吉川美津子のお葬式あらかると

Vol.31 終末期の人が後悔すること

多くの死の現場に直面したり、また大切な方を亡くした後の家族と接していると、必ず「後悔」という言葉が口に出てきます。逝く人、見送る人、それぞれさまざまな「後悔」の念が生じるものですが、逝く側はどのような思いで「後悔」を口にするのでしょうか?

「あと少しだけ健康に気をつかっていれば良かった」

「検診をしておくべきだった」「タバコをやめておけば良かった」「バランスの良い食事を心がけるべきだった」「軽い運動を続けておけばよかった」など、体の機能が衰えて一番はじめに後悔するのは健康に関すること。「自分の体のことは自分が一番良く知っている。どうせいつか死ぬから、別に体を酷使してもかまわない」と笑いとばしている人ほど、イザ病気になったら気弱になってしまうものです。

エンディングノート

「身辺整理をしておけばよかった」

ひとことで身辺整理といっても、財産の整理、複雑な家族関係の整理など遺言に関する内容から、アルバム整理や生活雑貨の整理など日常生活に直結する内容までさまざま。近年はイザというときに困らないように、伝えておきたいことをまとめて記録しておく「エンディングノート」が次々と刊行されています。エンディングノートは銀行口座やクレジットカード、webサイト関連など自分の情報を整理することができるだけでなく、介護や葬儀の希望を伝えたり、相続の意思を伝えることができます。日常生活の備忘録としても活用できるため、幅広い年代の方に指示されています。


「夢や希望を持ち続けたかった」

体力的な問題で夢や希望を諦めざるを得ない状況になるケースは人間誰でもあることです。せめて気力だけは持ち続けられるよう応援したい、寄り添っていきたいと思っても、現実を直視せざるを得ない状況になると、家族でさえマイナス思考に走ってしまいがち。
多くの患者を見送ったある医師は、こう言います。「死ぬ間際、自分の目的を達成できなかったことに対して後悔する人は多い。しかしそれは、自分の夢や希望をかなえることができなかったので悔やんでいるというよりも、夢や希望を持ち続けられなかったことに対して後悔しているのでは。」と。「美味しいものを食べたい」「旅行に行きたい」など、実現可不可問わず、夢や希望を持ち続けられたらどんなに素敵でしょう。


「感謝の気持ちを伝えたかった」

「ありがとう」の気持ちを伝えたかった……・、これは見送る側、見送られる側、どちらもいえることで、自責の念とともに感謝の気持ちを伝えられなかったことに対して後悔が必ずつきまといます。長年生きていればいるほど、見送りのシーンは何度も遭遇し、その度に同じ思いの繰り返し。永遠に会えなくなってしいまう前に、会いたい人には会って感謝の気持ちを伝えておくことができたら随分気持ちが楽になるはずです。

 

「後悔」とともに、必ずといっていいほど出るのは「人生あっという間だった」という言葉。そういう思いを抱えた人の近くで、家族や親しい人達がどう寄り添っていくべきか、永遠の課題です。


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