吉川美津子のお葬式あらかると

Vol.13 被災地で…

死者・不明者数合わせて2万6千人(3月25日現在)という至上最悪の事態となった東北関東大震災。

地震の規模も、津波被害も、原発事故もすべてが想定外。某自治体のHPには、宮城県沖地震を視野に入れた防災訓練の様子がUPされていますが、今となってはただの記録にすぎません。

亡くなった方の死因の多くは溺死。ご遺体の損傷が激しく身元確認作業は難航しています。検視官約1000人を動員しても追いつかない状態であるうえ、ドライアイスなども不足しているためご遺体を衛生的に保存できる状況ではありません。そのためご遺体の状況によっては身元確認を待たずに市区町村長に引き渡して、火葬・埋葬されるケースもあるようです。

震災被害で亡くなった方の火葬は無料ですが、近隣の火葬場をフル稼働したとしても1日で最大数十体しか火葬できず、このままでは事実上放置されたままになるでしょう。2万人ともいわれるご遺体すべてを火葬できる見込みはありません。一部の自治体では、内規で禁じていた土葬に踏み切る考えを示しました。

そうはいっても現代の日本では99%が火葬ですから、土葬を想定した既存墓地がないため、新たに選定しなければなりません。墓地選定基準として「地下水などの飲料水に影響しない」「住民感情に配慮」「永代にわたり管理できる」などを列挙し、現在山林内で候補地を絞っているそうです。

埋葬については、身元確認ができたご遺体から順次行われる模様。身元不明のご遺体は、写真や遺体のDNAなどを保存したうえで、自治体に引き渡すそうです。こうした処置については前例がなく、阪神・淡路大震災も含めて戦後初めてでだそう……。

地震の翌日には、県警から全日本葬祭業共同組合連合会(全葬連)や全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)、また全国霊柩自動車協会(全霊協)といった団体へ、さらにそれらの団体に加盟していない葬儀社にも直接棺や納体袋の協力要請あったようす。ただし、燃料不足で運び届ける手段もままならず、まして1人しか運べない霊柩車もこの状態では役に立ちません。
現在のところ、納体袋でくるんであげられるだけでも良い方なのかもしれません。ボランティアとして現地へ向かいたいと名乗りを上げている葬祭関連スタッフは多いのですが、ライフラインが確保できるまでは身動きがとれない状況です。

この記事を書いている最中、震災で亡くなった約300人のご遺体が安置されている体育館内の写真がインターネット上にUPされました。撮影許可に際して宮城県警は「震災被害の実態を知ってもらいたい」と説明しています。日常的に葬儀の話をしている私でさえ酷な画像。本当に心が痛みます。



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