社葬を行う意味と目的 – 合同葬との違い/社葬に関するよくある質問

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

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社葬とは、創業者や社長、会長をはじめとした経営陣など、その会社の発展に大きく貢献した人が亡くなった際に行う葬儀です。遺族や近親者が施主を務める通常の葬儀と異なり、故人が属していた会社が施主を務めるというのが、社葬の大きな特徴です。

お別れ会・お別れの会、偲ぶ会といった名称の違いや、会葬者の数、ホールの大きさなどといった規模等に関係はありません。会社が主体となって執り行う葬儀、またはお別れの儀式であり、費用についても原則、会社が負担します。

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社葬を行う意味と目的

故人への哀悼と企業としての信用性を高める

社葬は、一般的な葬儀に比べ会葬者数が多く、おおむね大規模な葬儀が執り行われますが、社葬は規模の概念ではなく「運営の主体が企業にあり、企業の経費で執り行われるかどうか」が判断の基準となっています。

社葬は、故人への哀悼・慰安という本来的な目的にとどまらない、企業にとって大きな意義のあるイベントといえます。

企業は、社葬を執り行う際、通常の企業業務とはまったく異なる儀礼を施行しなければなりません。しかし、それが企業を結束させ、社内体制をより強固なものにする役割を果たすこととなるのです。

また、社葬は、故人の関係者だけでなく、各界からの主要関係者が会する一大行事です。社葬は、それらの参列者に対して企業の組織力をアピールし、後継者を中心とした万全な体制を知らしめる場でもあります。

社葬の成功は、企業としての信用性を高めることにつながります。しかし逆に、社葬が失敗した場合、ましてや、経営トップの死に際して、企業が社葬を執り行わないとするならば、その企業に対する社会的評価の低下は、非常に大きいといえるでしょう。

社葬とは、企業の信頼性を知らしめる最も効果的な社外広報・アピールであり、その後の企業の経済活動を円滑ならしめ、企業存続のノウハウを引き継いでいくための必要不可欠な儀式なのです。

社葬の役割

社葬には大きく分けて、3つの重要な役割があります。

  • 儀式としての役割
    会社の発展に貢献した故人を弔い葬る儀式として、関係する人たちが故人を偲び、功績を称え、感謝の気持ちを伝えるという厳かな「儀式」としての役割
  • 信頼関係を継続させるための「広報」としての役割
    顧客や株主、取引先など、会社に深く関わる方たちに、会社の新体制や今後の方針など「これからの姿」を印象づけ、信頼関係を継続させるための「広報」としての役割
  • 社員の意識変革という役割
    社葬という一大イベントを全社員が一丸となって企画・運営することで、新体制となった会社の一員としての自覚を促し、社員同士の結束を強め、士気を高める「社員の意識変革」という役割

一般的な個人の葬儀は「故人を追悼する」ことが主な役割ですが、社葬はそれに加え「社外への広報的な役割」や「社員の結束を強める役割」を担っているのです。

会社の上層部や中心にいた方の逝去は、その会社の経営に大きな影響をもたらす可能性が高く、中でも創業者やオーナー社長の逝去は、その会社にとっての大きな転換点となります。ある意味、その会社にとって大きなリスクともいえます。そのため、会社に関係する顧客や株主、取引先などは、今後の方針や体制に注目しています。

そうした状況の中で社葬を行うことは、新しい経営陣による新体制の手腕を示し、これからの経営や事業が盤石であることを伝えるだけでなく、会社に関係する顧客や株主、取引先などに安心と信頼を与え、良好な関係を継続するための絶好の機会になるのです。

だからこそ社葬は、スムーズな進行はもとより、参列者への配慮の行き届いた、会社としての品格が感じられる、厳粛で格式あるものでなければいけません。社葬は旧体制と新体制との「事業継承の場」であり、関係各所の無言の承認を受けるという目的も持ち合わせている、極めて意義のある特別な儀式なのです。

参列者が社葬で受けた印象は、主催した会社の評価に直結すると言っても過言ではありません。社葬を成功させるためにも、万全の体制と事前の準備が重要になります。

社葬と合同葬の違いとは

合同葬は、近親者による密葬などといった個人の葬儀と社葬とを併せて行う葬儀です。また、2つ以上の企業や団体が合同で行う葬儀も合同葬と呼ばれます。

故人の死後、日をおかずに通夜、葬儀・告別式といった一般的な葬儀のスケジュールで行われ、ご遺体を火葬するまでの流れも儀式の中に含まれているのが特徴です。また、社葬ではありますが、個人の葬儀と併せて行うため、費用は遺族と会社で分担するケースが多いようです。

喪家の宗教・宗派で行うことが通常ですが、基本的には遺族との話し合いによって決められます。

葬儀費用についても、企業と遺族双方の話し合いによって決定されます。寺院へのお布施の費用に関しては遺族が持ち、斎場の費用や葬儀費用については企業が持つなど、それぞれのケースによってさまざまです。また、名義を合同葬とする場合でも、社葬規程で定めておけば企業が費用の全額を負担しても構いません(但し、火葬料と戒名・法名へのお布施を除く)。

2社以上が主催して行う合同葬では、故人が数社と関係していた場合、それぞれの企業での役職や企業の規模などによって分担が異なるのが一般的です。

社葬と合同葬のメリット・デメリット

社葬のメリット・デメリット

  • 宗教儀礼に則った、会社のイメージに沿った厳粛な式典が行える
  • 合同葬などに比べると開催まで時間的猶予がある
  • 参列者の拘束時間が長くなる
  • 寺院や関係者との打ち合わせ、案内状の送付先や席順の決定など、多方面にわたる準備が必要
  • 会場によっては焼香などができない場合がある

合同葬のメリット・デメリット

  • 故人の葬儀と社葬とを一度で行うため、葬儀費用やかける時間が節約できる
  • 遺族が故人の「職場での顔」を知ることができる
  • 社葬でお香典をもらうと課税対象となるが、合同葬なら遺族がお香典をもらうことができ、原則的には課税対象とならない
  • 会社と遺族の合同で行うため、費用面や内容面で話し合い、密に連絡を取る必要がある
  • 開催まで1週間ほどしか時間的猶予がない
  • 個人葬と社葬と別々に行うよりも弔辞や読経、焼香などの時間がかかり、拘束時間が長くなる
  • 遺族が会社側の会葬者への配慮をしなくてはならず、故人とゆっくりお別れできなくなる

社葬を行う際に知っておきたいポイント

準備や手続きで必要となる専門ノウハウ

社葬は個人葬に比べて会葬者数が多く大規模な葬儀となる場合が多いため、多大な葬儀費用もかかります。そのため、社外的な告知活動や社葬実行委員会の設置、取締役会による社葬の決定、税務上の手続きなど、さまざまな準備や手続きを行う必要があります。そのため葬儀の運営に際しては、多くの会葬者への対応を滞りなく行えるような専門的なノウハウが必須となります。

かつては、戦後経済を牽引してきた著名な経営人の社葬なども多くあり、数万人という規模が参列することもありました。今は1,500人以上の参列者があると、比較的に大きな社葬と考えてよいでしょう。大手企業の場合の会葬者のボリュームゾーンは500~700人前後などといわれています。また中小の企業では100~200人前後の参列者が多いようです。

社葬規程の作成

一般的に社葬は、遺族が密葬などを行った後に本葬という形で執り行うことが多くなっています。

仏教の場合は四十九日、神道の場合は五十日祭までに納骨をすることが多いため、社葬で祭壇に遺骨を安置することを考慮すると、準備期間としては1ヵ月もないでしょう。訃報を受けてからの限られた時間内で慌ただしくさまざまなことを決めていくよりも、事前に社葬規程として作成しておくことをおすすめします。

社葬を執行する基準

社葬を執行する基準は、会社に対する故人それぞれの貢献度によって違ってきます。社葬費用や規模の面でも反映されます。

「現役の会長や社長が死亡したとき」「会長または社長として在職10年以上の期間を有する者が死亡したとき」などが貢献度としては高く、次いで「現職の副社長、専務、常務が死亡したとき」「会長または社長として在職10年以下の期間を有する者が死亡したとき」などとなります(年数などはあくまで参考となります)。また、役員などでなくても「職務中に社業のために死亡した社員」の項目を加えるところも多くなっています。 

グローバル化や社会状況の変化などによって、想定していなかった事案が生じることもありますので、社葬の執行基準については数年に一度、見直していくのが良いようです。

社葬に関するよくある質問

社葬の企業経営上の位置づけは?

社葬は、故人を供養する儀式であるとともに、企業経営上においては「広報活動」という意味合いを持っています。社葬は、企業がその存在意義を社会に認めさせる活動のひとつです。また社員にとって、自社の経営理念を再確認し、社内の結束を固める機会にもなります。

社葬の狙いは?

社内に対しては、社葬の実施・運営を通じて、社員が一致団結し、企業への求心力が高まるという狙いがあります。 社外に対しては、企業の社会価値観を示すという狙いがあります。葬儀委員長や来賓の選定、焼香順位などは、企業の価値観の表れです。また、新しい経営体制を周知する機会にもなります。

社葬は事前に準備しておくべきでしょうか?

準備しておくべきです。
また、社葬を怠りなく進めるためには、前準備として「規定」化しておくべきでしょう。 実務的な面で、業務フローや社内外の関係者の連絡先名簿の作成などについて、運営マニュアルにまとめておくことも重要です。 規定や運営マニュアル策定の際には、実際にご不幸があった時には内密にしかも細心の注意を払って準備することを念頭においてください。

いざ社葬を実施しようと思っても、かけられる準備期間は、社葬やお別れ会・お別れの会ならご逝去から約40日、合同葬なら約1週間程度しかありません。この間、通常の業務を続けながら危機対応に務めなければなりません。

社葬に対する基本方針となる社葬取扱規程と、ご家族からご逝去の連絡を受けたときに全社員に指示を伝える緊急連絡体制を作成しておくことで、もしものときに備えることができます。会社にとって大切な人物を失った瞬間は、その組織にとって重要な局面です。その重要な局面を乗り越えるためにも、社葬について事前に準備しておくことは、危機管理やリスクマネジメントの観点からも、非常に重大なことです。

社葬の対象となる人は?

会社に多大な貢献をした人です。
具体的には、会社の社長や現職の役員が対象となります。現職の社員についても、貢献度などにより社葬対象者となる場合があります。一般的には、会長、取締役、監査役、顧問、相談役、殉職者、特別功労者が亡くなった場合に社葬が行われます。

葬儀委員長は誰に依頼するとよいですか?

多くの場合、会社の社長や経営層が務めます。
社長が亡くなった場合は、後継者にあたる人が葬儀委員長を務め、会長や役員、社員が亡くなった場合は、社長が務めるのが一般的です。
会社にとって重要な役割を担っていた方が亡くなったことで実施される社葬の葬儀委員長ですから、関係各所の方々が納得できるような人物を選任する必要があります。
社外の方にお願いする場合は、加盟組合連合会などの会長、国会議員や市長、重要取引先の会長や社長などに依頼します。

弔辞は誰に依頼したらよいですか?

取引先代表(会社と関わりの深い重要な取引会社の社長)、友人代表、社員代表に弔辞依頼をします。人数は3~5名が一般的です。弔辞を依頼する方には、故人の経歴書や会社案内を渡しておきます。取引先で一社のみ依頼すると問題がある場合、議員や業界組合長など公的な立場の方に依頼することもあります。

司会者は誰に依頼したらよいですか?

進行上、専門用語が多く使われるため、専門のサービス会社に任せた方が無難です。

社葬の日取りの決定方法は?

社葬の日取りは、社葬執行の関係者や会場の都合を優先して決定します。 自宅での密葬を依頼した僧侶に社葬の導師を依頼するのが普通ですが、まずはこの僧侶の都合が優先されます。 次に会場の都合を確認します。日程は「友引」を避け、四十九日までを目安に社葬執行日を決定します。

故人の私的要望は社葬には取り入れる場合は?

社葬という建前で行う儀式であるため、あまり私的なことは避けた方がよいでしょう。しかし、故人が好きだった花を飾るなどといった配慮は必要です。

対外的な社葬の連絡ポイントは?

当日までの社葬連絡係を決めて対応するのがポイントです。 営業-販売先 購買-仕入先 経理-金融関係先 総務-親族・故人の私的関係者 などと各部ごとに区分けし、先方と面識のある管理職の方が連絡するのがよいでしょう。 来賓で参列していただくかどうかは、連絡先名簿作成時に決めておきます。

連絡先名簿の作り方は?

訃連絡先名簿は、以下のように分類し恒久的なデータベースを用意しておきます。 この名簿から、故人の生前の役職や立場を勘案して具体的な連絡先を決めます。

1.社員:社員と労働組合となります。社員・労働組合への連絡方法はあらかじめ決めておきます。

2.取引先:大きく分けて、販売先・仕入先・外注・金融・保険となります。これらに関与している社内組織の責任者と協議し、会社の最高責任者の承認もとっておきます。連絡方法もあらかじめ決めておきます。税理士・弁護士など顧問の方々にも連絡します。

3.株主:他の区分で名簿に載せられない主な株主(上位20名(社))。

4.一般:国・県・市の議員。

社葬の対象となる人の訃報が入って、まずすべきことは?

訃報が届いたら至急役員会を開催し、社葬の計画・運営方法を決定し、議事録を作成します。この取締役会議事録がない場合、経費としての領収書が揃っていても社葬経費として認められないことがあるため、注意が必要です。社葬を行うことが決まった場合、遺族に伝えて意思確認することも忘れてはいけないポイントです。

また、今日では病院からの訃報が多くなっています。そのため、病院との密なコミュニケーションが必要となります。病院からは入院中の費用精算を要求されることがありますが、ご遺族や地元町内の方々に配慮して、会社側はあまり出過ぎない方が無難です。

社葬の組織作りのポイントは?

葬儀委員長の直属の部署として社葬事務本部を設置し、全ての情報を管理します。 また、不測の事態に対応できる雑務問題処理係を各係との連絡役として設けるのがポイントです。

社葬費用は、どの範囲まで税務上認められますか?

「社葬を行うことが社会通念上相当である」と認められ、「社葬のために通常要すると認められる費用」であれば、福利厚生費として損金処理が可能です。
「社葬を行うことが社会通念上相当である」とは、故人の生前における会社への貢献度や死亡事情に照らし合わせて、会社が社葬費用を負担するにあたり、充分な理由があることです。
「社葬のために通常要すると認められる費用」とは、実際に社葬を執り行うために必要となる費用です。基本的には、遺族が負担するべきとされる、戒名料や仏壇や本位牌代、香典返し代、精進落しや初七日などの法事費用、死亡診断書などにかかる手続き費用、墓地や墓石代などといった費用以外は、福利厚生費として認められます。

一般社員の参列はどのようにすればよいですか?

社葬は業務時間内での実施がほとんどなので、役員と係員のみの参列に限られるケースが多いですが、会社によって対応が異なるため、あらかじめ対応を決め、全社員に通達しておくことが大切です。遠隔地の支社や工場など、社葬に参列できない社員のために、一定期間中はいつでもお参りできる遥拝場を設けたり、朝礼時や社葬開始時間に黙祷を捧げたり、社葬の映像を後日共有するなどの対応を取る会社もあります。

供花の配列順はどうすればよいですか?

一般的には、祭壇に最も近い場所が最上位とされています。
祭壇に近い向かって右側の最上段から、喪主、遺族、親族一同、役員一同、社員一同と、故人と近い関係順に、祭壇を挟んで左右交互に並べていくのが通例です。供花の配列順位は、相手先と自社との関係の意思表示であると見られるため、十分な配慮が必要です。なお、当日は順不同などの案内板を提示しておくとよいでしょう。

ライバル会社からの供花の位置づけは?

近年の傾向として、ライバル会社からの供花は、敬意を表してかなり上位に配置することが多くなっています。

社員の香典はどうすればよいでしょうか?

特に決まりはありませんが、最近は香典を辞退するケースが多いようです。
社葬にかかる費用は、福利厚生費として計上し、損金処理をすることができますが、会社が香典を受け取ると、福利厚生費として計上できず、課税対象となります。そのため香典は、社葬の前に行われる密葬や家族葬で、遺族が受け取るケースが大半です。
社員として遺族に香典を渡したい場合は、会社で一般社員や役職者ごとに金額を決めて、社員一同としてまとめてから渡すと良いでしょう。

香典は課税されますか?

通常、個人の葬儀の場合には、香典は課税対象となりませんが、社葬で会社が香典を受け取ると、課税対象となります。受領した香典を会社の経理に入金した後に遺族に渡すと、会社は雑収入として、遺族は退職金扱いとして、いずれも課税対象となる可能性があり、注意が必要です。
社葬で香典を受領する場合、企業は香典を受付で管理する作業のみを担当し、葬儀終了後に遺族にお渡しする、という形をとるとよいでしょう。

社葬にかかる費用は福利厚生費として計上し、損金処理をすることができますが、会社が受け取った香典は、雑収入に計上しなければならず、福利厚生費として計上できません。そのため最近は社葬の場合、香典を辞退するケースが多いようです。

香典返しは誰の名前で出せばよいですか?

税制の観点から、香典は喪家にお渡しすることが多いため、香典返しも喪主名で出すのが通常です。ただし、件数が多い場合などは、会社が作業部分を代行したり、手伝ったりすることもあります。

供花を辞退したいのですが

供花を辞退したい場合は、その旨を社葬案内状に明記しましょう。
最近は香典だけでなく、供花や供物などを辞退する葬儀が増えています。供花や供物などを辞退したい場合は、「故人の遺志により供花や供物は辞退申し上げます」のように、「故人の遺志として」と書き添えます。
社葬当日は、受付付近に「故人の遺志により、供花や供物は辞退申し上げます」と書いた看板を用意しておくと良いでしょう。

僧侶へのお礼の金額は?

僧侶へのお礼は、人数・規模によっても変わりますので、依頼の際に率直に伺うのがよいでしょう。お礼を渡すタイミングは、社葬が終わり、僧侶が控え室に戻られた際、お礼の言葉を添え、お布施とお車代に分けてお渡しするのが通常です。

社葬後の手続きとして重要なものは?

役員の死亡によって定款などで定める役員数を割る場合、臨時株式総会を開催して後任を決めます。 死亡退職金や弔慰金(慰労退職金)も、会社を通して遺族に渡すべきものですので、手続きが必要です。

役員の退職功労金の場合、報酬の後払い的部分と功労加算金的な部分を複合して支給するもので、株主総会の決議が必要です。(社員総会の中では特に金額を記載しないのが一般的)。一方、弔慰金は故人の遺族に対する弔意を示す金品で役員報酬ではないため、株主総会決議は不要です。

また、役員交代について、取引先・組合・業界・関係団体に対し文書にて、死亡退任と新役員の就任を連絡します。他企業の持ち株や遺産相続などは遺族が行いますが、場合によっては会社として顧問弁護士や税理士等を紹介する配慮も必要です。

社葬を行う場合、遺族にはどう伝えたらよいのでしょうか?

社葬執行の申し出は、遺族の気持ちを第一に考え、誠意を持って伝えます。
遺族は大切な人を亡くしたばかりで、突然「社葬をしたい」と言われても、理解が追いつかない場合も少なくありません。まずは遺族の気持ちを優先し、落ち着くまで寄り添い、遺族のサポートに努めましょう。
気持ちに余裕が見られるようになったら、社葬を開きたい旨を申し出てみます。故人の果たしてきた偉業や、会社として追悼の場を設ける意味、密葬だけで済ませた場合に後で起こりうることなどを、焦らず丁寧に話していきましょう。
主に以下の点を喪家と打ち合わせをしておきます。 費用の分担については、詳細に決めておく必要があります。 以下が喪家との打ち合わせの項目例です。

1.社葬実施の確認
2.遺族・親族側の出欠表と人数の確認
3.僧侶をどなたに依頼するか
4.寺院・会場の希望
5.費用の分担について
・葬儀費用の負担の仕方: 取締役会での社葬の決定時、葬儀費用の分担区分を明確にしておきます。
葬儀費用: 「葬儀費用」とは、葬儀社への支払い、寺院・教会へのお礼、通夜その他接待のための飲食費や雑費のことで、葬儀そのものが終了するまでの経費のことをいいます。初七日や四十九日の法要・埋骨などは、税法上では葬儀費用として認められません。
・喪家と会社の分担分: 一般的に、死亡時の病院への支払いと自宅での密葬に要した経費は喪主側の負担。社葬の関係経費を会社側が負担します。なお、会社側が全費用を負担するケースもありますが、葬儀費用は、遺産の相続分から控除される対象となりますので、双方が納得できるよう話し合いで決定するのがよいでしょう。
・合同社葬の場合: 2社以上の合同葬の場合、どこか1社が主軸となり、各社の意思疎通を図りながら費用の分担をまとめていくのが通例です。費用の分担は、各社均等に分担、営業実績によって負担率の軽重をつける、規模の大きな会社が全費用を負担し、他社が労力を提供するなどの分担方法がありこれらから合意に達した案を採用します。

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