吉川美津子のお葬式あらかると

Vol.4 「意外と悩む葬儀のナチュラルメイク」

少し前の話になりますが、ある芸能人が葬儀に参列した時のメイクや服装が話題になりました。
「あんなチャラチャラした服装は非常識だ。黒を組み合わせればいいってもんじゃない。」
「パッチリライナーにド派手シャドー。非常識も甚だしい……。」
など、世間からは厳しい言葉が飛び交っていました。

葬儀に参列する際の服装やメイクを考える際に基本となるのは「弔意の気持ちを外見でどう表すか。」ということ。自己主張する場ではありませんから、派手なデザインや肌の露出部分が大きい服はたしかに葬儀シーンにふさわしい服装とはいえません。

では、メイクはどこまでならOKなのでしょうか?「ナチュラルメイクが基本」といわれていますが、そのナチュラルメイクの基準がとってもあいまい。普段ギャル風メイクをしている人にとっての「ナチュラル」と、シミやクマなどをバッチリ隠してベース作りに命を掛けている世代の「ナチュラル」では、捉え方が全然違います。

一般的に言われているのは「ベースと眉毛を整えるくらいにして、口紅は淡い色で薄くつければ合格ライン。」ただ、私はラメやパールを控え色味を抑えて、攻撃的なメイクにならないように心がければ、ある程度メイクをして「きちんと」感を出すことも弔意のひとつなのではないかと思うのです。

先日、ある黒服の集団に目を奪われました。ざっと換算して200~300名の集団の中に、女性が7割くらいを占めていましたが、とにかくみんな美しいのです。メイクが……。若い方から年配の方まで、TPOを意識した素肌感とラメ抜きの少しだけツヤ感のある薄付きリップ。シャドーやチークも肌色に近い茶形でまとめ、どの人も清楚なイメージで統一されています。髪型はそれぞれ違いましたが、「とりあえずまとめました~」みたいなお団子ヘアや、お手入れ不足のボサボサ頭は一人もいません。どうやらこの集団は某化粧品会社の社員のよう。普段から自社製品のメイクグッズからヘアケア製品までを使いこなしているのだから、あたりまえといってはそれまでなのですが、メイクと髪型がキマッていると、ここまで場が引き締まるものなのかと思わず見とれてしまいました。

実は、意外とTPOに応じたメイクや髪型になっていないのが現場で働く女性スタッフ。最初は薄化粧にしていたつもりでも、現場の雰囲セレモニーレディ気に慣れていくうちにだんだんシャドーが濃くなり、マスカラのボリュームがアップ、口紅にパールが入るようになって、すぐに日常メイクに戻ってしまうものです。スタッフ全員の口紅の色をあえて真っ赤に揃え、華やかな雰囲気の演出を売りにしている現場もありますし、メイクについては業界全体でまだまだ発展途上といわざるを得ません。

メイクや髪型のレッスンを定期的に行うだけで、ずいぶんと印象が変わるのに……とあの某化粧品会社の喪服レディ達を見てつくづく実感しました。

ただ、葬儀業界に女性が本格的に進出するようになってまだ20年足らず。
そういう気遣いに理解を示す男性経営陣が少ないのが課題ですけど。


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