吉川美津子のお葬式あらかると

Vol.26 死はケガレ?!お清め事情あれこれ

通夜や葬儀、あるいは火葬を終えて帰宅したとき、まず何をしますか?家に入る前に身体にパッパと塩を振りかける作法、「清め塩」を行う人も多いはず。塩による祓い清めの由来として考えられるものは、古事記に記されているイザナギの物語。イザナギが黄泉の国から逃げ帰り、海水で身体を清める「禊祓い(みそぎはらい)」をしたという文が記されています。塩は「ケガレ」を祓う意味で使われますが、「ケガレ」は「穢れ」のほかに「気枯れ」の意味もあるそう。「気」が「枯れてしまう」状態を元に戻したいたいという思いを、目に見える「塩」というツールを使ってあらわしたのでしょう。鰹節

こういった清め塩を使う習慣は全国的に伝わっていますが、地域ごとに特色のある作法もあちらこちらで見られます。たとえば、米(もしくは生米)を食べたり、味噌、大豆、魚、、鰹節、餅、団子などを食べて「お清め」としたり、塩の入った糠や灰を踏んで家に入る地域もあります。海岸沿いの町や村では、イザナギのように海に入る習慣が伝わっているところもあるようです。

仏教の側面からみると「清め塩」は教義に由来するものではないため、必要なしと声をあげる寺院も少なくありません。仏教では生と死をひとつの世界として捉えられているため、死はケガレではないのです。たしかに、大切な人を汚いものとして扱われたらあまり良い気はしませんね。そういう流れもあって、最近では葬儀社のサービスとして参列者に配られていた塩の小袋をなくしていこうという動きもみられます。

……とはいえ、昔は衛生面が悪く、亡くなった人の身体は「汚いもの」「ケガレたもの」として死穢払拭の思いが強かった点は否めません。特に亡くなった方の身内は、共に伝染病などにかかってしまう可能性が高く、死に引き込まれる危険性が高いと恐れられたために、塩や米など自然の力を借りて生命力をつけようとしたのではないでしょうか?


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