「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」作品集

子どもたちへの手紙

大切な娘へ

鈴木 純子(千葉県千葉市)71歳

あなたは、幼い頃から聡明で我慢強い手の掛からない子供でした。
何事にも真剣に順調な自分の人生を歩んでいたあなたを見守って幸せだった私は、突然あなたから「乳癌だって」と告げられ、その場に立ちすくんでいました。
あなたは九歳八ヵ月の娘と一歳四ヵ月の長男の育児に励んでいた時期で、怖ろしい現実にどんなにか心乱れていた筈なのに、決して涙を見せませんでしたね。
自分で病院を選び、主治医の説明を前向きに受け止め、手術、放射線、抗癌剤の苦しい治療を耐えました。必ず良い方に向かっているとあなたは確信して、二人の子供をグアム旅行に連れて行きたいと願ったのに、体に良くないと反対した母は後悔しています。
四月の幼稚園入園式に出席できたと大喜びの優しい笑顔を忘れません。「春休みに行こうね」と約束したのに。
五月には大好きな父親の肩にもたれ、自分の脚で二時間余を歩いて病院に着いたあなたの強い精神力を尊敬する母でした。
三日後に「私、子供のためならもっと頑張るけど、私の癌ならもう終わりにして」はっきりした口調で言い残し、四十歳七ヵ月の短い人生を閉じて逝きました。あなたの性格通り几帳面でしたね。
あなたの悲報は内密だったので大勢の人達を驚かせたのです。溢れる涙の中であなたの人間性を称賛してくださり、優しい笑顔を忘れませんとあなたに感謝の言葉を述べてくださり、親友達は月命日、一周忌、三回忌法要を墓前に集い、美しい供花で冥福を祈ってくれてます。
娘でいていくれて誇らしい。心から有難う。今、あなたは、私の心に住んでいます。
あなたが生きた証は、命を懸けて世に遺した愛しい二人の子供です。別れが辛く苦しみ抜いたけど、母親を失った悲しみを心の奥に秘め、あなたの信念を受け継いで逞しく生きて行くでしょう。
天空に輝く幾千万の星は世界中の亡き人々の魂の永久の楽園なのです。いつか、大好きなあなたに会いに行きます。それまで、二人で子供達の幸せを見守っていましょうね。



~友人からのメール~

美奈ちゃんを思い出す時に目に浮かぶのは
元気で明るく優しい笑顔です。
美奈ちゃんと時々お喋りをしたくなります。
皆を天国で見守っていてね!


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