吉川美津子のお葬式あらかると

Vol.17 新盆は特別な準備でお迎えを

門堤型提灯亡くなって1年以内、あるいは3年以内(地域によっては7年というところも)の仏様の霊をお迎えする盆は、「新盆」(にいぼん・しんぼん)「初盆」(はつぼん)などとといわれ、通常のお盆とは違うお祀りのやり方をする習慣があちらこちらでみられます。

新盆は通常の盆期間より長く、新仏はお盆の月の1日もしくは7日にお迎えして、20日までとか長い場合は晦日までお祀りされることもあり、親戚や地域の人が集まって盛大に行われることも……。

精霊棚ともいわれる盆棚は、新棚(あらたな、あらんたな)といい特別なしつらえで迎えます。通常の盆棚に装飾や供物など少し手を加えただけのタイプもありますが、家の座敷に別に設けられたり、縁側や軒下などに箱型の棚が設けられる場合もあります。新仏の霊と祖先の霊の祀り場所を区別する理由としては、亡くなった人を思う哀慕の気持ちもありますが、ほかに新仏の霊は荒々しいとか、祟りやすいからといった説もあるようです。

よく、「新盆を迎える家には白い提灯を吊るしましょう」といわれるのは、故人の霊がはじめて帰ってくるお盆なので、「道に迷わず、無事に帰ってくることができますように」と願いがこめられているため。本来はお盆の間、ローソクに火を灯して軒先や仏間に吊るすものなのですが、最近は安全上の理由でただ飾るだけで迎え火とする場合が多いようです。
行灯他にも、木の支柱を竿のように組立てた「高燈籠」と呼ばれる大きな燈籠を家の前に立てる地域もあれば、木枠を切り子の形に組んで四方の隅に造花や紙を貼り付けた「切子燈籠」を軒先に吊るし、それをを新仏の道しるべとする地域もあります。

 

ちなみに、地方では縁側や庭先などに小さく質素な盆棚を作っている様子がみられます。この盆棚は餓鬼棚(がきだな)と呼ばれ、行き場を失った無縁仏のためのもの。お盆期間中は、その家のご先祖や新仏だけでなく、無縁仏も集まってくるという言い伝えがあり、拠り所を別に作る必要があったのでしょう。
「祀り手のない霊魂を丁寧にお祀りしなければ、ムラや家に祟りがおこる」「家の先祖たちが無縁仏に邪魔されないでゆっくりと休んでいけるように」という昔の人の思いが今に伝えられています。

餓鬼棚にお供えした供物を家の人が食べることはありません。お盆最終日に、最後は川に流したりお炊き上げをしたりして、跡形もなく片付けることが多いようです。


吉川美津子の“お葬式あらかると”TOPに戻る