてリーズナブルなのが魅力。汚れても気軽に洗ったり買い替えたりしやすいため、試しに購入するのもよいかもしれません。

ただある程度、年齢を重ねた方には、安価な袱紗はふさわしくありません。途中で買い替える方も多いため、最初から正絹の袱紗を選んでもいいでしょう。

袱紗はどこに売っている?

  • デパート(礼服売り場)
  • 紳士服店
  • 仏具店
  • 文房具店
  • 100円均一ショップ
  • インターネット

ふだんあまり見かけませんが、袱紗はさまざまな場所で購入できます。

代表的な場所はフォーマル服の売り場。大抵のデパートであれば取り扱いがあるため、喪服やフォーマルスーツを購入するときに、一緒にそろえるとよいでしょう。他にも、紳士服店、仏具店、文房具店などでも購入できます。また、化学素材や金封タイプの簡易的な袱紗は、ダイソーやキャンドゥなどの100円ショップでも取り扱っています。

インターネットでも購入できるため、結婚式や法要など、時間に余裕があるなら、利用してみるのもオススメです。

袱紗は絶対必要?ないときの対処法

  • ハンカチ
  • スカーフ
  • 風呂敷
  • その他、キレイな布

袱紗が手元にないときは、ハンカチやスカーフ、風呂敷などの布を代用してOK。ご祝儀袋や香典袋が包めるサイズで、シンプルな色柄の布であれば問題ありません。袱紗と同じように、お祝い事には暖色系、お悔やみ事には寒色系を選びましょう。また金封を包む前に、アイロンでシワや折り目をしっかり伸ばしておいてください

ただし、袱紗以外の布で代用するのは、あくまで緊急措置。袱紗は結婚式や出産祝い、お見舞い、葬儀など、年齢を重ねるにつれて使う場面が増えていきます。大人のマナーとして、長く使える袱紗を手元に用意しておくとよいでしょう。

袱紗の包み方入れ方

袱紗への金封の入れ方・包み方は、慶事と弔事によって変わるため注意が必要。慶事ならご祝儀袋を右開きで取り出すように、弔事なら香典袋を左開きで取り出すように包みます。

袱紗のタイプ別に、金封の入れ方と包み方を解説するので、参考にしてください。

包むタイプ(風呂敷・爪付き・台付き袱紗)

風呂敷袱紗、爪付き袱紗、台付き袱紗は、基本的には同じ包み方です。

慶事(結婚式)

袱紗の包み方(包むタイウ・慶事)
  1. 袱紗を裏向きにして、ひし形になるように開く(爪は右側)
  2. 袱紗の中央からやや左にご祝儀袋(表書きが上)を置く
  3. 左→上→下→右の順に袱紗の端を折り込む
  4. はみ出した右端の布を裏側へ折り込む(留め糸に爪をかける)

弔事(葬式)

袱紗の包み方(包むタイウ・弔事)
  1. 袱紗を裏向きにして、ひし形になるように開く(爪は左側)
  2. 袱紗の中央からやや右に香典袋(表書きが上)を置く
  3. 右→下→上→左の順に袱紗の端を折り込む
  4. はみ出した左端の布を裏側へ折り込む(留め糸に爪をかける)

挟むタイプ(金封袱紗)

慶事(結婚式)

袱紗の入れ方(挟むタイウ・慶事)
  1. 袱紗が右開きになる向きにする
  2. 表書きが読める向きで祝儀袋を入れる

弔事(葬式)

袱紗の入れ方(挟むタイウ・弔事)
  1. 袱紗が左開きになる向きにする
  2. 表書きが読める向きで祝儀袋を入れる

袱紗で包んだ香典の渡し方

ご祝儀や香典をむき出しで持ち歩いたり、袱紗ごと手渡したりするのはマナー違反です。金封は必ず袱紗に包み、渡すときは袋を取り出しましょう

ここでは、袱紗のタイプ別に香典の渡し方を紹介します。

包むタイプ(風呂敷・爪付き・台付き袱紗)

  1. 左開きになるよう袱紗をもつ
  2. 左側を開いて、袱紗の端を下に折り返す
  3. 同様に上→下→右の順に開いて端を下に折り返す
  4. 香典袋を取り出して折りたたんだ袱紗の上に置く
  5. 反時計回りに180度回転させ、表書きを相手に向ける
  6. お悔やみの言葉を添えて、両手で香典袋を渡す

※慶事では、袱紗を右開きでもち、時計回りに向きを変えて渡します

挟むタイプ(金封袱紗)

  1. 左開きになるよう袱紗をもつ
  2. 袱紗を開いて香典袋を取り出す
  3. 反時計回りに180度回転させ、表書きを相手に向ける
  4. お悔やみの言葉を添えて、両手で香典袋を渡す

※慶事では、袱紗を右開きでもち、時計回りに向きを変えて渡します

袱紗に関するよくある質問

袱紗とは何ですか?

袱紗(ふくさ)は、冠婚葬祭の場で金封を包む布のこと。金封を汚れやシワから守ったり、渡す相手に敬意を表したりするために使います。

ご祝儀袋や不祝儀袋をむきだしで持ち歩く方もいますが、袱紗に包んで持参するのがマナーです。大人のたしなみとして、袱紗を手元に用意しておくとよいでしょう。

慶弔で使う袱紗の色と柄は?

行事袱紗の色袱紗の柄・模様
慶事用(結婚式)赤色、朱色、オレンジ色、えんじ色、桃色、
黄色、ベージュ、金色、藤色、紫色
鶴、亀、亀甲、梅、竹、松、
鳳凰、扇、おしどり
弔事用(葬式)紺色、深緑色、うぐいす色、
灰緑色、灰青色、グレー、紫色
蓮、菊、蘭
慶弔両用紫色無地

袱紗は、慶事と弔事で使う色や柄が決まっています。

結婚式をはじめとする慶事では、赤色やオレンジ色、桃色などの暖色系の袱紗が基本。鶴亀や松竹梅、鳳凰など縁起のよい模様が好まれます。

反対に、通夜や葬儀で使う弔辞用の袱紗は、紺色や深緑色、グレーなどの寒色系。蓮、菊、蘭などの柄があってもよいですが、無地の袱紗の方が無難でしょう。ちなみに、濃い紫色で無地の袱紗は慶弔両方で使えるので便利です。

袱紗にはどんな種類があるの?

袱紗の種類
包むタイプ風呂敷袱紗(手袱紗)
爪付き袱紗
台付き袱紗
挟むタイプ金封袱紗

袱紗は、大きく包むタイプと挟むタイプにわけられます。

包むタイプは、一枚布で金封を包む袱紗で、風呂敷袱紗(手袱紗)、爪付き袱紗、台付き袱紗などの種類があります。また挟むタイプは、二つ折りで金封を挟み込む袱紗で、金封袱紗が代表的です。

袱紗はどこで買えるの?

  • デパート(礼服売り場)
  • 紳士服店
  • 仏具店
  • 文房具店
  • 100円均一ショップ
  • インターネット

袱紗を購入できる主な場所はこちら。

デパートや紳士服店、仏具店などが一般的ですが、最近は100円均一ショップやインターネットでも購入できます。

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