釘打ちとは

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

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釘打ちとは、お棺の蓋を釘で打ちつけることです。告別式において出棺の際に執り行われます。釘を打ちつけることで故人との別れを受け入れ、けじめをつけるために行われることがありますが、最近では釘打ちの儀式をしない場合が多いです。釘打ちの理由や釘打ち前後の儀式の流れと気を付けるべきことなどをまとめました。

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釘打ちとは?

釘打ちは、棺の蓋を釘で打ちつける行為のことです。故人を埋葬する場所や火葬場へと送り出す出棺の場面で行われてきました。釘打ちを行う理由については、大きく分けて宗教的な理由と物理的な理由の2つがあります。

釘打ちの理由 穢れと病気を避けるため

釘打ちの最も重要な狙いは、死の穢れを忌避するためと考えられています。

穢れとは、精神的・肉体的な面において汚れていることを指しています。神道では、死を穢れとみなしていました。そのため、座棺から穢れである死(遺体)が出てこないように、釘を打っていたのです。

また、土葬が行われていた頃は、遺体の保管状態が悪く、死者のまわりは不衛生でした。死者を通じて病気に感染することを防ぐために、遺体を離れた場所に保管し、病気が移らないように棺に釘を打ち、穢れを避けていたのです。

釘打ちの理由 故人を無事にお墓に運ぶため

一方、土葬の際に、野辺送りをして故人を無事に埋葬場所まで運ぶためにも、釘打ちは重要な意味を持っていました。

かつて棺には無垢の板材が使われていました。無垢は湿度の変化によって反りが起こりやすいため、運ぶ時に蓋が取れてしまわないように釘打ちが行われたという説です。

さらに、持ち運ぶ時の揺れに対応するため、という説もあります。

土葬が一般的だった当時は、今あるような遺体を横にして入る棺のほか、座棺と呼ばれる故人を座らせて納める棺が用いられていました。このような棺は、大きな桶のような形をしています。お墓までは故人を運ぶ際には棒を使い、2人の担ぎ手によって運ばれます。そのため、棺が揺れやすく、縄で縛るだけでは板が外れ、遺体が転げ出てしまう恐れがありました。そこで、出棺の時に釘打ちが行われるようになったという説です。

>>野辺送りについて

火葬の普及と棺の進化による釘打ちの風習の変化

土葬から火葬へ

現在は火葬による弔いが一般的ですが、明治中期までは、火葬のほかに土葬も行われていました。一般家庭では土葬が多く用いられ、上流階級では火葬が多かったとされています。火葬では、寝棺と呼ばれる棺が用いられていました。現在の遺体を寝かせ入れる棺のことです。戦後から、火葬の風習が広まりました。現在の日本では火葬がほぼ100%近くまで普及しています。

釘打ちの風習の変化

火葬の普及や棺の進化に伴って、釘打ちの風習は廃れてきましたが、地域によっては、現在でも釘打ちが行われています。

仏式の葬儀での釘打ちは、喪主から血縁の濃い順に、棺の頭の方から小石で一打ちずつ、打っていく習わしがあります。この時、小石は三途の川の石に例えられることもありますが、石を使うことで、棺に死者の霊を封じていたました。喪主や遺族、血縁者たちが各自一打ちずつ打った後は、葬儀社のスタッフに任せます。最近は、反対に最後の釘1本を、喪主や遺族たちで形式的に、少しずつ打ち込む形式もあります。

釘を打ちつける道具にも変化が起きています。現在ではかつて用いられていた石に代わり、金槌が使用されています。

出棺の儀式と釘打ちの関係

出棺とは、火葬場へ棺を運ぶ儀式のことです。釘打ちも、出棺の儀式の中で執り行われます。喪主による別れの挨拶が終わると、棺に花が納められ棺に釘を打つのです。釘を打つ行為は、故人との別れを受け入れ決別するため、とも言われています。しっかりと蓋をして、二度と会えないことを自らにわからせるのです。

このように考えると、釘打ちは見送る遺族や参列者のための儀式という見方もできます。

釘打ちに対する意識の変化

釘打ちは遺族の意向によって省かれるケースも少なくありません。

また故人が寝ているところに、「上から釘を打つのは故人に失礼」「棺に釘を打つなんて残酷」といった意見もあります。

出棺の流れ

出棺の流れを把握しやすいように、前後に行われる儀式と合わせて紹介をします。これから葬儀や告別式を行う方は、こちらの内容を参考にしてください。

出棺前に行うこと

出棺の前には、葬儀が執り行われます。僧侶にお経をあげてもらい、弔辞、弔電をご紹介します。最後にご焼香を済ませ、出棺を行う告別式へと移ります。

挨拶とお別れの儀、釘打ち

はじめは喪主による挨拶です。会葬者へ向けて、葬儀への参列、故人との交友について感謝を述べます。挨拶は儀礼的・形式的な話に留まりません。喪主によっては、故人の性格を表すエピソードを挨拶に加えるケースも少なくありません。特に参列者が遺族・親族だけの場合には、故人の人柄を表した内容が述べられます。

挨拶後、お別れの儀に移ります。祭壇から下された棺に別れ花を納め、別れを告げます。花を納める順番は、喪主・遺族・参列者です。

副葬品を入れる際に気を付けること

この時、副葬品も一緒に納めます。副葬品として棺に入れてもよいのは、燃える物です。

燃えない物は入れることができません。例えばメガネや湯飲み、アクセサリーや硬貨などは入れられません。副葬品を納める場合は、葬儀社のスタッフなどに事前に尋ねておくようにしましょう。

別れ花と副葬品を納め、最後のお別れをしてから釘打ちが行われます。釘打ちが終わった棺は霊柩車に運ばれます。最後にもう一度喪主による挨拶が行われて、霊柩車が出発します。これで、出棺の儀式が完了します。

出棺後 納めの儀と火葬

火葬場に着いたらお経をあげ、最後の別れをする納めの式を行います。そして、火葬場に遺体が搬送されたら納めの式を行い、故人との最後のお別れをします。火葬後、故人を供養する環骨法要と初七日法要を行います。現在の初七日法要は、時期を待たず、繰り上げて行うのが一般的です。最後に、お礼のための精進落としを開き、僧侶や参列者と共にお食事をいただきます。

まとめ

出棺で行われる釘打ちについては、遺体の保管や、病気への感染、死に対する考えによって行われていました。現在では、故人との別れを自覚するために釘打ちを行う場合もあれば、ご遺族の心情を考慮し、行わないこともあります。葬儀で行わる儀式についてのご相談や葬儀全般に関する相談は24時間、年中無休でお受けしております。急な葬儀やお車、僧侶のお手配もご相談ください。

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