吉川美津子のお葬式あらかると

Vol.5 「イオンがお布施の目安をオープンに!」

流通大手イオンがお布施の目安を打ち出したところ、仏教界が困惑しているというニュースがにわかに話題になっています。

イオンが発表したお布施の金額の目安は、通夜から初七日法要まで25万円、40万円、55万円の3パターン(直葬の場合は10万円)。都市部の相場からすると、若干安めかな~という印象はあるものの、さほど激安感もなく、地域によってはむしろ「高い!」と感じることもなきにしはあらず。それにすでにお布施の額の相場は、関係者を通じてインターネット上などで公開されているため、実は業界内では世間で言われているほど目新しさはないのです。

そうはいっても、業界内でごちゃごちゃ議論されているのと違って、日本を代表するイオンが仕掛けたことですから、HP上で「お布施の額はあくまで目安であり標準ではない」と表記しつつも、金額ばかりが一人歩きしてしまう可能性があり、その影響力は計り知れません。

さて、仏教界の意見は「宗教への介入」「価格を決めて商品のように扱うのはいかがなものか」と困惑の様子。これに対して世間の評価は、概ね8:2でイオン側に対して好意的な意見が多いよう。
寺院関係者や葬儀関係業者の多くは、私を含めて「お布施は寺院と檀家の付き合いの中で決まっていくもの。人それぞれの価値観による。」なんてキレイごといっていますが、「付き合いがないから困っている!」意見が多数派を占めている昨今、だいたいどれくらい包めば失礼にあたらないか教えてほしい、と思うのは当然のことでしょう。

お布施ただ、こういう形で発表するなら、きちんとお布施の意味について伝えるべきであり、全く触れられていないのは残念でなりません。お布施はサービスや労働の対価ではなく、ご本尊への信仰の証として施すものであり、そのおさがりを寺院護持のために僧侶が預かるものであることを伝えるべきでした。お布施の意味を理解しない限り、できれば信仰心をお布施の額で表現してほしいと考える寺院サイドと、葬儀のときだけ関係を結ぼうとする遺族の間で生じる考え方のギャップはいつまでたっても埋まりません。

いろいろ賛否両論飛び交っていますが、イオンが動いたことで、葬儀とは縁遠い人が動いたことは確か。メディアにも注目され、業界情報のオープン化に向けては一役買っているといえます。
ツイッターではこんなつぶやきも……
「考えるの早すぎるかもしれないけど、そろそろこういう情報もちゃんと知っておかないとね」
そう思ってもらえることが大事なんです。


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