吉川美津子のお葬式あらかると

Vol.14 土葬は1000人規模に

大規模災害時には災害救助法というのがあって、大規模広域火葬(緊急救難火葬)が認められています。
阪神・淡路大震災の場合も他都道府県での火葬が行われましたが、64%のご遺体が兵庫県内で行われました。大阪府へ搬送された20%を含めると約90%が隣接エリアで火葬されています。1月8日から始まった火葬は31日までにはほとんど終了するなど計画的に進められました。

ところが今回の震災では、それ以前の震災とは訳が違います。震災地域の主要火葬場が被災したうえに火葬のための燃料不足、さらに多数の身元確認が困難なご遺体、ドライアイス不足……そういった状況が重なって亡くなった方をどう弔うかという点が注目されました。

そこで浮上した案が「土葬」。土葬は墓地埋葬法でも認められている昔ながらの葬送方法ですが、現在では公衆衛生上の観点から条例などで禁止している自治体も多く、たとえば宮城県での土葬の割合はわずか0.1%にも満たず、ほぼ無に等しい状況でした。 宮城県では庁内に「土葬班」を儲け、急遽マニュアルをつくって土葬受け入れ体制を整備。3月21日に気仙沼市の大島で土葬が行われたのを皮切りに翌日には東松島市でも実施され、すでに県内で1000人以上のご遺体が埋葬された模様です。

しかし土葬がはじまって1ヶ月もたたないうちに、今度は「気持ちの区切りがつかないので、どうしても火葬したい」と一旦埋葬したご遺体を掘り起こし、火葬するケースが見られそう。

「早く安住の地で休ませてあげたい」「ご先祖様と同じお墓に移してあげたい」と考える遺族感情はもっともです。また今回の特例処置「土葬」は、あくまで「仮埋葬」にすぎず、三回忌にあたる2年後には改めて遺族に引渡し火葬されることを前提としている点も要因です。

もっと単純な理由の人もいるでしょう。、葬儀とかお墓とか言うそれ以前に、変わり果てた姿に心を痛め、「なんとかしてあげたい」という思いが「せめて火葬してあげたい」という声になるのかもしれません。

瑞江葬儀所幸いにも交通網が少しずつ回復し、近隣の火葬場への移動が可能となってきました。燃料問題、計画停電問題も落ち着いていています。土葬を検討していた他自治体でも、火葬中心で進めていく考えを打ち出してきています。

東京都では3月29日から4月7日までの間、瑞江葬儀所(江戸川区)で犠牲者の火葬が執り行われました。通常の火葬業務は中止のため中に入ることはできませんが、入口には一般の人も焼香・献花ができるようにセッティングされ、たくさんのボランティア僧侶達が集まっていました。

瑞江葬儀所はソメイヨシノの並木が美しい火葬場。東北の地から少し早い春を感じていただきたいと願わずにはいられません。


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