吉川美津子のお葬式あらかると

Vol.8 お声が掛かればすぐに参上!病院指定の葬儀社とは

搬送「亡くなった後、しばらくすると白衣の人が現れて故人を霊安室まで運んでくれた。後で名刺を渡され、実は葬儀社のスタッフだということがわかった。」

病院で待ち構えていたのは、いわゆる「病院指定」の葬儀社。葬儀社が病院より委託されている業務内容は「搬送」ですが、病院から自宅など安置場所までの搬送を請け負うだけでなく、病室から霊安室までのほんの数メートルの移動にも絡んでいる場合が結構あります。



「指定業者になるため年間1000万円もの経費をかけてボロ儲け!」
病院より搬送これは、あるメディアより発信された葬儀系記事のキャッチコピー。実態より誇張されている表現ではありますが、あながちウソではありません。私立の病院と契約するために金銭のやりとりがあったり、お金でなくてもストレッチャーや車椅子など物品を提供していることもあります。公立病院の場合、金銭絡みはNGですが、病院の近くにスタッフを待機させるための施設を準備したり、それにともなう人件費が計上されるため、多額の経費が課せらることがあります。

しかし「ボロ儲け!」の構図は20年前の話ならともかく、現代では完全に崩壊していると言ってよいでしょう。葬儀に関する情報が簡単に得られるようになって、事前に考える人が増えていますから
「葬儀社はすでに決まっています」
と最初の段階で断られたり
「複数社と比較検討したいので、一旦お引取りください」と
搬送だけの依頼でおしまいなんていうのはザラにあります。また家族葬や直葬(ちょくそう)といったタイプの葬儀が増えている中で利益率も減少していますから、もはや
「病院に出入りしたところで割りに合わない」
のが葬儀社の本音でしょう。

「病院出入りの葬儀社は、経費を葬儀費用に上乗せしているから高いのでは?」
と巷ではびこる噂も、最近ではあまり関係がないよう。ただ、事前に比較検討していないために、内容を吟味せず契約、結果的に「予想より高くなった」と印象を持つ人は多いかもしれません。


「遺体は人質!死亡診断書があればこっちのもの」
これもあるメディアのコピー。もしかしたらごく一部、そう思っている心無いスタッフがいるかもしれませんが、多くの葬儀社のスタッフはご遺体を「人質」だなんて思っていませんのでご安心を。
そうは言っても
「遺体の腐敗が進行するから早くしたほうが良いと、遺族の意向も聞かずに、祭壇や棺をどんどん決められた!」
「搬送だけ依頼して葬儀は別の業者と契約したら、高い搬送費用を請求された!」
この類のクレームは、残念ながら今でもあちらこちらで耳にします。

「遺体ブローカー」だの「病院と葬儀社の癒着の実態」だの、ゴシップ系キャッチが完全に無くなるのは、もう少し先の話になりそうですね。


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