「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」作品集

父への手紙

亡き父にお礼の言葉

早坂 敏一(山形県山形市)64歳

父は今年の二月十二日に、享年九十歳で他界しました。
父に生前言えなかった二つのお礼を、この手紙で陳べさせていただきます。
一つ目は、私の結婚を許してもらったことです。
私は男二人兄弟の長男として、家督を継ぐものとして育てられました。
しかし、私が好きになった人は、一人娘でした。
いざ結婚話が進むにつれ、母と親戚中が「婿養子にはやれない」と猛反対でした。
無理もありません。田舎では、長男が婿養子になるなんてありえませんでした。
その後しばらくして父が、「お前が幸せになるのなら婿養子でも良いよ」と言ってくれました。
その一言で結婚することが出来ました。
「親父ありがとう」
お陰様で、子供二人、孫四人、また、八月には、五番目の男孫が誕生予定です。
本当にありがとうございました。
二番目のお礼は、就職祝いに貰った腕時計です。
高校卒業して就職するときに、セイコーの自動巻きの腕時計と、「三日、三月、三年」の戒めの言葉をくれました。
「会社勤めは、厳しいものがある。その時、戒めの言葉を思い出して頑張れ」と励ましてくれたのでした。
腕時計は、貰ってから今までの四十六年間、ずっと毎日使っております。
今でも時計を見るたびに、父の優しさを思い出します。
お陰様で無事退職することができました。「親父ありがとう」
残された人生何年あるか分かりませんが、これからも腕時計と一緒に楽しく生きていきます。
本当にありがとうございました。


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