吉川美津子のお葬式あらかると

Vol.15 生花祭壇センスUPに向けてひとコト

ひと昔前までは、芸能人や大規模葬でお目にかかるくらいで、一般家庭の葬儀ではなかなか出番の少なかった生花祭壇でしたが、最近は全国的に年々増加しています。もちろん普及率には地域差があり、ゼロに近いところもあれば、90%近くが生花祭壇であるという地域もあります。

そもそも、どっしりとした輿を据える白木祭壇は戦後になって広まったもの。それまでは枕机に白い布をかけ、仏具を置いて葬具を並べるだけの簡単な祭壇だったものが、次第に2段、3段と高さが増して大型化していきました。全国展開する葬具メーカーも出現し、彫刻が施されたり、ライトアップされるなどメーカー主導で商品開発が行われていた経緯があります。このように戦後急速に普及した白木祭壇でしたが、葬儀の多様化、個性化の波に押され、90年代から減少しはじめました。

生花祭壇生花祭壇はサイズやデザインが自由になることが魅力です。棺を置くのがやっとというスペースでも、少しアレンジすれば立派な生花祭壇ができますし、予算を抑えたい場合には置き方や花台を工夫して見栄え良くアレンジすることができます。菊でラインをとって模様を描くと厳粛な感じになりますし、カラフルな花を散りばめるポップなイメージに……。

ただ、残念なのはいくら素敵な花を飾っても、必ずしもセンスの良い祭壇になっていないという点。「生花祭壇」もしくは「花祭壇」と画像検索して、出てきた画像をひたすら見比べてみるとよくわかります。
例えば屏風の使い方。祭壇とのバランスや照明まで考えて配置されている場合もありますが、ほとんどの場合「なんとなく」置いてある感じ。ただ空間を埋めるだけとか、いつも使っているからだとか、または「葬儀一式のセットに入っているから」という理由で屏風が使われている場合、祭壇のデザインクオリティは一気にさがります。

故人の写真が祭壇に埋もれてしまうケースもしばしば。遺影写真に菊の額縁を採用している葬儀社も多いのですが、一歩間違えるとせっかくの素敵な表情が額の中に埋もれてしまうことになりかねません。

このように、生花祭壇は発展途上。そこで一言提言、葬儀社のスタッフも、ぜひ感性を磨くトレーニングをしていただき祭壇センスUPに少し貢献していただきたい!

生花祭壇のデザインについてはほぼ生花業者まかせ、という葬儀社が多いことでしょう。花の名前すら無関心な葬儀社もあり、それではお客様のニーズを把握することはできません。洋服だってインテリアだって、時代ともにトレンドは変化するもの。祭壇の中心となるご本尊、棺、位牌、遺骨、各宗旨・宗派に応じた仏具・葬具を準備するのは葬儀社の役目です。場合によっては、祭壇にいただいた供花の芳名板を並べることもあるでしょう。今後はそうした状況に柔軟に対応し、全体のバランスをセンス良くまとめられる感性がスタッフに求められるようになると思うのです。


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