「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」作品集

母への手紙

あなたからの“命”を繋いで

苑田 ルミ子(大分県大分市)61歳

今日は、五月六日。
おかあさん、あなたの誕生日です。
元気でいたら九十九歳ですね。
病気の身ではあっても、いつも穏やかで、
優しい眼ざしで、私たちを見守っていてくれましたね。
あなたが旅立って、この六月十二日には、三十回忌を迎えます。
早いものです。
振り返ってみると多くの事がありました。
一番の出来事は、私が結婚したことでしょうか。
おかあさん、私の思いは届いていますよね。
三十三歳で、あなたと別れ、その年に縁あって、結婚することが出来ました。
その時、結婚を決意した理由はただひとつ。
あなたの側にいて、いつまでも結婚せず、
姪や甥ばかりを、可愛がる私に、
あなたは、いつも言っていましたね。
“親”にならないとネーって。
そうです。
あなたの気がかりのひとつ。
私がひとり身であったこと。
親にならないと――。
あなたの口ぐせ。
その時。
まだ、間に合うかも――という思いだけが、
私が結婚を決意した理由です。
そして、あなたの一周忌、三回忌、七回忌に、
三人の息子を授かりました。
その息子達も、成人して、それぞれの道を、歩いています。
お蔭様で、三人共心穏やかで、優しい子に、育ってくれました。
私が還暦を過ぎるこの歳まで、
生きてこれたこと、生かされてきたこと、
きっと、あなたがこの子たちを、
私に授けて下さったからと、
いつも思い、支えにしてきました。
おかあさん、ありがとう。
やっと笑顔で、言えるようになりました。
やっと安心してもらえるようになりました。
これからも見守っていて下さいね。
これから、もっともっと、お便り届けます。


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